信頼関係、まず家族から
動物は嘘をつかない。嘘をつく動物は人間だけ。そう言われる人が 多いのですが、じつは動物も嘘をつきますよ。たとえば、鳥の巣に蛇 が近づくと、雛を守るために親鳥が蛇の前で、傷ついて飛べなくなっ たような動作をします。蛇はその親鳥を追いかけ、親鳥はよたよたと しながら蛇を誘導し、十分に巣から引き離しておいて、ぱっと飛び上 がって逃げます。これは蛇を騙したのであって、嘘ですよね。また、 擬態と呼ばれるものも、嘘の一種です。小枝とそっくりなシャクトリム シは、捕食者から身を守るための隠蔽的擬態です。もう一つ、標識的 擬態と呼ばれるものもあります。たとえば、蜂とそっくりな蛾がいます が、これは自分を毒針を持つ蜂に見せかけて、身を守っているのです。 このように、動物の世界に「嘘」がないわけでありません。が、その嘘 は敵を騙すためのものです。ですから、われわれは、-嘘は、敵を騙 すためのものだ-と定義しましょう。この敵を騙すための嘘は、人間に も動物にも共通します。しかし、敵ではない見方、仲間を騙す嘘は、 動物の世界にはありません。敵が来たのを仲間に報せないでいると、 その動物は滅びます。仲間に対しては、動物は嘘をつきません。そう すると、この定義によれば、わたしたちが嘘をつけば、それは相手を敵 だと見たことになります。最近問題になった食料品の「偽装表示」です が、賞味期限や原材料のごまかしは、彼ら生産者がわれわれ消費者 を敵と見ていることになります。敵にされたのだから、われわれはもっと 怒りを燃やすべきです。また、政治家が国民につく嘘も、その政治家は 国民を敵と見ていることになります。そうだとすると、われわれ国民は 敵にされてしまったのだから、国民のほうからその政治家を敵と見なし て放逐すべきです。この点では、日本人はあまりにも人が好すぎます。 油断をしていると、日本という国全体がどこかの大国に売りとばされて しまいます。いや、もうそうなっているかもしれませんね。それから、嘘 は敵を騙すためのものであって、仲間に対しては絶対に嘘をつかない ようにすべきです。なぜかといえば、わたしたちのいちばん大事な仲間 は家族だからです。信頼できる家庭をつくることが、いちばん重要な問 題ではないでしょうか。(宗教評論家)
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