く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<コウホネ(河骨)> 名前は不気味だが、花は控えめで愛らしい黄花

2014年06月01日 | 花の四季

【その名は太く長く白い根茎を骨に見立てて!】

 日本原産のスイレン科の多年草で、全国各地の池や沼、小川の浅瀬などに自生する。5~9月ごろ、光沢のある葉の間から茎を伸ばし小花を上向きに1つ付ける。スイレン科の植物には大きく目立つ花を咲かせるものが多いが、コウホネは径4~5cmほどで葉の大きさに比べ小さくて愛らしいのが特徴。5枚の花びらのように見えるのは花弁状の萼片。その色は黄色から緑色に変化していく。本来の花弁は雄しべの回りをくるりと囲む。

 根茎(地下茎)は横に這って、白く太く長い。その形が白骨のように見えることから「河骨」の名前が付けられ、「カワホネ」の音便で「コウホネ」(または「コオホネ」)になったといわれる。英名は「イエロー・ポンド・リリー」。コウホネは淡水魚飼育水槽の水生植物として人気があるが、光が弱いと水中葉(沈水葉)だけ生えて、水上葉(浮葉)が出ない。根茎にはレンコンと同じようにいくつも穴があり、これを乾燥したものは漢方で「川骨(せんこつ)」と呼ばれて強壮薬や婦人薬として用いられる。

 同じ仲間にヒメコウホネ、オグラコウホネ、ネムロコウホネ、オゼコウホネなど。ヒメは姫で全体に小型。オグラは京都の小椋池にちなんで命名された。福岡県八女市の麻生池がオグラコウホネの群生地として知られ、県の天然記念物にも指定されている。ネムロは最初に採集されたのが北海道の根室だったことにちなむ。オゼは尾瀬で、主に尾瀬ケ原以北の東北地方に分布する。花の中央部分の柱頭盤が紅色なのが特徴。ただ、この4種はいずれも「絶滅の危機に瀕している」として環境省のレッドデータブックに「絶滅危惧Ⅱ類」として掲載されている。コウホネ自体は未掲載だが、都道府県レベルでは26都府県で絶滅危惧または準絶滅危惧種に指定されている。

 コウホネは生け花で古くから夏の水物を代表する花材として珍重されてきた。花や葉を図案化したものは「三つ河骨」など家紋としても用いられてきた。河骨紋は一見葵紋に似ているが、それは江戸時代、徳川家が葵紋の使用を制限したため、よく似た河骨紋が作られたことによる、ともいわれる。控えめで上品な花姿からか、コウホネは一時期、封書用の慶弔切手にも採用された(1995~2011年)。「河骨の影ゆく青き小魚かな」(泉鏡花)。

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