゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

家庭や人格映す「食卓」岩村暢子著

2008-01-14 14:00:00 | 本と雑誌

いわむら・のぶこ 1953年、檜山管内江差町生まれ。著書に                             「変わる家族 変わる食卓」など。

普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓 普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2007-10

評・野田 正彰(精神科医)

夕暮れのどこかの住宅街へ迷い込み、どの家もどの家も寄港したば                           かりの客船のように輝いているのに、驚かされることがある。住宅の                           イルミネ-ション(電飾)が、あちこちの街で流行しているようだ。本                            書はイルミネ-ション化する家庭、イルミネ-ション化する人格につ                           いて、クリスマスと正月の食卓の調査から述べている。主婦達たちは                          ウキウキ、ワクワク楽しめるクリスマス気分に向かって、わが家を飾り                          たてる。子どもが中高生になっても、サンタクロ-スを装ってプレゼン                           トを続け、「サンタクロ-スを信じる子は夢のある子」「信じているうち                           は、ウチの子は大丈夫」と思い込んでいる。もしもウチの子が子どもじ                          みた喜びを見せなくなると、「つまらない」「イマイチ(私が)盛り上がら                          ない」と感じる。しかしイルミネ-ションしている家の方が、親子一緒に                          クリスマスの食事をする率も、主婦が料理を作る率も低い。つまり他                           人の目に、家族が仲良く幸せそうと映っているかどうか、それにこだ                           わっているだけである。他方、華やかさに欠ける正月はクリスマスほ                           ど好まれない。四十歳を過ぎても夫の家か実家へ行き、お雑煮を食                           べさせてもらい、お年玉をもらったりしている。そんな主婦たちに正月                           などの行事の意義について尋ねると、「今の時代、こうしてあえて意                           識して、意識して、努力して伝えていかないと伝統は守れない気が                           するんです」と答える。実際にしていることと、「考え」とがあまりにも                            遊離し分裂している。彼女たちの「考え」なるものは、皆が言うであろ                           う「考え」でしかない。だがその矛盾に気付かない。首都圏223世帯                          の調査から、中高生になる子どもに「現実」より「夢」を見続けさせた                           がる母親たちは、自分自身も現実を正しく見つめない人であったかも                           しれない、と結んでいる。精神科の臨床や少年非行から見える親や                           家族関係と、食卓の分析から見えてくる家族像がまったく同じである                          のに、私は感心する。

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