★石川啄木:1886年.2.20~1912年 4.13 享年26歳 没後108年
・啄木忌 母を背負ひし ことのなく ・・・・・・大串章 様・作
・今日で没後108年になりますね・・・。
・10年前にも「啄木忌」として、書いていましたから以下気に入った短歌をまた借りてこようと思います。
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彼の処女作でもあります、「一握の砂」から代表的な歌をいくつか選んでみました。
ン十年ぶりに読んでみますと、実に判り易い歌が多く、直線的に詠んでいたのが良く分かります。
◆ 「一握の砂」から・・・
・東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
・頬(ほ)につたふ
なみだのごはず
一握の砂を示しし人を忘れず
・砂山の砂に腹這ひ
初恋の
いたみを遠くおもひ出(い)づる日
・いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ
・たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず
・こころよく
我にはたらく仕事あれ
それを仕遂(しと)げて死なむと思ふ
・遠くより笛の音(ね)きこゆ
うなだれてある故(ゆゑ)やらむ
なみだ流るる
・はたらけど
はたらけど猶(なお)わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る
・友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ
・何事も思ふことなく
いそがしく
暮らせし一日(ひとひ)を忘れじと思ふ
・眼を病みて黒き眼鏡(めがね)をかけし頃
その頃よ
一人泣くをおぼえし
・ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく
・かにかくに渋民村(しぶたみむら)は恋しかり
おもひでの山
おもひでの川
・石をもて追はるるごとく
ふるさとを出(い)でしかなしみ
消ゆる時なし
・やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに
・わが思ふこと
おほかたは正しかり
ふるさとのたより着ける朝(あした)は
・ふるさとの土をわが踏めば
何がなしに足軽(かろ)くなり
心重れり
・ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
・父のごと秋はいかめし
母のごと秋はなつかし
家持たぬ児(こ)に
・わがあとを追ひ来て
知れる人もなき
辺土(へんど)に住みし母と妻かな
・山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり