地域の力 子育て支える市民の輪
「ブックスタ-トがあって、親子で行ける図書館 がある。公園や小学校の環境もすごくいい」7年 前に夫の仕事で千葉県から北海道に引っ越して きた小松まなみさん(39)。千歳市に1年住んだ 後、より良い環境を求めて転居を決意。「子育て に必要なものが過不足なくそろっている」と恵庭 に移った。本好きで、3人の子どもにも0歳から読み聞かせをしてきた という小松さん。市が0歳児に絵本を贈るブックスタ-トには、特に魅 力を感じているという。「市が本と子どもをつなぐ取り組みをしているの は、子育て中の親にとってすごくうれしい」
出張読み聞かせ
ブックスタ-トは「絵本に触れることによって、言葉を早く覚える」とい った教育効果に注目が集まりがちだ。しかし、読み聞かせサ-クル 「えにわゆりかご会」の平井立事務局長は「絵本を通じた親子のコミ ュニケ-ションを応援する、子育て支援の一環」と強調する。同会は 2001年、ブックスタ-トを支援するボランティアグル-プとして発足。 9・10ヵ月や1歳6ヵ月健診、子育て支援センタ-に出向き、読み聞 かせをしている。「絵本に出合った親子が、その後も本を通じ、心が 温まる時間を持ち続けられるように」(平井さん)との思いからだ。ブッ クスタ-トをきっかけに、恵庭では本と子どもの出会いを支援する、さ まざまな取り組みが始まった。それらを支えてきたのが、「ゆりかご会」 のような市民ボランティアだ。市立図書館のお話会も市内の読み聞か せグル-プが担当。04年には退職後の男性らによる「男性読み聞か せ隊」もできた。市内の各小学校では、児童や卒業生の母親たちが 「朝読書」の時間に読み聞かせをしている。恵み野旭小で活動してい る鈴木友江さん(46)は「1冊の本で楽しさを子どもと共有できる」と話 す。
父親も協力的に
北海道文教大の元助教授の梶浦真由美さん=札幌市=は、ブック スタ-ト導入当初から、母親対象にアンケ-トを行っている。04~ 05年の調査によると、ブックスタ-トを受けた家庭は「父親が読み聞 かせをしている」「夫が子育てに協力的」と答えた割合が、途中から転 入するなどして配布を受けていない家庭に比べて高かった。梶浦さん は「読み聞かせがきっかけで父親の育児強力が高まり、妻自身の子 育ての楽しさにも影響を及ぼしている。ブックスタ-トは子育て支援と して大きな役割を果たしている」と評価している。
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