インフルエンザに「効果」 高岡北大教授ら米誌で公表
北大遺伝子病制御研究所の高岡晃教教授(43)=免疫学=らの研究チ-ムが、同大人獣共通感染症リサ-チセンタ-などと協力し、インフルエンザやはしかなどのウイルスに対する体内の免疫を活性化させる分子(タンパク質)の特定に成功した。「ZAPS」と名付けられたこの分子が細胞内に生じると、ウイルスを抑制するインタ-フェロンの増加が確認された。感染症治療や予防への応用が期待されるという。21日付け(現地)の米免疫科学誌「ネイチャ-イムノロジ-電子版」で発表、12月発行の雑誌にも掲載される予定。高岡教授らは体内に侵入したウイルスのRNA(リポ核酸)を感知し、免疫を活性化させる「RIG-I」という分子に注目。インフルエンザに感染したヒト細胞を調べたところ、RIG-Iは、今回発見されたZAPSと結びつくと、肝炎の薬などにも使われているインタ-フェロンを大量に生産することが分かった。 細胞内に存在するZAPSの量が多いほどインタ-フェロンは10倍から数十倍に増加、インフルエンザに対する免疫が活性化され、ウイルス増殖を抑える効果も確認できた。今後はマウスを使い、ZAPSがウイルス感染時に体内でどんな影響を及ぼすかを確認する。高岡教授は「将来的に感染症対策の新薬開発につなげていきたい」と話している。
実用化に期待
北大大学院医学研究科 今村雅寛教授(血液内科学)の話 病原体を幅広く感知し攻撃する自然免疫の活性化の重要なメカニズムの解明で、インフルエンザやはしか、C型肝炎などに広く活用できる可能性がある。ZAPSにより増加が確認されたインタ-フェロンは既に薬として広く使われており、近い将来、実際の治療に活用できることを期待している。