【ヨーロッパ南部原産、「カンパニュラ」の1種】
キキョウ科カンパニュラ属(ホタルブクロ属)で、主な原産地はヨーロッパ南部。4~7月ごろ、長さ4~5cmの鐘の形をした花を横向きに付ける。草丈は60~100cm程度。花姿から「ツリガネソウ(釣鐘草)」とも呼ばれる。花色は白や青紫、ピンクなどのパステルカラーが中心で、庭植えや鉢植え、切り花などとして人気を集めている。
カンパニュラ属は世界で300種以上あるといわれており、和名でフウリンソウと呼ばれるのはそのうち「カンパニュラ・メディウム種」。カンパニュラの中でも大きく華やかな花を付けるのが特徴で、国内で単に「カンパニュラ」といえばフウリンソウを指すことが多い。カンパニュラの語源は「小さな鐘」を意味するラテン語の「カンパーナ」から。英名では花の形をイギリス国教会の総本山、カンタベリー大聖堂の鐘に見立て「カンタベリー・ベル」と呼ばれているそうだ。
磯野秀直氏の「明治前園芸植物渡来年表」によると、フウリンソウは江戸末期の文久2年(1982年)12月に渡来した。遣欧使節が持ち帰ってきた250種を超える植物の種子類の中に含まれていたという。本来は春に種を蒔き、ロゼット状で一冬越して翌年開花する2年草だが、最近は秋蒔いて翌年開花する改良品種も登場している。フウリンソウにはガクが花びらのように変化した八重咲きの変種もある。
カンパニュラ属の中にはもともと日本に自生しているものもある。その1つでフウリンソウによく似た「ホタルブクロ(蛍袋)」は子どもが花の中にホタルを入れて遊んだことに由来するともいわれる。「イワギキョウ(岩桔梗)」は中部以北に自生する高山植物。「ヤツシロソウ(八代草)」は九州の阿蘇山の草原などに自生し、リンドウに似た花を付けることから「竜胆(りんどう)咲きカンパニュラ」とも呼ばれる。ただ、このヤツシロソウは近い将来に絶滅する危険性が高いとして、環境省のレッドデータブックに絶滅危惧ⅠB類として掲載されている。