く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 企画展「社寺の風景―宮曼荼羅から祭礼図へ」

2014年06月02日 | 美術

【厳かな社寺の景観や祭りのにぎわいを描いた作品など約40点】

 大和文華館(奈良市)で特別企画展「社寺の風景―宮曼荼羅から祭礼図へ」(29日まで)が開かれている。厳かな社寺を描いた宮曼荼羅や祭りの活気を生き生きと伝える祭礼図など約40点(前後期で一部展示替え)。同館はこれらの社寺の風景を通して〝聖と俗のあわいの世界〟を垣間見ていただければ、としている。

     

 『笠置曼荼羅』(写真㊧)は笠置寺を描いた仏画で、弥勒如来を囲むように礼堂と十三重塔が描かれている。色鮮やかなボタンの花と塔のそばに描かれた2人の参詣者の姿も印象的。これらの伽藍は鎌倉末期、倒幕を目指す後醍醐天皇方と幕府方の戦いで焼失しており、それ以前の姿を示す貴重なもの。『柿本宮曼荼羅』(写真㊨=部分)は治道社(天理市の和爾下神社)の景観を描いたもの。画面の一部に柿本寺跡とみられる礎石や人麻呂の墓とみられる築山も描かれている。いずれも鎌倉時代の作で国の重要文化財。

   

 『竹生島祭礼図』(江戸前期、上の写真)は琵琶湖北端に浮かぶ竹生島の都久夫須麻神社の蓮華会の情景を描いたもの。蓮華会は新しく造った弁財天の像を船に乗せて湖上を渡り神社に奉納する竹生島最大の祭礼。画面左端の先頭の船は金翅(きんし)の作り物を掲げ、後尾の船はハスの造花を散華している。描かれた社殿は現存の慶長8年(1603年)に再建されたもの。『祇園祭礼図屏風』(江戸前期)は大阪歴史博物館蔵で六曲一双。右隻に前祭(さきまつり)の山鉾巡行、左隻に後祭の神輿渡御が華やかに描かれている。

 同展では「物語に描かれた風景」として『源氏物語図屏風』(江戸前期)など9点も展示中。この屏風(六曲一隻)に描かれているのは「明石」「絵合」など6場面で、岩佐又兵衛(1578~1650)の作と伝わっている。岩佐は織田信長に一族を滅ぼされた戦国大名荒木村重の子(岩佐は母方姓)で、風俗画を得意とし浮世絵の開祖ともいわれた。他に仇討ちで有名な『曽我物語図屏風』(江戸中期)や安珍・清姫の悲恋で知られる『道成寺縁起絵巻』(江戸後期)など。さらに「名所の風景」として宋紫石筆『富嶽図』、谷文晁筆『神奈川風景図』、扇面60枚から成る『京奈名所図扇面冊子』なども出品されている。

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