はりぶろぐ

鍼灸師のブログです。東京都国分寺市にて孔和堂鍼灸院を開業しています。
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芸術の秋 その2

2015-11-09 13:23:10 | 日記
美術館・ギャラリーめぐり。
2ヶ所目は、浅草にある「布文化と浮世絵の美術館 アミューズミュージアム」へ行きました。
『布の絵画BORO~美しいぼろ布展』が開催中で、民俗学者の田中忠三郎さん(青森県出身)が各地で収集した衣服や民具が展示されています。

“ぼろ”とは、江戸時代から何代にも渡り、青森の山村、農村、漁村で使われてきた衣服や布類のこと。
今では“BORO”として世界共通語となっているそうです。

暖房などが充分ではない時代の青森の冬の寒さは過酷で、着ることは食べること以上の死活問題。
服を売っている店がないので、自分で作らなければなりませんが、それも麻を植え、育て、刈り取って糸にして布を織るところからはじまります。一本の糸、小さな布でも大切にして作られたのが、仕事着や晴れ着でした。
その一枚の着物は大切に着続けられたので、綻びにツギを当てたり、防寒のため粗くなった布を重ね合わせて刺し子で補強したり。それでも着られなくなった着物は細かく裂き、再び新しい布を織りました。
少しでも長く着られるようにするために、膨大な手間と時間がかけられていました。


浅草は雨にも関わらずたくさんの観光客で賑わっていましたが、館内に足を踏み入れると外の喧騒が嘘のような静かな空間。
あまり知られていないのか、私たち以外にお客さんの姿はほとんどありません。

ここは写真撮影OK、触ってもいいとのことで、遠慮なくそうさせていただきました。



足袋にも丁寧にツギが当てられています。




農作業に使われていた手袋。現代のようにゴム素材などのない時代、しっかり厚みをもたせて作られています。


上段の奥二枚は大人用のおむつ、その他は女性用の腰巻。


手前が津軽こぎん刺し、奥が南部菱刺し。


右側はタッツケという女性用のももひき。表は麻、裏には木綿を重ねて、その上から菱形の模様を刺しつづっています。
下半身全体を刺し子模様で飾ってある仕事着は青森県南部地方特有で、世界的にも例がないとのこと。


どの衣類や布もそうですが、とにかく細かく縫われています。


青森県津軽の「こぎん刺し」、青森県南部の「南部菱刺し」、山形県庄内の「庄内刺し子」は、日本三大刺し子と呼ばれているそうです。

若い女性が着ていたと見られる着物には、細かいところにかわいらしい色で飾りが入れてあったり、婚礼衣装は特に緻密に飾られていたり。
いつの時代も女性は美しく装うことに情熱があるようですね。

刺し子をしたり繕ったりするのは日々の作務の一つであったと思いますが、そこには他人に対する思いやりや、日々を楽しく過ごす工夫が溢れているように感じました。
眺めていてもそうですし、触れるとより温かさが伝わってくる気がしました。


屋上から見た浅草寺。


傘の花がきれいです。

コメント
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