闘う物理学者! 天才たちの華麗なる喧嘩 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2007-07-26 |
物理といえば「難しい。分からない」。物理学者といえば「難解な 言葉を使い、気難しい」-のイメ-ジ。「サイエンスライタ-」または 「科学作家」の肩書きを持つ物理学博士は「そんな先入観を打破し たかった」。著名な学者たちの人間的な側面を切り口に科学の道 にいざなう。日本人にはおなじみのノ-ベル物理学賞受賞者の 湯川秀樹と朝永振一郎。二人は旧制三高、京大と同期生だ。だが 朝永が「くりこみ理論」で受賞したのは1965年で、湯川の「中間子 理論」が認められた49年の十六年後。そのほかの業績も、おおむ ね湯川に10年、後れをとっている。すでに中間子理論を発表してい た湯川が、三十二歳の若さで京大教授に就任したころ、朝永はま だドイツ留学中の身。ライバルの成功物語に気持ちが焦っていた 朝永は、死さえ意識したことを日記に告白する。一方、ノ-ベル賞 受賞を機に目まぐるしい日々を送った湯川も、一人になれないことが 重荷だと、日記に漏らしていた。筆者は「あんなに業績のある著名 な人たちが、苦しみのなか生きていたなんて」と取材を通して驚く。 「自分も頑張ってみようかと勇気を与えられませんか」物理学専攻 の学生にとっての基本書「ファインマン物理学」を書いた米国のリチ ャ-ド・P・ファインマンは、冗談とストリップバ-が好きな、ふまじめ とみられがちな人物。だが話が面白く人を引きつける力があり、講 義は大人気だったという。「著書は確かに分かりやすく読みやすい。 人柄が著書の内容や、その多さにも影響したんですね」東大からカ ナダ・マギル大に進み博士号習得。論文を読み解き科学を分かりや すく解説する「サイエンスライタ-」の道に入った。欧米に比べて、 日本ではまだ、さほど一般的でない職業。約五十冊の著書を出す 傍ら、一般の人の科学への関心を高めるため、昨年からはテレビの バラエティ-番組にもレギュラ-出演。「物理は実は身近な学問な んです。携帯電話やパソコンが使えるのは、量子力学のおかげ。 衛星利用測位システム(GPS)も相対性理論の原理で実用化でき たのです」無類のネコ好きで、三匹のネコに囲まれて暮らす。「マイ ペ-スな姿に、何ともいえず心をいやされる」 横浜市在住。四十七歳。
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