テロメア 生物の細胞の中にある染色体の両端で、同じパタ-ンの塩基配列が繰り返されている部分で、染色体の端がほぐれないないように保護する役割を持つ。細胞が分裂するたびに短くなりすぎた細胞は分裂できなくなって死ぬことから、細胞分裂の「回数券」に例えられることもある。際限なく分裂を続けるがん細胞などではテロメアを継ぎ足す酵素「テロメラ-ゼ」が働いている。老化やがんに密接に関係するとされ、研究が進められている。
染色体は細胞分裂のたびに短くなるが、ブラックバ-ン氏とショスタク氏は、原生動物や酵母を用いた実験でテロメアが染色体の端を保護していることを発見、1982年に発表した。さらに、ブラックバ-ン氏の研究室の大学院生だつたグライダ-氏は84年、分裂の際に短くなるテロメアを継ぎ足して長さを元に戻す酵素テロメラ-ゼを発見。3氏は実験で、この酵素がないとテロメアの長さが戻らなず細胞寿命が短くなることや、逆にこの酵素を働かせると寿命か゜延びることを実証した。活発に細胞分裂するがん細胞では、この酵素が盛んにつくられており、がん治療の標的にもなっている。また血液の難病、再生不良性貧血などにもかかわっており、臨床への影響も大きい。万能細胞の人工多能性幹細胞(iPS細胞)でもテロメラ-ゼが活性化しているのが判明、再生医療の発展に役立つ可能性がある。