言葉のチカラこぶ——『いい言葉塾』

言葉はコミュニケーションの基本。伝えたいことは「言葉のチカラ」できっと伝えられる。もっとうまく伝えられる。

「マニュアルレストラン」

2012-04-11 11:04:56 | 繁盛店物語(創作)
こんにちは。
販促経営コンサルタント、藤田です。
本日は2回目の投稿です。

このカテゴリーは基本的にフィクションです。
販促経営コンサルタントの本田というわたしの分身を登場させて、様々な経営再生の様子を描写していきます。
内容はフィクションですので、モデルそのものはありませんが、実際に自分が経験したことも混じっていますので、これを読むあなたにもずいぶんと参考になることが出てくると思います。
あなたの経営改善のヒントにご自由にお使いください。
(なお配信は原則毎週1回水曜日にと思っていますが、基本的にランダム配信です)


「マニュアルレストラン」



自動ドアが開くと、すぐに店員の声が響いた。

「いらっしゃいませ! ○○へようこそ!」

なに、たまたまここに、このレストランがあったから入っただけで、わざわざここを目的に来たわけではない、と本田は胸の中で言った。

腹が減ってきたから、何か、なんでもいい、足しになるものをとにかく腹の中に入れておこうと思ったら、たまたまこの店の看板が目に入っただけのことだ。

「少々お待ちくださいませ。お客様、お一人様でしょうか」

ああ見た通りの一人だ。

本田は頷いた。

「それではお席にご案内いたします。お客様、煙草はお吸いになりますか」

「いや」

「それでは禁煙席でよろしいでしょうか」

「うん」

「それではこちらにどうぞ」

ああ、やっと席に座れた。

何でさっさと客に選ばせてくれないのだろう、この手のレストランは面倒くさいなあ、とあまりファミレスにいかない本田は思った。

「こちらが季節のメニューになっています。そしてこちらがレギュラーのメニューです。お決まりになりましたら、こちらのボタンを押してください」

はい、はい、と。

なるほど、季節のメニューか。

うん。

でも、まあ、考えることは考えてるけど、食べてみたいと思うようなメニューはないなあ。

こり過ぎなんだよなあ、最近は。

他所と違った季節メニューなんてことばかり考えてるから、結局へんてこなものになってしまうんだ。

やっぱり定番メニューがいいや。

「あ、すみません」

ちょうど通りかかった店員に、本田が声をかけた。

「あ、はい?」

「あの、この」

「申し訳ございません。そのボタンを押して係の者をお呼びください。すぐにまいります」

彼女はにこやかに返事をすると、そそくさと離れていった。

何だよ、いいじゃないか。

それがマニュアル通りなのか。

別に他のテーブルの皿を持ってるわけじゃないのに。

えい!

本田は少し頭にきて、強くボタンを押してた。

カウンターの方でピンポンッと鳴ったのが本田の席まで聞こえてきた。

すると、なるほどすぐに係員がやってきた。

しかしやってきた店員を見ると、先ほど下がっていった彼女だった。

なんだ、さっきの奴じゃないか。

そんなことならその場で聞きゃいいじゃないか。

客を馬鹿にしてるのか。

注文を打ちこむターミナルを持ってこなくたって、注文のひとつやふたつぐらい覚える頭があるだろうが。、という腹立ちまぎれの声は封印して、本田は注文に入った。

「ハンバーグランチください」

「はい、和風、ハワイ風、フランス風、北海道風、イタリア風がありますが、どちらになさいますか」

えっ、えっ、そんなにあるのかよう。

俺、普通のが食べたいんだけど。

「普通ので」

「普通と言われましても。すみません、和風、ハワイ風、フラッ」

「ちょっと待って」

本田ははあわてて止めた。

また全部繰り返されたらさらに長くなる。

「いいよ、和風で。それが普通なんだろ、たぶん」

「いえ、普通というのはありません。当店のハンバーグは、和っ」

「ストップ! いいよ、だから和風で」

「はい、かしこまりました。ただいまランチはライスの大盛りサービスをしていますが、いかがでしょうか」

「うん、じゃあ、大盛りで」

「はいかしこまりました。お飲物はコーヒーと紅茶が選べますが」

「コーヒー」

「すぐにお持ちしますか、それとも食後に」

「食後」

もういいから、早くしてくれよ。

腹減ってるんだよ。

本田は、これもすべて腹の中に収めた。

それだけで何だか腹がいっぱいになりそうな感じだ。

「かしこまりました。それではご注文を繰り返します。和風ハンバーグランチお一つ。ライスは大盛り。お飲物はコーヒーを食後に、ですね」

そうなんだけど、間違いはないけどぉ。

どうして大きな声で言うの?

