【地中海沿岸地方原産、ヨーロッパでは観賞用として栽培】
キク科シュンギク属。多くのキクの花期が秋なのに対し、春に咲くことから「春菊」と名付けられた。原産地は地中海沿岸地方。そのヨーロッパではもっぱら観賞用として栽培されてきた。古く中国など東アジアに伝わって食用に改良され、日本には室町時代に渡来し、江戸時代に西日本を中心に葉野菜として栽培が始まったという。関西では「キクナ(菊菜)」として親しまれている。観賞用の八重咲き種は「ハナゾノシュンギク(花園春菊)」と呼ばれる。
シュンギクの草丈はふつう30~60cmぐらいだが、花が咲く頃には1m以上にも伸びる。花はキクに似て直径3~4cmほど。黄一色のほか白い覆輪が入ったものもある。食用のシュンギクは大葉・中葉・小葉に大別され、さらに中葉は株立ち型と株張り型に分かれる。鍋物向きの大葉は主に九州など西日本で栽培され「おたふく春菊」と呼ばれている。奈良県で栽培され全国に広まった中大葉種は「中村系春菊」と呼ばれ、同県では「大和きくな」の名前で伝統的な「大和野菜」の一つに数えられている。
傷みやすい軟弱野菜で長距離輸送が難しいため、主産地は大都市とその近郊に集中する。農林水産省の2015年の統計によると、生産量のトップは千葉県で、次いで大阪、茨城、福岡、群馬、兵庫と続く。シュンギクの持ち味は独特な香りとほろ苦さ。香りはα-ピネンやペリルアルデヒドという精油成分による。ヨーロッパで食用としては敬遠されてきたのもその特有の香りにあるが、近年は和食ブームもあって食材の一つとして見直す動きもあるそうだ。「春菊の香や癒えてゆく朝すがし」(古賀まり子)