第344話.気になった音楽(103)&(104)&(105)The Beatles『All you need is love』&『Tomorrow never knows』&『Revolution』

2019-12-31 23:53:45 | 気になった音楽
湖畔人です。

今年の最後の締めはビートルズで行きます。2017年末もTFFの『Shout』で締めて中共の不正に声を上げましょう、的な事を叫んでいましたが、今年も今後に向けてパッパ掛けになるような曲を三つ、ビートルズの曲をご紹介したいと思います。

ビートルズがタダのアイドルバンド、ただのロックバンドで無くなった瞬間があったかと思います。勿論、サージェントペパーの高い評価がそれを決定付けたとは思いますが、ビートルズが文化的なアイコン、思想的なアイコン、愛と平和の使者みたいな特別な存在になった出来事があったかと思います。67年のour worldと言うBBCの企画した世界初の多元衛星中継のテレビ番組への出演がそれだったかと思います。この番組は世界のメディアがテクノロジーの進歩でもって一つに繋がり世界共通の課題を皆でシェアしよう、皆で共に考え共に解決しよう、的なユートピア思想的な試みであったかと思います。BBCを中心に5大陸、14か国の放送局が参加し、31地点を4個の衛星で結んで、世界24カ国で中継放送されたイベントだったようです。当時としては画期的な試みでした。NHKも参加をしていましたね。
この番組は、①赤ちゃん誕生、②世界のこの瞬間、③過密世界、④健全な肉体を求めて、⑤芸術の追求、⑥宇宙のかなたへ、と言う6つの切り口のテーマを設け、世界各国からそれらテーマに沿った内容の中継放送がなされたようです。ビートルズは、⑤の芸術の追求のテーマの所でイギリス代表として出演をし、アビー・ロード・スタジオで当時まだ未発表曲だった『All you need is love』のレコーディング・セッションを6分間にわたり披露しました。当時最先端の複雑極まりない曲を世界に向け演じたのですが、イントロではフランス国家が流れ、後半ではバッハやグレンミラーの曲等色んな曲が重なり合う複雑なもので、事前に録音したコーラスに生演奏を被せた複雑なレコーディングだったようです。でも、メッセージは明快なものでして、”君に必要なものは愛だ、ただ、愛だけが必要なんだ”と繰り返し歌う単純明快で強烈なメッセージソングでした。それをサイケな格好をしたビートルズがオーケストラやストーンズやクラプトン等UKのロックスター達をバックに従え、世界に向けて発信をするのですからそれはそれは絶大なインパクトをもたらす歴史的な出来事でした。その姿は、このリバプールから来たロック小僧達が何か別の特別なもの、何かの象徴に変質した瞬間であったかと思います。愛と平和を伝える文化的アイコンになった瞬間ですね。その瞬間、彼らは間違いなく世界の頂きに立っていたかと思われます。あらゆるロックアーチストの中で最も飛び抜けた特別な存在になっていたかと思われますね。

そんな彼らはその後も大衆におもねる事は全く無く、大切な事は大切な事として気にせずストレートに表現して行きました。彼らは霊性の大切さも歌を通して説きましたね。『Tomorrow never knows』では、チベットの『死者の書』をモチーフにした輪廻を想定させるような歌詞を歌っています。黄泉の世界に連れて行かれそうな不思議なメロディーですが、ここでも愛こそ全てと歌っていますね。初めて聞いたときは腰を抜かすほど衝撃を受けたものです。

そして『Revolution』では、革命について歌っています。“みんな世界を変えたいと願ってるけど、君が破壊で革命を成せと言うなら僕には賛同出来ない・・・君が毛沢東の写真を持ち歩くと言うなら、君には誰の心も変えられないだろうし、きっと何も成し遂げる事は出来ないだろうさ“と歌い、暴力による革命を批判します。

この毛沢東を批判した曲が68年に発表されてから約50年以上も過ぎましたが、今、毛沢東が建てた中国共産党の圧政に苦しむ香港の街の至る所で、レノンウォールと呼ばれるジョンレノンの名があしらわれた掲示板が設けられ、自由を希求する人々の声が集まる場となっていますね。『Revolution』が発表されてから50年以上過ぎて、今彼らの歌声と願いが毛沢東の建てた悪しき帝国の土台を揺さぶり始めているようです。そしてきっとその悪しき帝国を瓦解させ、自由の国に変質させてしまう事でしょうね。
Don't you know it's gonna be alright ですね。
来年が楽しみです。

湖畔人

第343話.懐かしい未来を連想させる曲・気になった音楽(101)&(102) YMO『Nice Age』 & Flipper's Guitar『Going Zero』

2019-12-31 13:59:38 | 気になった音楽
湖畔人です。

懐かしい未来を連想させる曲9曲目は、Yellow Magic Orchestraの『Nice Age』です。この曲は、彼らのアルバム『増殖 - X∞Multiplies』に収録された曲ですね。元々アメリカのA&Mレコードからの依頼でアメリカマーケット向けのシングルとして出す為に作った曲のようなのですが、アメリカではウケないだろうと言う判断でペンディングになった曲のようなのです。この曲の途中の謎のアナウンスは、このアルバム録音当時、YMOと元ビートルズのサー・ポール・マッカートニーとのセッションが予定されていたのにポールが来日時大麻で捕まってしまったため、セッションが流れてしまい、その際の当時のポールの妻であったリンダマッカートニーのメッセージが曲中のニュース速報になっているようです。速報中で読み上げられる「22番」とはポールの拘置所での番号だったそうで、この速報で使われたフレーズ「Coming Up Like A Flower」は同じ年の4月に発売されたポールの『カミング・アップ』でも歌われていたフレーズだったようですね。麻薬、ビートルズの数少ない負の遺産です。それにしても、矢野さんの歌うサビの所は小型の宇宙船に乗って飛び去って行くかのような浮揚感、未来感があってとってもカッコイイですよね。でも曲は若い男子達を弄ぶ悪い熟女の話のようなので何かダークなテーマの曲ですね。NICE AGEとはイイ時代ではなくこの女性はイイ歳の女の人と言う意味のようなのです。ブラックですね。
当時のYMOは人気の面では世界一では無いですが、その先端性と高いスキルとその抜群のセンスで世界のプロのミュージシャン達に超リスペクトされていた存在であり、クラプトンがカバーしたりマイケルもカバーしたりポールが共演しようとしたりと実力的には世界の頂点に一時期君臨していた方々であったかと思いますね。ポールもYMOもお歳だし、幻のセッションを是非実現して頂きたい所ですよね。歌詞も変えてNICEAGEもイイ時代に変えて頂きポールと作り直して頂きたい位です。

このシリーズの最後、懐かしい未来を連想させる曲10曲目は、Flipper's Guitar『Going Zero』です。91年の曲ですね。言わずと知れた小沢健二さんと、コーネリアスの小山田圭吾さんのユニットですね。僕はリアルタイムと言うよりは、妹が彼等に注目していて自分が良く聴いていたアズテックやスタカン風のカッコイイバンドが日本にいるから兄貴も聴いてみろよ、と勧められて聴き始めたのがキッカケでしたが、当時の自分は珍しく勉強に忙しくて、海外にも行ったりして色々とドタバタしており世事にも疎くて、気付けば彼らは最後のアルバムを出して既に解散していましたね。最後のアルバム『DOCTOR HEAD'S WORLD TOWER -ヘッド博士の世界塔-』は、妹が言っていたようなネオオアコ風な感じはもう無くて、見た目も何かベルベットアンダーグラウンド風になっており、どこか病的で、曲調もマッドチェスター・ムーヴメント風のグルーブが効いた曲が多くて、サンプリングも多用していたかと思いますね。その中で特に印象に残っていたのが、この『Going Zero』と言う曲でして、人類の共有する潜在意識の中にあるアカシックレコードと呼ばれる記憶装置に記録された世界の近代史の映像を高速回転で再生した映像を、高速で動く小型の宇宙船に乗りながら眺めているかのような気分になる曲だなーと当時思いましたね。一旦終わりになる現代文明のお浚いをさせられているかのような気分になる曲だなーと良く思ったものです。”Going zeroと呼んで少し判った気にもなるだろう?”と言う歌詞の通りでして、何か少し判ったような気になったものです。センスが良すぎて頭が良すぎた彼らはあっという間に当時の“世界”の日本だけでなく当時の”世界”の音楽シーンの頂点に一時期立っていたかと思いますが、”こんな簡単に頂点を手に入れてはいけない、もっと学ぶべき事、経過すべき経験が足りていない”と思ったのかどうか定かではありませんが、自ら世界の頂点のポジションを放棄して山を降りる事を決意したのか、直ぐに解散を決めてしまいましたね。まるで当時の日本のようです。当時の日本は実質世界一の経済大国でニューヨークの高級物件や各種映画会社、様々なものを買い漁っていて、アメリカは日本に乗っ取られるのではないかとマジで怯えていましたね。今の中国みたいな感じです。でも世界に示す思想も無く、世界の紛争を解決する武力も発言力もリーダーシップも無く、あるのは金だけ、自虐史観で自己肯定が出来ず、自ら自らの力を弱めてはトップ争いのレースから自ら退場する事を決め、脱落し、停滞を選んだのが当時の日本でした。その態度が中国の台頭を招いたのですが、それはアメリカも日本も望んでいた事でしたね。別にフリッパーズが去って何か悪しきものの台頭を呼び込んだとは思いませんが、何か似たものを感じましたね。才能が有り過ぎて、周りとの差が大きすぎて何か怖くなったのかもしれません。真相は判りませんがね。その後、彼らは、それぞれ独自路線を進み、小沢さんは90年代ソロシンガーとして活躍し、その後、突然姿を消しましたね。最近また復活したみたいですけどね・・。小山田さんは独特なマニアックな音の求道者的なアプローチを続けて、時々YMOのサポートメンバーもされていたようですね。まぁ面白い存在、一時、スゴイ閃光を放って消えて行った特別な二人であったかと思います。

これで、このシリーズも一旦終了です。本当はもっと候補曲は沢山あったのですが、毒の少なさそうな曲を敢えて選曲してみました。でも、改めて、全体を見てみると大分毒がありそうな感じがしますね。退廃もあれば破壊的な感じもあり、でもまぁ若い頃は多少こうした色んな物を見聞きするのもありかと思います。今聴いても中々良い曲達ばかりです。

今晩時間があれば今年最後のブログをまた書くかもしれません。ではまた。

湖畔人


第342話.懐かしい未来を連想させる曲・気になった音楽(99)&(100) Donald Fagen『New Frontier』 YMO『Mad Pierrot』

2019-12-31 12:34:22 | 気になった音楽
湖畔人です。

懐かしい未来を連想させる曲、7曲目は、Donald Fagenの『New Frontier』です。『New Frontier』が気になった音楽100回目のメデタイ曲ですね。スティリーダンの中心メンバーであるドナルドフェイゲンのソロでの名作『ナイトフライ』からの一曲でして、特に最先端な音では無いのですが、完璧主義とも言える丁寧な音の作りと、そのアップテンポな感じが先進的なのと、この曲の発表は82年ですので、まだ冷戦は終わっておらず欧米諸国、特にアメリカにはまだ核戦争への恐怖が常に頭の片隅にあった時代でして、その未来に起こるかも知れない核戦争への恐怖を扱った点が何とも懐かし未来を歌った歌だなと思わされる曲なのです。NEWFROTEINERを提唱したケネディの時代、冷戦の最中、核戦争の恐怖に怯える中で、核シェルター付きの住居が多数存在する時代に当時の能天気な若者がそのシェルターでデートを重ねると言う何ともシニカルな感じのする曲かと思います。名曲かと思いますね。

次の8曲目は、日本の誇るテクノジャイアントYMOことYellow Magic Orchestraの『Mad Pierrot』です。78年の曲で、リーダーの細野晴臣さんの曲ですね。細野さんは最近自伝映画もやっていましたね。『はっぴえんど』を大瀧詠一さんや松本隆さん達と始めた方であり、日本のロック界、ポップス界に与えた影響は計り知れない御仁ですね。最近では星野源さんを表に引っ張り出した恩人としても知られていますね。曲のタイトルはゴダールの映画『気狂いピエロ』から取ったようです。ちょっと中華テイストで未来社会や宇宙を感じさせる曲かと思います。高速を飛ばしている時に聴くのが個人的には好きでした。でもスピードの出し過ぎには要注意ですね。小学生の時からの付き合いだと言うのに未だにカッコイイと思えるスゴイ曲かと思います。細野さんはやっぱ天才ですね。天才が3人揃って、そのサポートメンバーも天才だらけと言うのですから当時のYMOは世界最強な筈です。

さて、このシリーズあと一回続きます。

湖畔人

第341話. 懐かしい未来を連想させる曲・気になった音楽(97)&(98) PROPAGANDA『THE CHASE』 & Joe Jackson『Steppin' Out』

2019-12-31 10:53:22 | 気になった音楽
湖畔人です。

懐かしい未来を連想させる曲、5曲目は、PROPAGANDAの 『THE CHASE』です。イエスのヒット曲『ロンリーハート』をプロデューサーとして手掛け、ボーカルも兼ね、バグルスでは『ラジオ・スターの悲劇』をヒットさせ、アートオブノイズも立ち上げた鬼才トレバーホーンの作ったレーベル、ZTT所属のドイツのテクノバンド、プロパガンダですが、ドイツと言うとナチスの悪いイメージがありますが彼らはそれを逆手に取ってナチを連想させるようなちょっと怖いイメージで売っていたバンドかと思います。バンド名がプロパガンダですからナチの国民を洗脳する為に使った手段ですしね。歌詞の意味は不明ですが、何か怖いメッセージなのかもしれません。ただ、出来立ての綺麗な高速道路を飛ばすときにピッタリの曲だなと思う一曲です。

6曲目は、Joe Jacksonの 『Steppin' Out』です。83年の曲です。夜の街に繰り出そうよ、と言う曲ですが、アップテンポな感じは近未来都市の忙しい感じが良く出ている曲かと思います。一番、懐かしい未来と言う括りにピッタリの曲かもしれませんね。

では、このシリーズまだ続きます。

湖畔人

第340話.懐かしい未来を連想させる曲 気になった音楽(95)&(96) Prefab Sprout『Enchanted』&Scritti Politti『Wood Beez』

2019-12-31 10:21:26 | 気になった音楽
湖畔人です。

では、また懐かしい未来を連想させる曲を2曲続けてご紹介したいと思います。

3つ目は、以前もココで紹介した事のあるPrefab Sproutの 『Enchanted』です。ネオアコ括りで語られる事の多い彼等ですが、ネオアコのヘタウマ感とは異質のハイクオリティーな音を作る方々です。この曲は彼等にしてはかなりシンセポップ風な一曲です。歌詞は正直これも良く判りませんが、ドライブには最適なアップテンポな一曲です。

4つ目は、またまたScritti Polittiの『Wood Beez (Pray Like Aretha Franklin)』です。歌詞の意味はまたまた判りません。自己暗示の類だろうか?とも思えなくもない曲です。85年の曲ですね。この曲も傑作『キューピッドアンドサイケ85』からの一曲です。強めの炭酸を呑んだ後のような切れの良い曲です。

まだ続きます。

湖畔人