チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

約束手形

2016年04月01日 13時12分05秒 | 日記
会社を経営し始めた時
「手形支払い」というのがあるのを聞いて驚いた
そのとき阿呆にも「手形」というのは手の形でそれをお相撲さんの手形よろしく書類に押すのかと思った

実家は商売をやったこともなく
家の仕事は弁護士なので手形決済など聞いたことはない
ところが現実に会社を始めると
現金支払いは出版社関係で着物業界の多くは手形で支払うと言われる

その手形を「割る」といって銀行に持って行くと手数料を引かれるが現金が手元に来る
時代とともにその手数料のパーセンテージも上がり
手形を割るのは損ということになるのだけど
着物業界の場合
台風手形とかお産手形というのがあり
台風は210日お産は10ヶ月後に現金として入る

着物業界が調子の良い間は銀行もスラリと手形を割ったけど
だんだん調子が落ちてくるともう手形を割る銀行はなくなり
下手をすると期日まで待ってもその手形がただの紙切れになることもある

父はそういう取引をするくらいなら仕事をやめなさい
という人だったので
チャコちゃん先生のところは現金取引と決めていた

中にはどうしてもといって手形を切る人もいた
どうしてもの人の手形は紙切れになった

父は「そういうのを約束手形と言って人間としても最も信用ならない、人生の中で約束手形は絶対に切ってはならない」
と言い聞かされてきたーーーが

時々背に腹は変えられないと思って手形をいただき反故にしてしまう
これも父に言わせると「慾をはるから」と戒められる
世の中「慾が失敗のもと」
コメント
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