゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

こだわり選書<マンガ>

2008-01-07 17:30:00 | 本と雑誌

徹底的な無意味さに脱帽 評論家 阿部 幸弘

星降る夜は千の眼を持つ (BEAM COMIX) 星降る夜は千の眼を持つ (BEAM COMIX)
価格:¥ 1,449(税込)
発売日:2007-11-26

今回のイチオシは、ウエケンこと上野顕太郎の「星降る夜は千の眼                            を持つ」だ。この本にはギャグマンガ家の魂が宿っている-などと                           書くと大げさに響くだろうか。だが、たかがマンガ、されどマンガ。思                           いっきり無意味なこともここまで徹底されると、もう、笑いながら脱帽                           するほかはない。ある時は、いろいろな<マンガの描き方>の本を                           紹介しながら、「マンガの描き方の書き方」についてウンチクを広げて                          みたり、またある時は、マンガに関するささいな小ネタを、やたらに狭                           く深く調べてこだわってみたり、さらには歴代のギャグ漫画家を、水木                          しげるの妖怪図鑑に模して珍獣のごとく紹介してみたり、呉智英のマ                          ンガ評論に対して、文章でなくマンガで評論返しを描いてみたり・・・。                          まあ、なんとさまざまにアイデアがあることよ。しかも、いちいち飼料                            をそろえたり情報を整理するのが大変そうなのに、喜々としてやって                           いる(?)ように見える。本来、ギャグの作家は、自分が描いている                            作品の形式そのものを(ついつい)もてあぞぶものだ。いやそれこそ                           が身上とさえ、言えるかもしれない。ゆえに、実は王道を行くウエケン。                         ゆっくり味わいたい娯楽大作だ(ぶ厚くて読み応えアリ)。

どんぐりの家それから (ビッグコミックススペシャル) どんぐりの家それから (ビッグコミックススペシャル)
価格:¥ 1,000(税込)
発売日:2007-10

こだわりの人という意味では、山本おさむも負けていない。聴覚障害                           者の生き方を描き始めてからの彼は、一途というほかはない。決して                           器用とは言えないその絵柄や語り口も、長年一つのテ-マに真摯に                           こだわると、むしろ誠実さとして立ち現れてくる。新刊「どんぐりの家~                          それから~」は、聴覚障害者のための老人ホ-ム建設運動や、授産                          所の実態などを描く。ぜひ本書後半まで読んでほしい。障害者自立支                          援法がいかに障害者の自立をはばんでいるか、その実態がドラマとし                          てリポ-トされている。社会に目を向けるマンガ家も必要だ。

きまぐれな輝き きまぐれな輝き
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2007-11

川崎タカオの初単行本「きまぐれな輝き」には、近ごろ珍しく男の純                           情が描かれている・・・ただしギャグとして。それでも一抹の切なさが                           漂っているのが、救いのようなむしろこっけいなような。ある評者が、                           川崎ゆきおの「猟奇王」の系譜を指摘していたが、なるほど、<ダン                           ディ-さゆえの情けなさ>はたしかに共通項だ。

不安の種+ 1 (1) (少年チャンピオン・コミックス) 不安の種+ 1 (1) (少年チャンピオン・コミックス)
価格:¥ 420(税込)
発売日:2007-07-06

不安の種+ 2 (2) (少年チャンピオン・コミックス) 不安の種+ 2 (2) (少年チャンピオン・コミックス)
価格:¥ 420(税込)
発売日:2007-12-07

一発ギャグならぬ、一発ホラ-を詰め込んだ、中山昌亮の「不安の                           種+」。二巻目も好調で、何も考えず楽しめる。子供のころ、こんな                            恐怖話ばかりしていた日のことを、誰もが思い出しそう。

僕とポーク 僕とポーク
価格:¥ 1,000(税込)
発売日:2007-12-06

ほしよりこの新刊「僕とポ-ク」は、残念ながら筆者には期待はずれ                           だつた。「猫村さん」の方が圧倒的に面白い。ただ、例のかそけき絵                           柄には相変わらず癒される。

コメント    この記事についてブログを書く
« 土と作物のはなし① | トップ | 食の「真偽」<道新文化部> »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本と雑誌」カテゴリの最新記事