く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ネムノキ(合歓木)> 涼やかに風にそよぐ淡紅色の花

2014年06月25日 | 花の四季

【「ネム」「ネブ」「ネンネコノキ」とも、英名は「シルクツリー」】

 マメ科の落葉高木で、日本や朝鮮半島、中国から東南アジアにかけて広く分布する。花期は6~8月。柔らかい刷毛のような淡紅色の花を上向きに付ける。夜になると羽状の小葉がぴったり閉じて眠りにつくことから単に「ネム」や「ネムリギ」「ネンエコノキ」などとも呼ばれる。漢字の「合歓木」から「コウカ」や「コウカギ」とも。英名では花糸を絹の糸に見立てて「シルクツリー」と名付けられている。

 万葉名は「ネブ」。「眠る」を古くは「ねふる」と言っていたことによるらしい。漢字では今と同じ「合歓木」と書いていた。万葉集にはネムノキを詠んだ歌が紀女郎と大伴家持の贈答歌を含め3首登場する。その贈答歌――。紀女郎の歌「昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花 君のみ見めや戯奴(わけ)さへに見よ」に、家持は「吾妹子(わがもこ)が形見の合歓木は花のみに 咲きてけだしく実にならじかも」と返した。

 マメ科の植物にはネムノキのように、夜暗くなると葉を畳んで眠るものが多い。これを「就眠運動(睡眠運動とも)」と呼ぶ。よく知られているのがオジギソウ(お辞儀草)。この植物は夜だけでなく、日中でも触られると葉を閉じてしまう。これは「就眠運動」とは別に「接触性傾注運動」と呼ぶそうだ。ネムノキの園芸品種に小型で花色が鮮やかなものがあり「一歳ネム」や「緋ネム」という名前で人気を集めている。樹皮を乾燥したものは漢方で「合歓皮(ごうかんひ)」と呼んで、打撲や咳止めなどに用いられる。

 ネムノキを題材にした歌として有名なのが皇后美智子さまが高校在学中に作詞された「ねむの木の子守歌」。「ねんねのねむの木 眠りの木 そっとゆすったその枝に 遠い昔の夜の調べ ねんねのねむの木 子守歌」。この詞に山本正美さん(故山本直純氏の奥様)が秋篠宮さまのお誕生祝いとしてメロディーを付けた。美智子さまの生家跡(東京・東五反田)はいま「ねむの木の庭」という名の公園になっており、正門そばにネムノキが植えられている。 

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