宇都宮大など 半導体 容量10倍も
半導体を使った電子部品の小型化に向け、研究を進めていた宇都宮大(宇都宮市)や長岡技術科学大(新潟県長岡市)などのグル-プが、半導体に回路を描く光の微細化に成功した。波長が従来の30分の1で、より小さな回路を描くことができる。グル-プの東口武史・宇都宮大准教授は「実用化すれば同じサイズの電子部品でも容量が10倍以上になる。スマ-トフォン(多機能携帯電話)でDVDが見られるほど性能が上がり、コストダウンにもつながる」としている。研究論文は米専門誌に掲載され、英専門誌「ネイチャ-フォトニクス」でも取り上げられた。宇都宮大によると、回路はレ-ザ-光を使って半導体の表面に描く。波長が短いほど細い線が描けるが、最先端の装置でも波長は193ナノ㍍(ナノは10億分の1)。線の幅は細くて30ナノ㍍程度だ。グル-プは、金属にレ-ザ-光を当てると金属自体からより波長の短い光が出ることに着目。以前から金属のスズで実験していたが、レアア-ス(希土類)を材料にしたところ6・5~6・7ナノ㍍と、より短い波長の光が得られた。幅10ナノ㍍以下の線も描けるという。昨年、レアア-スを使った研究に着手。レ-ザ-光の波長の調整を重ね、レ-ザ-光に対するレアア-スの光のエネルギ-の割合(発光効率)も、実用の可能性が一気に高まる1%を超えた。東口准教授は「発光効率をさらに上げ、10年後の実用化を目指したい」と話している。
※半導体部品の製造 半導体を使った電子部品の製造過程では「ステッパ-」と呼ばれる装置を使い、光で回路図を“縮小コピ-”して半導体の表面に焼付ける。最先端のステッパ-は光線にレ-ザ-光を使うが、次世代型も開発中。レ-ザ-光を金属に当てると金属がプラズマ状態となり、プラズマが出す光を光源とするタイプで、数年以内の実用化が見込まれている。
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