く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<奈良県立図書情報館> 企画展「会津八一の奈良」生涯に35回奈良に!

2014年06月18日 | 美術

【杉本健吉との合作書画集や写真コンテスト入賞作も展示】

 奈良県立図書情報館(奈良市大安寺西)で企画展「会津八一の奈良」が開かれている。歌人で書家の会津八一(1881~1956)は古都奈良をこよなく愛し、たびたび奈良を訪れては歌に詠み書にしたためた。その生涯をパネルの肖像写真で辿るもので、洋画家・杉本健吉との合作書画集と第7回「会津八一の歌を映す」写真コンテストの入賞作品も同時に展示している。29日まで。

   

 八一が初めて奈良を訪れたのは1908年。そのとき20首の短歌を詠んだ。その旅は傷心を癒すためのものだったともいわれる。八一は鏑木清方の美人画にも描かれたという美貌の画学生・渡辺文子に恋焦がれていた。だが文子の父に結婚の希望を告げたが断られたそうだ。奈良への訪問はこれを皮切りに35回に上った。県内には現在、八一の歌碑が16カ所に17基設置されているという(写真㊨は興福寺境内に立つ歌碑)。奈良県は八一が取り持つ縁で、一昨年2月、出身地の新潟市と「歴史・文化交流協定」を結んでいる。

 企画展では八一の誕生から学生時代、奈良での交遊や鹿と遊ぶ様子、定宿にしていた旅館などの白黒写真が並ぶ。杉本健吉との合作書画集「春日野」(全21枚)は60年前の1954年に出版された。八一の歌の左半分や下半分に杉本の絵が添えられたコラボレーション。法隆寺の「東院夢殿にて」の歌には「夢殿は静かなるかな物思(ものも)ひに 籠りていまもましますがごと」、秋篠寺を詠んだ歌は「秋篠のみ寺を出でて顧みる 生駒が岳に日は落ちむとす」。いずれの作品にも奈良に寄せる2人の深い思いが詰まっている。

  

 写真コンテストは会津八一記念館(新潟市)の主催で、八一の和歌の素晴らしさを永遠に万人の胸に留めてほしいと2006年から始まった。第7回では応募作117点の中から新潟市の坂井征栄一氏の作品(写真㊧)が最優秀の「秋艸道人賞」に選ばれた。八一の歌「(夢殿の救世観音に)天地(あめつち)にわれひとりいて立つごとき このさひしさを君はほほ笑む」をもとに、雪が残る湖のほとりに満開の桜が1本佇む静寂な情景を切り取った。入賞、入選作を合わせ計30点を展示中だが、最優秀も含め7点がこの歌を題材に採っていた。(写真㊨は「早稲田大学会津八一記念博物館賞」の若林茂敬氏の作品)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする