学力向上 息長い活動あってこそ
2012年度までに、ブックスタ-トの実施自治体 を現在の90から115に増やす。小学校での「一 斉読書」の実施率を66%から90%に引き上げ る-。道教委が今年3月にまとめた「北海道推進 計画」に、こんな数値目標が盛り込まれた。生涯 学習課は「読書活動は読解力など学力向上にも つながる。乳幼児の時から本に親しんでいれば、 小学校に入学後も読書にすんなり取り組める」と 強調する。1月に公表した道学校改善支援プラン でも学力向上策の一つとして読書推進を掲げた。 義務教育課は「テレビを見る時間が減り、生活リズムが整うなどの効 果もある」と話す。
国語は平均以下
学力向上など教育効果に期待がかかる読書活動やブックスタ-ト。そ の背景には、子どもたちの表現力や読解力といった「言葉」に対する危 機感がある。8月に公表された全国学力・学習状況調査(全国学力テ ス)の結果では、小学生の「国語A」は全国平均を4・9ポイント下回り、 「話す・聞く能力」の弱さが浮き彫りとなった。学力テストと同時に実施さ れた学習状況調査では、道内の小6と中3の読書時間は全国平均より 短く、「1日10分以下」は小6で43%(全国平均37%)、中3で51% (同50%)に上った。恵庭市が6~7月、市内の全小中学生を対象に実 施した子ども読書環境調査の分析をしている同教大札幌校の桑原清准 教授(教育学)は「ブックスタ-トをはじめ、図書活動を軸にした取り組み は、学力形成の大きな下支えになる」と話す。道内でブックスタ-トを実 施している自治体は2000年は恵庭市、01年もほかに3町村だけだっ た。しかし、道が03年度から助成を始めると、一気に拡大。06年度まで に90に増えた。しかし、07年度以降は増えていない。助成制度が05年 度で終わったためだ。「財政難もあり、モデル的に行った。あとは自治体 で取り組んでほしい」と道教委生涯学習課は説明するが、財政難は市町 村も同じだ。
安易な導入疑問
自治体に代わり、民間がブックスタ-ト担う試みもある。03年に始め た小樽市では、NPO法人絵本・児童文学研究センタ-を中心に、市 立図書館や市保険所などによる協議会が実施する形態をとった。費 用の200万~250万円は同センタ-が負担。読み聞かせボランテ ィアの育成も同センタ-か゛担う。工藤左千夫・同センタ-理事長は 「絵本を配るだけなら、単なるばらまき。担当者やボランティアを育て、 10年、20年と継続しなければブックスタ-トの効果はない」と指摘。 そのうえで、「財政難で人手も少なく、担当者もすぐ変わる自治体に、 そこまでできるのか」と安易な導入に疑問を投げかけている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます