く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<シキミ(樒・梻>) 仏事に不可欠な常緑樹、花は線形の淡黄白色

2017年05月01日 | 花の四季

【別名「ハナノキ」「香の木」、果実は痙攣を引き起こす猛毒】

 シキミ科シキミ属の常緑小高木だが、樹高は時に10mにも達する。東北南部以南の山地に自生し、4月頃、直径3cmほどの花を付ける。花弁、萼片はともに細長い線形で淡黄白色。サフロールという香気成分を含み、葉や樹皮を乾燥し粉末にして抹香や線香が作られる。そこから「香(こう)の木」や「香の花」「香芝」とも呼ばれる。「ハナノキ」や「ハナシバ」といった別名も。これは花の代わりに葉付きの小枝が仏前や墓前に供えられることから。(ただし「ハナノキ」はカエデ科にも同名の落葉樹がある)

 仏事に欠かせないことから、シキミの漢字には木偏に仏の旧字体・佛の「梻」が当てられることもある。これは神事に使われる榊(サカキ)に対して作られた国字。ただ神社の中には神仏習合期の名残からか、サカキではなくシキミを神事に使うところも。京都市右京区の愛宕山山頂に鎮座する愛宕神社で、千日参り(7月31日)では参拝者に火除けのお札「火廼要慎」と神花のシキミの枝が授けられる。

 シキミはアニサチンという痙攣を引き起こす有毒成分も含む。とりわけ毒性が強いのが果実。中華料理の香辛料「八角」として使われる無毒のトウシキミ(唐樒)の実と間違って使い中毒を起こすケースが多いという。シキミの語源の一つにも「悪しき実」が略されてシキミになったという説がある。他には「重実(しげみ)」からの転訛説なども。シキミから発見されたシキミ酸はインフルエンザ予防薬タミフルの原料にも用いられている。「奥山の樒が花の名のごとや しくしく君に恋ひわたりなむ」(大原真人今城、万葉集巻20―4476)

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