これは「玉が見えている」から
できるのではなく、安定して
有する技法の実施としてやって
いるプレーの状況の動画。
各業界には業界用語、その業界
のみで通じる言い回しがある。
二輪のレースの場合は、調子が
良く、ビタリとハマったレース
をしている時、「乗れてる」と
言う。「あいつ、きょう乗れて
るなぁ」とか、「俺はきょう
乗れてる」等。
剣術の場合は「できる」と言う
が、これは人を指して恒常的な
安定した実力の度合を指す。
「あやつはできる」とか「お主
できる」とか。二輪のように
不安定な調子が偶然抜群の
絶好調の時を指すのではない。
ポケットビリヤードの世界では、
剣術のような安定的実力ではな
く、上級者がプレーの波の中で
乗って来て入れまくって手玉も
狙い通りに出しまくっている
状態を指して「見えてる」と
言う。
「〇〇選手、玉が見えてる」と
いう具合に。
それは上掲の動画のように「技法
による撞き方」の事を指すので
はなく、その時その時のプレー
ヤーの調子の状態を他者が評して
言う言い回しだ。あるいは自己
認識として「見えてる」と自分
で自分の状態を認識する。
そういう点では、二輪のロード
レースの言い回しと全く同じ
言い回しの識別区別分けの類別
に属する。
いつも「玉が見えている」のな
ら完全無欠のノーミスのぶっち
切りなのだが、ビリヤードは機械
ではなく人間が行なうスポーツ
なので世界チャンピオンでも
ミスをする。
ビリヤードはどれだけミスを少
なくするかで勝敗の分かれ目が
決まって来る。
それはショットの技巧だけでなく
精神的な自己制御も含めて。
プレーでの物理的な事を言うと
実際にボールそのものや玉筋が
肉眼で見えて無くとも玉は入れ
て手玉も出せる。アプローチで
目視で確認して構えたら、あと
は目を閉じても玉は入るし出せ
る。
よく手玉の撞点のみを点で見る
事をだけを重要視して、手玉か
ら目が離れて全体を見て撞く
事を良しとせず「目が離れた
から外した」という事を言う人
がいるが、それは撞球プレー
の根本的な道理から外れている。
ビリヤードでの目視の確認は、
狙撃銃のライフルのスコープ
の目盛りを標的に重ねて二次元
的に見るのではなく、突撃銃の
アイアンサイトで標的と距離と
全体像を見るのに非常に近い。
そのため、軍用小銃の射撃では
両眼を開けて狙う。これは常識
だ。狙撃銃スコープのような
狙い方はしない。全体像を把握
するのだ。
そして、実は、突撃銃は狙撃銃
のスコープのようには狙わない。
詳細は割愛するが、要点として
は、「三次元的に空間認識を
して狙う」のである。
サイトは見るがサイトは見つめ
ない。サイトを通して標的を
見る。だが、サイトも視点の
うちに入っている。そういう
狙い方。
これ、ビリヤードの視点をどこ
に置くのかにとても似ている。
手玉の撞点の点だけを見てキュー
を出すと、全体像空間認識から
外れるので、ビタリと機械の
ような正確さが無いとシュート
をミスする。
だが、全体像で見て、的玉を
どのラインでポケットに向か
わせるかとラインを読んで、
そして手玉と的玉のヒットポイ
ントも確認して、どのように
次に手玉を動かすかで撞点を
定める。
撞点にヒネリを加えたら、手玉
にカーブやトビが出るし、的玉
との摩擦変化で的玉の軌道も
ズレる。
それらをすべて瞬時に見越して
補正をかけてキュー先の撞き
出し方向を決定する。
上級者はその判断を下すのに
大体1秒乃至2秒程だ。
人間の能力は非常に高い。
ミスをした場合は、そのミスの
原因が何であるのか上級者は
これまた即断で正確に解析で
きる。
そして次にまた補正をかけて
ミスシュート、ミスショット
を極限まで減少させて行く。
それのノーミスの連続性を発揮
して波に乗った時、ビリヤード
界では「玉が見えている」と
言うのである。
ビリヤードのプレーの取り組み
で解析・分析・問題掘り起し・
解決策の模索と決定・補正方針
決定・プレーで実行という流れ
は、非常にモーターサイクル
ロードレースでの選手の取り
組みに似ている。
ポケットのプロで元モーター
サイクルロードレースのGP250
ノービスでかなり速かった人を
知っているが、撞球の取り組み
について胸襟開いて話をしたら、
彼もまた「ロードレースと全く
同じ」と言っていた。TAD遣い
のプロだ。
いつも「見えている」なら、生涯
1個も外さない、となるが、人間
そうはいかない。
1個も外さない、となるが、人間
そうはいかない。
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