温暖化CO2が主犯?
北海道洞爺湖サミットを前に、地球環境問題が 大きく関心を呼んでいる。官民一体で温暖化対 策やリサイクル、省エネが進むが、一方でその 効果や目的を疑問視する専門家も多い。異論を 唱える3人の意見を基に、環境対策のあり方を あらためて考えた。(萩野貴生記)
6月25日に北大で開かれた地球温暖化講演会。 「温暖化の原因はコンピュ-タ-シミュレ-ション から二酸化炭素(CO2)の可能性が高い。ただ、 科学はわからないことが多く予想は外れるかもしれない」。国立環 境研究所(茨城県つくば市)の江守正多・温暖化リスク評価研究室 長は将来に含みを残す発言をした。環境省が作製した冊子「STOP THE温暖化」。20世紀の100年間に地球の平均気温は0・6度上 昇し、原因は化石燃料を燃やして排出されるCO2と記されている。 今や温暖化の“主犯”はCO2で定着した感があるが、異議を唱える 学者がいる。「『地球温暖化』論に騙されるな!」を書いた東京工大 の丸山茂徳教授(地球惑星科学)だ。
人為的影響には異論 雲によって変動
地球の大気の主成分(体積比)は窒素が78・08 %、酸素が20・95%CO2は0・04%。丸山教授 によると、人類の行為で増えるCO2は気温に換算 すると、年0・004度の上昇にしかならない。丸山 教授は「温暖化ガスの多くが水蒸気で、気温の変 動は水蒸気の塊である雲の量の影響が大きい」とみる。デンマ-クの 研究グル-プは昨年、太陽活動が地球温暖化に影響を与える仕組み を発表した。大要の活動により雲の量が変化し、気温も変わる。気温 変動は人為よりも自然現象に左右されるというのだ。CO2が温暖化を 促すのではなく、気温上昇が逆にCO2を増やすという見方もある。温 度上昇で海中のCO2による温暖化脅威説は「世紀の暴論」との論文 を発表した。ハワイなどでの観測から、気温の上がった半年-1年後 にCO2が増えることが裏付けられたという。
寒冷化の不安も
では、CO2がなぜ“悪玉”とされたのか。丸山教授は「石油資源の ピ-クが見えてきた中、中国やインドなどの消費を迎え込む狙いが ある」とみる。むしろ懸念するのは寒冷化だ。丸山教授らの研究グ ル-プは「太陽活動のピ-クは過ぎている」とし、35年までに地球 の平均気温は0・5度低下するモデルを出した。日本付近は1度下 がる見込みで、「北海道では稲作ができなくなる恐れがある」と懸 念する。今年1月の世界の平均気温は前年比0・5度、低下するな ど既に兆候が現れているという。丸山教授は「日本はCO2削減より、 食糧の安定確保など持論可能社会に向けた投資を優先すべき」と 訴える。これに対し、国立環境研究所センタ-は「温室効果は水蒸 気が最大に寄与している」と丸山教授らの主張を認める。ただ、「過 去50年の気温上昇は人間が出したCO2などの温室効果ガスとい う考えは学会の主流」とし、一線を画す。CO2主犯説一色に染まる 現状。そこからは専門家の意見の違いや、将来の不確実性は見え てこない。
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