ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

正当業務行為

2009年10月20日 18時49分18秒 | 刑法
通信の秘密に対する総務省の見解
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/11/14/13944.html



では、正当業務行為と思ってしていたのに、正当業務行為とは認められなかった場合。


この場合、違法性に関する事実の錯誤か、違法性の錯誤か。


前者の場合、違法性阻却事由の錯誤になります。

これは誤想防衛と同じと考えると、事実の錯誤として、誤想防衛は急迫不正の侵害がないのにあると誤信して正当防衛を行ったことですから、責任故意が阻却されるとする責任阻却事由説を採る自説からは、この場合も同じく責任阻却されると考えられます。


正当業務行為について、急迫不正の侵害は要件となっていないので、これは目的の正当性や必要性、相当性の錯誤などが当たるでしょうか。



後者の場合、違法性の錯誤、すなわち法律の錯誤になります。

この場合、違法性の意識の可能性があれば責任故意は阻却されないが、可能性がなければ責任故意が阻却されると解します。



以上のことから、正当業務行為と思っていたのに、正当業務行為とは認められなかった場合、違法性の事実に関する錯誤の場合、違法性の錯誤の場合、いずれの場合でも、責任故意が阻却される場合があるといえます。
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同意

2009年10月20日 16時22分28秒 | 刑法
財産罪や自由に対する被害者の同意は構成要件該当性を阻却すると解し、傷害に関しては違法性を阻却すると解します。

傷害に関しては、身体、生命は存在そのものに価値があるので、同意があっても法益侵害性は認められるからである。


では、通信の秘密を公務員や電気通信事業者が害した場合、処罰されますが、当事者が同意した場合はなぜ犯罪が成立されないのでしょうか?

電気通信事業者やインターネットプロバイダ協会は違法性が阻却されるとしています。

通信の秘密の趣旨は主にプライバシー保護にあるといえるので、上の例だと構成要件該当性が阻却される気がします。

また、同協会は正当業務行為として違法性が阻却されるともしています。

この場合の正当業務行為が成立するには、
目的の正当性
通信の秘密を害する必要性
手段の相当性
を要件としています。

目的の正当性というのは目的手段審査みたいです。

この基準は刑法においても参考になりそうです。
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