【「ゴカヨウオウレン」とも、実際の花弁は黄色の蜜腺に変化】
キンポウゲ科オウレン属の春咲き多年草。日本固有種で、主に福島県以南の本州と四国の針葉樹林の林床や林縁、渓谷沿いなどに自生。3~4月ごろ、草丈10cmほどの花茎の先端に可憐な花を上向きに付ける。5枚の花びらは蕚(がく)が変化したもので、本当の花弁は真ん中から伸びた黄色い蜜腺。キンポウゲ科に多く見られる特徴で「蜜弁」と呼ばれる。
名前の由来はオウレンの仲間で、花の形が梅によく似ていることから。オウレン自体もわが国特産で、黄色い根茎が連なっていることから「黄連」(「黄蓮」とも)と名付けられたという。オウレンは古くから薬用植物として栽培されてきた。根茎を乾燥し煎じて飲む。整腸作用があり、下痢止めや二日酔いなどに効くそうだ。
バイカオウレンには「ゴカヨウ(五加葉)オウレン」という別名も。5枚の小葉が手を広げたような葉っぱの形が、ウコギ(五加木)に似ていることによる。四国に自生するものは本州産と花の形状がやや異なっていることから、変種として「シコクバイカオウレン」と呼ばれる。屋久島には全体に大型の「オオゴカヨウオウレン」が自生する。
オウレン属には他にミツバノバイカオウレン、ミツバオウレン、キクバオウレン、セリバオウレンなど。ミツバノバイカオウレンは中部以北の高山帯~亜高山帯に分布し、特に日本海側に多いことから「コシジ(越路)オウレン」とも呼ばれる。越路は北陸道の古称。「これからという思いありオウレンの花咲く朝の力湧きくる」(鳥海昭子)。