僕たちは一生子供だ

自分の中の子供は元気に遊んでいるのか知りたくなりました。
タイトルは僕が最も尊敬する友達の言葉です。

世界に一人と一台

2012-05-10 | Weblog
1年ほど前になるだろうか、ジェームス・グッダールというハワイのルシアー(ギター職人)が作った中古ギターを購入した。前オーナーのオーダーメイドなので、この時点で既に世界に一台しかないギターである。横並びが嫌いな私にとっては、「世界で自分しか持っていない」ということが、何より自分を満足させるのだが、それに加えてもちろん音もビジュアルも素晴らしく、今、最も弾くことが多いギターになった。当然のごとく価格も素晴らしいけれど。

このテのギターは、ある種芸術的な価値もあって、オリジナルは全くのアコースティックで、いわゆるピックアップ(ギターに埋めこむマイクのようなもの)等は付けないのが当たり前。だから音は素晴らしいが、ステージ上で使おうという人には、ちょいと不便な面もある。じゃあ、あとからピックアップをつければいいじゃない、と思うわけだが、これにはかなりのリスクを伴う。

まず、売る時の値段がぐんと下がる。でも、私は生涯手放すつもりはないので、これは問題にならない。
私の場合大きな問題になるのは、ギターの命である「音」である。ルシアーが「これが最高」と思うところまで選び抜いた材料、誰にも真似のできない工法、で作られているわけであるから、どこか一部でもいじると、その音は間違いなく変わる。今の音が気に入って購入したわけだから、どこかをいじくって音が変わってしまうことはどうしても避けたい。だから、このようなギターは「いじる」ということはほとんどしないのが常識とされている。

でもピックアップがないとステージでは使えない・・・なんとかしたい・・・そこで私はこう考えた。
音はあくまで「好み」の問題。今いいと思っている音が最上とは限らないし、ギターをいじくることで音が変わっても、今よりもっといい音になった、という可能性だってある。それに付けようと考えているピックアップは、ギターを加工する部分はほとんどなく、万が一失敗でも95%以上は元の状態に復元できる。とにかくやってみなければ分からない。誰もやらないことをしてみるのが俺だ!えーい、やってしまえ!

ということで付けました。MISI(マイサイ)のアンダーサドル型ピックアップ。
結果は「すんばらしい」の一言。
原音は全くと言っていいほど変わらず、ピックアップの音はほとんど原音と差がない。歌モノの伴奏でギター1台になった時、高音部がやや立ちすぎて、演奏の難しさがあるが、それ以外は全く文句なし!

無茶ばかりで失敗も多い私だが、無茶は時に無茶な喜びも与えてくれる。
自分は世界に一人、楽器は世界に一台。

まぁ、とりあえずは、自分を大切にしてきてよかったと思う。