く~にゃん雑記帳

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<藤ノ木古墳> 被葬者は「近い関係の男と男」「何らかの事件に遭遇!」

2014年06月27日 | 考古・歴史

【骨考古学者の片山一道氏、講演で「男と女」説をきっぱり否定】

 法隆寺の西側に位置する国の史跡「藤ノ木古墳」(奈良県斑鳩町)。石棺から見つかった2人分の人骨は男2人とみられているが、うち1人は「女では」とみる考古学者が現れ、性別論争が再燃している。これに対し、同古墳の人骨調査に長年携わってきた骨考古学者の片山一道氏(京都大学名誉教授)が26日、斑鳩町文化財センターで講演し「男と男」であることを改めて強調、さらに「2人は身体的特徴や埋葬状況から近しき関係で、何らかの事件に遭遇したとみられる」と指摘した。(写真㊨は古墳から出土した金銅製馬具の一部)

 

 片山氏は1988年から90年にかけて内視鏡による石棺内調査や発掘人骨の検査・分析を担当、93年発表の「第2・3次調査報告書」の中で被葬者について1人は男性、もう1人も男性の確率が極めて高いと指摘した。考古学者の間では、2人は蘇我馬子に同時に暗殺された穴穂部皇子(あなほべのみこ)と宅部皇子(やかべのみこ)とする説が有力視されている。

 これに対し、考古学者の1人から2009年、南側の被葬者は手首や両足に装着された装身具から「女性ではないか」と疑問が呈された。性別に関してはこれまでも一部で異論が出ていた。その背景には南側被葬者が北側に比べ残っていた人骨が極めて少なく「100%男性」と断定されていなかったことがある。こうした中で片山氏は2011~12年、出土した人骨を改めて再検討、その結果を昨年12月「橿原考古学研究所論集」で発表した。

 問題の南側被葬者は足首や踵(かかと)の骨を詳細に調べた結果、「形や大きさ、構造から男の中でも男らしい骨」と断言する。死亡推定年齢は20~40歳、身長は166.6cm±5.5cmで、人物像は「たおやかで、無骨ではない男性」という。一方、ほぼ全身の骨が残っていた北側被葬者は17~25歳、身長164.5cm±3.3cmの「華奢な体格の青年貴公子」。2人とも当時としては身長が高く、血液型も同じB型だった。北側被葬者の右足の甲には少年の頃に大怪我を負った跡が認められた。これは「馬から落ちた時に怪我したのではないか」と推論する。

 女性説については「骨考古学に対する認識不足で的外れの指摘。これで〝男と男〟として最終的に決着がついたものと思う」とし、次のような結論を導き出した。「2人ともみまかりにくい若い年頃で亡くなっており、なんらかの事件もしくは事故に巻き込まれ、ただ事ならざる事由によって死を迎えた。2人は社会的にも血縁的にも非常に近しき関係にあったとみられる」。

コメント (2)
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