最大6・4度?IPCC第4次報告 上昇予測、実は下方修正(精度も悪化) 北海道洞爺湖サミットでも論議の前提となっている気候変動に関 する政府間パネル(IPCC)の「地球温暖化」予測が書き換えられて いた。薬師院仁志・帝塚山学院大教授は「実質的な下方修正」と指 摘する。
研究者が指摘 IPCC第4次報告(2007年)は、2100年までの昇温予測を「1・1- 6・4度」とし、日本ではこの「最大6・4度」なる数字が騒がれた。だが、 これは第3次報告(01年)の「1・4-5・8度」という予測を上方修正し たと言うより、上にも下にも拡大し、あいまいにしたにすぎない。要する に、予測精度自体が下方修正されたのだ。のみならず、第4次報告で は、昇温の予測値もまた、実質的に下方修正されている。IPCCは、 対策の程度に応じた複数のシナリオを作成し、各シナリオごとに昇温 予測の最大値と最小値を算出する。さらに、各シナリオに「ベストの推 計」を設け、極端な値を除いた最も現実的な予測値を明示している。 第4次報告では、持続発展型社会の場合の予測幅は1・1-2・9度で、 そのベスト推計値は1・8度、化石エネルギ-重視型社会の場合の予測 値は2・4-6・4度でそのベスト推計値は4・0度となる。つまり、「1・1 -6・4度」という両極端の中で、IPCCが゛ベストとする予測は「1・8- 4・0度」なのである。だが、第3次報告では、同様のベスト予測が「2・0 -4・5度」であった。すなわち、昇温予測は明らかに下方修正されたこ とになる。結局、人為的温暖化を唱えるIPCCでさえ、その昇温予測の 精度を下方修正したのである。なお、海面上昇に関しては、予測の制度 を上げた一方で、その最大値は88㌢(第3次)から59㌢(第4次)へと 大幅に下方修正されている。
やんしいん・ひとし 1961年大阪生まれ。専攻は社会学。著書に「地 球温暖化論への挑戦」(八千代出版)など。
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