衛星デ-タ、見えぬ兆候
地球寒冷化が現実のものになりつつある。過去 30年、米航空宇宙局(NASA)が気象衛星NO AA(ノア)で精密に測ってきた大気温度のデ- タは、「地球温暖化論」に全く合わない。特に最 近一年半は、明確な「慣例化」の兆候を見せている。(橘井潤)
過去30年最近1年半は寒冷化
ノアによる観測は1978年12月にスタ-ト。4百-5百㌔上空を毎日 三周しながら、地球をなめるように計測している。大気については、酸 素分子が出すマイクロ波の振動数を測り、誤差0・01度の高い精度で 温度に換算する。デ-タは常に更新・公開中。都市化などに乱される 地表の温度計とは違って、大気温度をそのまま映し出すデ-タだ。 図はその中で「地球全体・対流圏中層(高度約4千㍍)」の大気の温 度の変化を月ごとに見たグラフ。79-98年の月ごとの平均値を算定 し、それと比べた「ずれ」を示した。横軸の赤線より上は平均より温度 が高かったこと、下は低かったことをそれぞれ示す。グラフを見る限り、 30年間に温度が高い時期も低い時期もあったが、「温暖化」が進んで いる兆候は全く読み取れない。 渡辺正・東大生産技術研究所教授は「温度が高かった時期の大半が エルニ-ニョ現象を反映している。特に大規模な『ス-パ-エルニ- ニョ』(97年春-98年春)の影響が大きかったことがうかがえる」と言 う。また、「メキシコ・エルチチョン(82年)、フィリッピン・ピナッボ(91年) の両火山の噴火でも、火山灰で日照が遮られ、以降数年間の温度が 低かった」とも指摘する。一方、最近の一年半に注目すると、0・5- 0・6度も単調に下がり続け、「温暖化」どころか急速な寒冷化が読み 取れる。渡辺教授は「地球の気温を大きく左右する太陽活動が弱まっ ているため」と推測。気温低下がまだ一度にも満たないため、急を要す る話ではないが、「地球寒冷化」は今後も進む可能性があるという。「二 酸化炭素(CO2)による地球温暖化」が定説のように語られている北海 道洞爺湖サミット。宇宙からの正確な観測デ-タからは、全く異なる地 球の姿が浮き彫りになる。
エルニ-ニョ現象、ラニ-ニャ現象 太平洋赤道域の中央部から南米 のペル-沿岸にかけての広い海域で、海面水温が平年に比べて高くな り、半年から一年半ほどその状態が続くエルニ-ニョ現象。数年に一度 発生する。反対に、同じ海域で海面が平年より低い状態が続くのがラニ -ニャ現象。それぞれ世界各地の気温や降水量に大きな影響があると される。
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