く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヤマブキソウ(山吹草)> ヤマブキに似た光沢のある黄金色の4弁花

2017年05月02日 | 花の四季

【ケシ科の多年草、別名「草山吹」、ただしバラ科のヤマブキとは無縁】

 ケシ科ヤマブキソウ属(クサノオウ属とも)の多年草で、本州、四国、九州の山野のやや湿った明るい樹下に自生する。世界共通の学名は「ヒロメコン・ヤポニカ」。属名のヒロメコンはギリシャ語の「森」と「ケシ」の合成語、種小名のヤポニカは「日本の」を意味する。4~5月頃、高さ30~40cmほどの茎を立ち上げ、その先に径3~5cmの光沢のある黄金色の花を付ける。

 名前は花の色や形が小低木のヤマブキに似た草本であることから。「クサヤマブキ(草山吹)」という別名もある。ただヤマブキは別のバラ科に属し、分類上は全く縁がない。花弁の数はヤマブキの5枚に対し、ヤマブキソウは1枚少ない4枚。またヤマブキの萼(がく)片が花後もずっと残るのに対し、ヤマブキソウのものは開花直前に落ちてしまうという違いもある。仲間に葉が細めの「ホソバヤマブキソウ」や裂けた葉が一見セリに似る「セリバヤマブキソウ」(下の写真)がある。

 ヤマブキソウはしばしば大きな群落をつくる。群生地としては福島県白河市の天狗山、東京都八王子市の片倉城跡公園、栃木県さくら市の喜連川お丸山公園、大阪・奈良府県境の金剛山などが有名。山梨県都留市にある宝鏡寺の群落は県自然環境保全条例で県の「自然記念物」に指定されている。ただ全国的に野生種は減少傾向にあり、多くの都府県で絶滅危惧種や準絶滅危惧種になっている。「森陰に山吹草の金散らす」(今井千鶴子)

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<シキミ(樒・梻>) 仏事に不可欠な常緑樹、花は線形の淡黄白色

2017年05月01日 | 花の四季

【別名「ハナノキ」「香の木」、果実は痙攣を引き起こす猛毒】

 シキミ科シキミ属の常緑小高木だが、樹高は時に10mにも達する。東北南部以南の山地に自生し、4月頃、直径3cmほどの花を付ける。花弁、萼片はともに細長い線形で淡黄白色。サフロールという香気成分を含み、葉や樹皮を乾燥し粉末にして抹香や線香が作られる。そこから「香(こう)の木」や「香の花」「香芝」とも呼ばれる。「ハナノキ」や「ハナシバ」といった別名も。これは花の代わりに葉付きの小枝が仏前や墓前に供えられることから。(ただし「ハナノキ」はカエデ科にも同名の落葉樹がある)

 仏事に欠かせないことから、シキミの漢字には木偏に仏の旧字体・佛の「梻」が当てられることもある。これは神事に使われる榊(サカキ)に対して作られた国字。ただ神社の中には神仏習合期の名残からか、サカキではなくシキミを神事に使うところも。京都市右京区の愛宕山山頂に鎮座する愛宕神社で、千日参り(7月31日)では参拝者に火除けのお札「火廼要慎」と神花のシキミの枝が授けられる。

 シキミはアニサチンという痙攣を引き起こす有毒成分も含む。とりわけ毒性が強いのが果実。中華料理の香辛料「八角」として使われる無毒のトウシキミ(唐樒)の実と間違って使い中毒を起こすケースが多いという。シキミの語源の一つにも「悪しき実」が略されてシキミになったという説がある。他には「重実(しげみ)」からの転訛説なども。シキミから発見されたシキミ酸はインフルエンザ予防薬タミフルの原料にも用いられている。「奥山の樒が花の名のごとや しくしく君に恋ひわたりなむ」(大原真人今城、万葉集巻20―4476)

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