湖畔人です。
2020年、早速音楽談義です。
今年一曲目は、折角の正月ですし、世の中の交通量も少な目で空気も澄んでおり、
皆さん、まだまったりゆったりしている中ですので、昨年末の様な刺激の強いガシャガシャした音ではなく、その正月の精妙な空気を汚さぬよう、冬休みの間は、穏やかな曲を中心にご紹介したいと思っています。
皆さん、まだまったりゆったりしている中ですので、昨年末の様な刺激の強いガシャガシャした音ではなく、その正月の精妙な空気を汚さぬよう、冬休みの間は、穏やかな曲を中心にご紹介したいと思っています。
まず2020年の一曲目は、アズテックカメラの『ウォークアウトトゥウィンター』、冬へと歩き出そう、と言う曲のご紹介でスタートしたいと思います。
この曲は、日本ではネオアコ、ネオアコースティックムーブメントと呼ばれたパンクの後(ポストパンク)に出てきたUKのギターポップの流れの中核にいたバンドの一つ、アズテックカメラのデビューアルバムにして最高傑作のアルバム『ハイランド,ハードレイン』からの一曲でして、僕にとっては、このネオアコと言うジャンルに興味を持ちどっぷりハマるキッカケになった曲なのです。
高校時代はパンクバンドをやっていてUKのパンクバンドの真似事なんてやっていたのですが(とは言えUKではもうパンク何てとっくに終っていましたがね、当時は日本と海外で数年の時間差があったのです)、特にCLASHとか硬派で社会派の曲を割と真似てやっていたのですが、メンバーの趣向の最大公約数的な共通項がたまたまそこにあったと言うだけで、まぁある意味仕方なくやっていた所があって、ホンネを言うと、威勢はいいけど、左翼社会を理想とし、世の中間違ってる!ブッ壊せ!的なメッセージを叫ぶも扇動的なギグをする位しか出来ず、それを聞いたパンクスも暴力行為位しか出来ず、酒とドラックに溺れ、破滅へと向かうしかないUKパンクスには何か真っ当な答えを求めても仕方が無い、と言う虚しさがいつも付きまとっていて、社会の不正、差別、偏見、規制、要らないルール、物質主義等に間違っている声を上げるのは良いとしても、もっと違ったアプローチの仕方は無いのか?、もっとチャンと耳を傾けて貰えるような、もっと賢いやり方は他にあるだろう?と言う疑念がずーっと頭の片隅にあって、何か他にイイの無いかねーと思っていた所に、あるロック雑誌(確かロッキンオンだったような・・・)にアズテックカメラのウォークアウトウィンターの事を書いたコラムが載っていて、そこでは確か、”元パンク少年がパンク(ストラマー)に別れを告げ、冬(別の道)に向かって歩き出す事を心に決めた決意の歌をアコースティックギターでメランコリックに歌い上げている・・・”的な記事が確かそこには書いてあって、その記事の横には、パンクスとは全く違う、アコースティックギターのギターケースを手に持ち、長いコートにループタイと言う一体何時の時代だよ?って言う不思議な、でも何か魅力的な格好をした文学青年風の頭良さげな二人の青年がポージングしている写真が載っていて、”まるで若い頃のボブディランか吟遊詩人みたいな雰囲気だ、何だこれは一体!!!”と衝撃を受けてしまって、"記事を見る限り、何か自分達が求めているパンク精神を残しつつも別のアプローチを取っているようだし、もしかしたらずっと探していたものがやっと見付かったのかもしれないぞ!"と大興奮してしまって、そのままレンタルレコード屋に走って行って、その『ウォークアウトトゥウィンター』が収められている『ハイランド&ハードレイン』を見付けては直ぐに借りて、家に持って帰ってレコード針を落として聴いてみると、まるで御伽噺を聞かされているかのような何か牧歌的な雰囲気と、でも抜群のメロディーセンスがあって、フラメンコかって言う位超絶旨いギターテクもあって、所々に元パンクスの反骨精神が見受けられて、でも何処までもポジティブで爽やかな曲調で、でも何か真っすぐだけど内省しやすい繊細さ、ナイーブさがあって、何だこれ?青春の精神の結晶やん?って、もう号泣する位感動してしまって、それ以来ずっとファンを続けている次第なのです。
その記念すべきアズテックカメラとの出逢いの曲がこの『ウォークアウトトゥウィンター』、冬へと歩き出そう、と言う曲になります。
歌詞の内容は、かなり自分なりの訳で恐縮なのですが、”嘗てパンクムーブメントを経験しストラマーの洗礼を受けたけど、それはそれで苦く且つ甘い思い出だったりするけど、それはそれで一旦ありがたく受け取っておくとして、でももう僕達は不平不満ばかり述べてはいられないし、前を向いて冬(厳しい現実)に向かって歩き出さないといけない所に来たと思う、一緒に冬に向けて歩き出そう、寒さは君を目覚めさせ、雪の中にはきっと何か大切なものが眠っているはずだから、それを一緒に掘り起こそう、僕も必ずそうするから、一緒に冬に向けて歩き出そう”、って言う感じの歌詞かと思います。
ここで言う"冬"と言うのは、実社会とか、厳しい現実とか、そう言ったものの比喩なのかな?ってずっと思っています。そうした厳しい現実を直視し立ち向かい頑張っている内に、何か社会の一員として責任を持って働く事の喜び、一生懸命働いた結果、貰える給与を得る喜びとか、何か大切なものをきっと掴めるはず、って言う事を当時19歳だったロディ青年は言いたかったのではないかと思っています。
このアルバムからは既に、下記の通り二曲紹介済ですが、他にも良い曲は数多く、またどこかでご紹介するかもしれません。
第212話. 晩秋に似合う曲・気になった音楽(36)Aztec Camera『THE BUGLE SOUNDS AGAIN』、第154話. 気になった音楽(23) Aztec Camera『Lost Outside The Tunnel』
第212話. 晩秋に似合う曲・気になった音楽(36)Aztec Camera『THE BUGLE SOUNDS AGAIN』、第154話. 気になった音楽(23) Aztec Camera『Lost Outside The Tunnel』
では、休み中は、この曲のように清涼感のある曲を中心にご紹介するつもりです。
では。
湖畔人