【新「善本叢書」刊行を記念し1日だけの限定で公開】
天理大学付属の天理図書館(奈良県天理市)で23日「古典籍の至宝」展が開かれた。同館所蔵の貴重書を収録する「新天理図書館善本叢書」刊行を記念した催し。公開されたのは37点で、国宝の「日本書紀乾元本」「播磨国風土記」など3点や重要文化財8点を含む。この日1日だけの公開とあって終日多くの人が詰め掛け、食い入るように貴重本に見入っていた。
国宝「日本書紀乾元本」(写真㊧㊥)は鎌倉時代の乾元2年(1303年)に神官だった卜部兼夏が書写したもので、全巻に朱墨で訓点が加えられている。「播磨国風土記」は平安末期の写本。風土記は奈良時代に全国62の国府によって編纂されたが、現存するのはこの播磨と出雲、常陸、肥前、豊後の5つしかない。もう一つの国宝「類聚名義抄」は平安末期の漢和辞書を鎌倉末期に書写したもの。漢字数は3万2千に及び、古代国語の研究には必須の文献といわれる。
重文は「古事記道果本」(上の写真㊧)や「名月記 治承4・5年」「和名類聚抄」「石清水願文案」など。この他、「源氏物語 伝二条為明筆本」(下の写真㊧)、「奈良絵本」と呼ばれる室町後期~江戸前期に作られた彩色絵入りの冊子本、松尾芭蕉自筆の「野ざらし紀行」や「幻住庵記」、井原西鶴の「西鶴独吟百韻自註絵巻」(写真㊨)や「西鶴書簡下里勘兵衛宛」など。芭蕉の「『あかあかと』発句画賛」や許六の「奥の細道行脚之図」、西鶴の「世継翁画賛」なども展示され、まさに逸品ぞろいだった。
旧「善本叢書」は同図書館所蔵の古代から近世までの古典籍を収録した複製本で、44年前の1971年に出版された。今回その一部を改編・追加し、高精細カラー版の新「善本叢書」を八木書店(東京)より刊行することになったもの。今月から配本が始まる第1期分「国史古記録」全6巻を皮切りに5期に分け全36巻を順次刊行していく。天理図書館は蔵書数が約200万冊に及び、国内有数の図書館として知られる。