俺が注文した者がみんなに分かっちゃうじゃない。

なんだあいつ、ごちゃごちゃ文句言ってるわりは、580円のハンバーグランチかい、なんてね。

いやだなあ。

ほら、あの窓際にいる中年の女なんて、露骨に俺の方を見て変な顔してる。

なんで、客の俺の方が小さくなんなきゃいけないんだろ。




しばらくすると、ハンバーグがやってきた。

大盛りライスもついている。

本田はそそくさと脇目も振らずに、口に押し込んだ。

味なんてもうてんで分からない。

ただ単に空きっ腹を満たしただけ。

「ありがとうございました。またどうぞ」
と言うマニュアルの笑顔で送られて、本田は逃げるように店を出た。

もちろん、もう二度とこのレストランには来ないし、このチェーンの他の店にも行かないつもりだと、本田はこれだけは最後に口に出していった。



                                      おわり



(このストーリーは、リアル体験を元にしたフィクションです)

それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。

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自分(自社・自店)勝手

2012-04-11 10:33:29 | 繁盛店・繁盛会社をめざそう
こんにちは。
前橋の販促経営コンサルタント、藤田です。
今日もよろしくお願いします。

朝から曇っていまして、起きがけには少し雨も降ったようです。
今日一日このような天気で推移するようです。
昨日は夏日に近いような気温で、桜も一挙に花開いた感じです。
昨日はその桜の下を散歩してきました。
まだ開いていない蕾もけっこうあって、やはりこちらでの満開は今週末になりそうです。


今日の話題は、自分勝手ということで書いてみます。

卑近な例でいうと、わたしの奥さんなんか、自分が頭に思ったらすぐに、わたしにそのことで話しかけてきます。
わたしが何かをじっと考えていたり、手を動かしていたりしても、おかまいなしです。
わたしが気分的に快調なときには何とかそれに相づちを打ったり、返答したりしますが、頭の中で仕事のことを考えていたり、もうちょっとで何かまとまりそうだというようなときに、くだらない世間話で話しかけられたりすると、むかっとしてしまいます。
これじゃ自分でもいけないなとは思うんですが、気分的にすぐれないときにはどうしてもそうなってしまいます。
あちらも自分勝手なんですが、こちらも自分勝手なんですね、考えてみれば。


まあそういった個人的なことはさておいて、お店や会社のシステムにもそういったけっこうお店の自分勝手というか、自分都合なことがよくまかり通っています。

あなたは気がついているかついていないか分かりませんが、あなたの店や会社の営業時間や定休日というものも、考えてみればあなたが勝手に作ったものではありませんか?

自分たちはこの時間はプライベートな時間にしたいというわけで、営業時間を決めていますよね。

定休日だって、この曜日が一番お客様の来店が少ないからこの日に休みにしようと決めていませんか。
もしくはこの街ではだいたい“みんな”水曜日が休みだからうちも、ということで決めているわけですね。そうじゃないですか?

他になにか明確な意味があってその曜日に決めているんですか。

別に休むなと言っているわけではなくて、定休日を作るなら作るで、やはりその意味があればいいと思いますが、ただ何となく、みんなに倣えということなら、少し考え直した方がいいように思います。


ひとつの例として、飲食店によっては券売機を置いている店をあります。

これも考えてみれば、実に自分勝手じゃないでしょうか。
注文するのにお客様手を煩わせるわけです。

自分たちはお客様に注文を聞くというその手間を省いているわけですね。
それだって明確な考えがあって置いているのならいいんですが。

ただ効率だけを考えておいているのなら、やめた方がいいでしょうね。

コインや紙幣というお金は、考えてみればたくさんの人の手に渡って流通しているて、けっこうばい菌なんかで汚れているので、それの受け渡しで手にばい菌がついてはお客様にお作りする料理を作る身としては申し訳ない、という考えがあって券売機を設置していると言うのなら、それはそれでとても立派な心構えだとは思いますが、券売機の置いている店でピカピカにきれいなお店にお目にかかったことは残念ながらほとんどありません。

あるところでは、料理を注文するのに、ファミレスの店員さんが持っているようはハンディターミナルを渡され、それで注文してくださいと、その機器をポンとよこされた店もありました。
これもけっこう自分勝手な店だと思いませんか?

人件費の節約だとか何とか言って、その節約分をお客様に押しつけているわけです。

さて、あなたのお店や会社で、そうした、もしかしたらこれは自分勝手なことだなあと思うシステムはありませんか?
そのシステムを採用するにあたって、明確な考えはありましたか?
その考えがあっても、その見返りにお客様のメリットになることを還元していますか?

押しつける割には、そのメリットを自分たちの利益に結びつけるだけで、お客様のメリットになるようなことはあまりしていないのが現状ではありませんか?
ちょっと考えてみてください。


さあ今日もがんばろう!

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あなたの一日が今日も普段通りの良い一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。

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