湖畔人です。
第21話でも触れましたが、映画『君の名は。』が英国他、アジア諸国など海外で公開され大きな話題を呼んでいるようですね。ネット上の情報によれば、海外でも総じて良い評価と良い興行成績をおさめているようです。英国の評論家には、“史上最高の作品”とまで言ってくださる方もいらっしゃるようです。大変素晴らしい事です。さて、自分の感想はと言えば、実は、つい先日観たばかりでして、やっと『君の名は。』と『シンゴジラ』の両方を見る機会を得たばかりです。両方とも面白かったのですが、今回は、『君の名は。』について感じたことを書いてみます。
観終わった後の感想ですが、何とも軽やかで爽やかな余韻が残る、余り経験した事のない余韻を体験しました。感動する映画を見ると、大概、心や神経が揺さぶられて、強い感動と達成感を得られる一方、何か強い疲労感を感じたりするものなのですが、この映画ではそうしたグッタリ感、大きな心の揺さぶりはなく、でもしっかり記憶には残っていると言う不思議な映画、何かポジティブで大切なメッセージを受け取ったような、そんな気にさせてくれる不思議な映画だったと思います。でも何かハッキリしない感じも残るので、結局もう一度見てみたくなる、そんな映画だったかなーという印象ですね。リピーターが多いのも頷けます。結局、自分も二回見てやっとスッキリ自分の中で折り合いが付いた感じがありました。
出てくる人物達の中には酷い人も少しだけは出て来るのですが、基本良い人達ばかりで、だから、大きく心を揺さぶられたり、大きく心が痛む感じには成りにくいのですが、それでも、しっかり心には残る映画なのです。 人類の集合想念という泥水の中の、澄んで綺麗な上澄みの部分だけを手で掬い取って飲ませて頂いたような、そんな印象を受ける素晴らしい作品だなーと思った次第です。
自分が思う良いアニメ映画の共通項は、
① まず空を含む背景が綺麗で、パースペクティブとか基本的な所がしっかりとおさえられていること、
② 人物が良く描けていて(リアル過ぎず、70年代の劇画風や少女漫画のような極端なデフォルメもなく、鼻や顎が尖ってなくて丸みを帯びている、そして、いい塩梅に味がある物)、
③ 物語に大小2-3のテーマ入り組んでいて、
④ ハラハラする危険な場面もあって、
⑤ 神仕組みが少し垣間見えて、
⑥ ただ主人公達に純愛があって、その愛の力で、困難や神仕組みをも乗り越え、最後は愛が勝つお話で、
⑦ そして映画を通して素晴らしい音楽が流れている物、
そうした7項目が自分が良いと思う作品に共通してある項目なのですが、
実はジブリのナウシカ、ポニョ、ハウル、千と千尋など多くの作品の中にも、そうした7項目を感じていて、皆とても好きな作品なのですが(多分、宮崎さんと思想的には真逆ですが作品は別です)、この『君の名は。』にもそれら7項目を見出だす事が出来るのです。
RADWIMPSのサントラもとても良かったですし、青く輝く街並みや山々もとても美しかったです。何より空がきれいに描かれていましたね。雲が特に綺麗でしたね。宮崎さんのあのモクモクした雲とはまた違う、清涼感と透明感のあるとても良い雲と空ですね。
人物の描き方は、自分的には少しカワイ過ぎる感じがしました。アニメ愛好家の皆様に強く支持されそうなカワイイ表現、その一歩手前ギリギリで止まっている感じがしなくもなくて、背景をリアル且つ細かな大人っぽい描写をする事で、その可愛すぎるかもしれない人物描写の“甘さ”をうまく中和している感じがしました。特に扉の開閉を面白いアングルで描いている場面が多く出て来ましたが、それらの場面が何かとても面白かったし、良いアクセントになっているなーと言う印象を受けましたね。
また、糸と時間、それを神仕組みとして、テーマの一つとして取り上げていて、とても面白かったですね。中島みゆきさんの名曲『糸』を思い出しました。そう言えば、神道の中心神である天照大神は機織りをする女神でもありますが、もしかしたら天照は時間を紡いでいる女神なのかもしれませんね。そう考えると、とても面白い視点を得た感じがしてきますね。実を言うと天照大神の機織りは、“日本人の中にある勤勉性の象徴“とのみこれまで見て来たので、今回、新しい視点を得た感じです。実際神々は多くの天の使いをこの地上に派遣しては時代を作り、国を造りと、文明のプロデューサーでもありますので”神々は時を紡いで歴史を作っている”と言っても間違いではないですね。正しい見方なのかもしれません。
でも、まあ、この映画は、冷めた見方をしてしまうと、結局、赤い糸で結ばれた男女が出会うお話、ただそれだけの話、とも言えなくもない話です。でもそこに至るまでに星は降るわ、時空は超えるわと、ただの男女の出会いがここまで壮大なスケールのお話になってしまうのですから、脚本を描いた新海監督の着想力にはただただ驚くばかりです。
来年にはアメリカでも公開になるようですね。彼の地でも大ヒットする事を祈念しております。
新海監督の今後の更なるご活躍を期待しております。
湖畔人
第21話でも触れましたが、映画『君の名は。』が英国他、アジア諸国など海外で公開され大きな話題を呼んでいるようですね。ネット上の情報によれば、海外でも総じて良い評価と良い興行成績をおさめているようです。英国の評論家には、“史上最高の作品”とまで言ってくださる方もいらっしゃるようです。大変素晴らしい事です。さて、自分の感想はと言えば、実は、つい先日観たばかりでして、やっと『君の名は。』と『シンゴジラ』の両方を見る機会を得たばかりです。両方とも面白かったのですが、今回は、『君の名は。』について感じたことを書いてみます。
観終わった後の感想ですが、何とも軽やかで爽やかな余韻が残る、余り経験した事のない余韻を体験しました。感動する映画を見ると、大概、心や神経が揺さぶられて、強い感動と達成感を得られる一方、何か強い疲労感を感じたりするものなのですが、この映画ではそうしたグッタリ感、大きな心の揺さぶりはなく、でもしっかり記憶には残っていると言う不思議な映画、何かポジティブで大切なメッセージを受け取ったような、そんな気にさせてくれる不思議な映画だったと思います。でも何かハッキリしない感じも残るので、結局もう一度見てみたくなる、そんな映画だったかなーという印象ですね。リピーターが多いのも頷けます。結局、自分も二回見てやっとスッキリ自分の中で折り合いが付いた感じがありました。
出てくる人物達の中には酷い人も少しだけは出て来るのですが、基本良い人達ばかりで、だから、大きく心を揺さぶられたり、大きく心が痛む感じには成りにくいのですが、それでも、しっかり心には残る映画なのです。 人類の集合想念という泥水の中の、澄んで綺麗な上澄みの部分だけを手で掬い取って飲ませて頂いたような、そんな印象を受ける素晴らしい作品だなーと思った次第です。
自分が思う良いアニメ映画の共通項は、
① まず空を含む背景が綺麗で、パースペクティブとか基本的な所がしっかりとおさえられていること、
② 人物が良く描けていて(リアル過ぎず、70年代の劇画風や少女漫画のような極端なデフォルメもなく、鼻や顎が尖ってなくて丸みを帯びている、そして、いい塩梅に味がある物)、
③ 物語に大小2-3のテーマ入り組んでいて、
④ ハラハラする危険な場面もあって、
⑤ 神仕組みが少し垣間見えて、
⑥ ただ主人公達に純愛があって、その愛の力で、困難や神仕組みをも乗り越え、最後は愛が勝つお話で、
⑦ そして映画を通して素晴らしい音楽が流れている物、
そうした7項目が自分が良いと思う作品に共通してある項目なのですが、
実はジブリのナウシカ、ポニョ、ハウル、千と千尋など多くの作品の中にも、そうした7項目を感じていて、皆とても好きな作品なのですが(多分、宮崎さんと思想的には真逆ですが作品は別です)、この『君の名は。』にもそれら7項目を見出だす事が出来るのです。
RADWIMPSのサントラもとても良かったですし、青く輝く街並みや山々もとても美しかったです。何より空がきれいに描かれていましたね。雲が特に綺麗でしたね。宮崎さんのあのモクモクした雲とはまた違う、清涼感と透明感のあるとても良い雲と空ですね。
人物の描き方は、自分的には少しカワイ過ぎる感じがしました。アニメ愛好家の皆様に強く支持されそうなカワイイ表現、その一歩手前ギリギリで止まっている感じがしなくもなくて、背景をリアル且つ細かな大人っぽい描写をする事で、その可愛すぎるかもしれない人物描写の“甘さ”をうまく中和している感じがしました。特に扉の開閉を面白いアングルで描いている場面が多く出て来ましたが、それらの場面が何かとても面白かったし、良いアクセントになっているなーと言う印象を受けましたね。
また、糸と時間、それを神仕組みとして、テーマの一つとして取り上げていて、とても面白かったですね。中島みゆきさんの名曲『糸』を思い出しました。そう言えば、神道の中心神である天照大神は機織りをする女神でもありますが、もしかしたら天照は時間を紡いでいる女神なのかもしれませんね。そう考えると、とても面白い視点を得た感じがしてきますね。実を言うと天照大神の機織りは、“日本人の中にある勤勉性の象徴“とのみこれまで見て来たので、今回、新しい視点を得た感じです。実際神々は多くの天の使いをこの地上に派遣しては時代を作り、国を造りと、文明のプロデューサーでもありますので”神々は時を紡いで歴史を作っている”と言っても間違いではないですね。正しい見方なのかもしれません。
でも、まあ、この映画は、冷めた見方をしてしまうと、結局、赤い糸で結ばれた男女が出会うお話、ただそれだけの話、とも言えなくもない話です。でもそこに至るまでに星は降るわ、時空は超えるわと、ただの男女の出会いがここまで壮大なスケールのお話になってしまうのですから、脚本を描いた新海監督の着想力にはただただ驚くばかりです。
来年にはアメリカでも公開になるようですね。彼の地でも大ヒットする事を祈念しております。
新海監督の今後の更なるご活躍を期待しております。
湖畔人