僕たちは一生子供だ

自分の中の子供は元気に遊んでいるのか知りたくなりました。
タイトルは僕が最も尊敬する友達の言葉です。

えらいドーナツ屋さん

2008-09-17 | Weblog

大阪市中央区に月に約2回、お昼休みにとってもおいしいドーナツ屋さんが
やってくる。ドーナツ屋さんといっても店は自転車。だから必然的に運べる量
だけでの商売になるので、その数は知れている。加えてそのおいしさゆえに
大人気なので、すぐ行列ができ、30分もすればすぐに売り切れてしまう。

この間そこのドーナツ屋さんにえらい迷惑なおっさんが来てた。
そのおっさんは俺のすぐ前に並び、かなりの数のドーナツを注文したんやけど、
小銭の持ち合わせがなく、1万円を出しよった。まぁ、誰かに頼まれた分も入っ
てたりで、小銭を用意してこなあかんような小規模のドーナツやさんやとは思っ
てなかったのかも分からんから、これは仕方ないかも知れん。でもあかんのは
その後や。
もちろん、ドーナツ屋さんは、いつも100円単位の仕事をしてる訳で万札からの
お釣りなんか持ち合わせていない。「すいません、お釣りないんですわぁ」と
そのおじさんに言うと、おじさんは一応、「そうかぁ、ほな小銭探すわ」と言って
さいふをごちゃごちゃ探し始めた。そしたら結局注文した代金に50円足らない
小銭しか見つからなかったみたいで、「すまんけど、あと足らん分は今度払う
からこれで勘弁してーや」やって。
ええおっさんが、何十円を今度払うちゅうのも小さいし、そこらにコンビニ山ほど
あるんやからなんぞ買って両替してこよか、という考えが浮かばへんのもアホ
やし、何より、ほんならドーナツを1個減らして、ということが言えへんのがほん
まに悲しいまでに情けなかった。

でも、このドーナツ屋さんはえらいで。年の頃はまだ20台後半くらいやろうけど、
ドーナツを減らしてください、とも言わずに「はい、分かりました。また今度お願い
します」とだけ
言わはったがな。

この人の長々としたトラブルのおかげでさらに長く長くなってしまった行列の人
たちをこれ以上待たせたらあかん、ということや、今後の商売のことも考えると、
このおっさんを適当にやり過ごしたほうがええ、というようなことを総合して考え
たんやろうけど、このおっさんとは正反対の見事な判断やったね。

きっと会社の女子社員達に「○○さーん、あそこのドーナツおいしいの。お願い、
買って来てくれなーい?」なんてことを言われてデレデレと買い物に来た情けな
いおじさんと、暑い暑い大阪市のビル街を自転車をドーナツ店にして頑張ってい
る青年。

穴の開いた人と穴を開ける人との力の差をみたような気がしました。