【キンポウゲ科の多年草、カラフルな西洋オダマキが人気】
キンポウゲ科オダマキ属(アキレギア属)。オダマキの名前は紡いだ麻糸を丸く巻き付ける糸巻きの苧環に花の形が似ていることから。このため「イトクリソウ(糸繰草)」や「イトクリ」とも呼ばれる。オダマキ属は北半球にひろく分布し、日本原産の野生種には北海道や本州の高山帯に生えるミヤマオダマキ(写真)と低い山に自生するヤマオダマキがある。
花色は紫や白で、4~5月ごろ、5枚の花弁状の萼片を少しうつむきかげんに開く。わが国最初の園芸辞典『花壇地錦抄』(1695年)にも「花つりがね草のごとく下へさかりて咲く。色むらさき、葉はしやくやくのごとし」と紹介されている。単にオダマキといわれるものはミヤマオダマキを母種とする栽培改良種とみられている。
オダマキ属は世界に約70種が分布するといわれる。最近は欧米で品種改良されたセイヨウ(西洋)オダマキの人気が高い。ヨーロッパ原産のものに北米原産の大輪種などを交配したもので、花色が黄や桃、青、茶、紫などカラフルなのが特徴。花が大きく草丈も高いため、切り花として人気な品種も出回っている。(下の写真2枚はいずれもセイヨウオダマキ)
オダマキは米国コロラド州の州花。ロッキーマウンテン・オダマキ(和名ソライロオダマキ)と呼ばれるもので、花径が8cmほどもあり、花冠の付け根の距(きょ)も長い。同州では州歌も「オダマキの花咲くところ」という題名が付いており、「オダマキ州」とさえ呼ばれているそうだ。「おだまきや旅愁はや湧く旅のまへ」(水原秋桜子)。