ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

一部認容判決

2009年10月24日 23時24分12秒 | 民訴法
一部修正しました。

通常一部認容判決は処分権主義が問題になるのですが、下記のように抗弁を提出した場合は弁論主義の問題になるのかな?


甲は乙に対して、不動産の明渡請求をしたが、乙は80万円の有益費償還請求権を被担保債権として留置権の抗弁を提出した。

しかし、審理の結果、乙は120万円の有益費償還請求権を有することが判明した。



このような問題で、甲の無条件に対する明渡請求に対して有益費の引換給付判決は一部認容判決として246条に反しないため認められる。

しかし、120万円は弁論主義に反するから裁判所は80万円の引換給付判決しかできない
と解答にはあります。



これは、乙が抗弁を提出したからかなぁ?



仮に乙が反訴として提出したなら、80万円の有益費償還請求は乙の請求として扱われる。

しかし、乙は80万円しか請求していないのに、120万円の認容は乙の意思を超える。

また、甲は乙の反訴により80万円までは覚悟していたのに、120万円となることは不意打ちになる。これは、処分権主義の請求の特定を当事者に委ねた趣旨に反する。
よって80万円しか認容できない。になるのかな?


この場合と違って、乙の反訴ではなく、甲が80万円と引換に引渡請求していたのであれば、120万円との引換給付判決は甲の意思に反しないし、乙にも不意打ちにはならないため、一部認容判決として、認められる。



乙の抗弁としての提出の場合は、弁論主義の内容となり、第一テーゼに反するから80万円しか認められないのかなぁ。

ちょっと不明です。



乙の主張が抗弁ならば、既判力は甲の引換給付判決にのみ認められ、留置権及び有益費の金額は理由中の判断となりそうなので、乙は後訴で残額40万円の有益費償還請求が認められるんでしょう。


一方甲が有益費は80万円ではなく、10万円だという主張は信義則により遮断されます。


乙の主張が反訴であれば、既判力は甲の請求に対する一部認容判決としての引換給付判決と、乙の反訴に対する認容判決として留置権と有益費償還請求に認められ、金額の80万円は理由中の判断になるのかな?

平成21年度民法第1問再現

2009年10月24日 17時24分42秒 | 民法
平成21年度民法第1問再現


民法一問目

小問1
父BがCから甲絵画を取り戻すには、子Aの代理行為の効果が父Bに帰属しないことが必要となる。

まず、BはAがCに代理行為を行う前に取消しており、遡及効から代理行為が消滅しないか。

委任状の作成は、委任契約と有因たる代理権授与行為と認められるため、委任状の作成によって代理権が付与され、委任契約の取り消しによって、有因たる代理権授与行為も取消され、消滅する。よって、Aの代理権も消滅する。

よって、父Bの追認ない限り、Aの代理行為はBに帰属しないのが原則である。

しかし、かかる取消しによる消滅について知らず、委任契約が存在することにつき、Cが信頼した場合、表見代理として112条によって保護されないか。

112条は外観法理の規定であり、外観の存在、本人の帰責性、相手方の信頼を満たせばよい。

父Bは委任状を回収しておらず、委任契約が存在するような外観の存在あり、父Bも回収しなかったことについて帰責性がある。

また、相手方の信頼は、善意、無過失を要すると解する。
Cは画商であるが、Aは父Bの子供であり、子が父の絵画を売りに来ることもあり得るといえるため、Cが善意、無過失であれば、Cは保護される。

また、父BはAは未成年として代理行為の取り消しを主張しうる。
しかし、103条は代理人は行為能力を不要としている趣旨から、制限能力者を理由として取消に遡及効を認めることは取引の安全を害することから、将来効というべきである。
よって、未成年を理由に取り消しても影響はない。

さらに、Aはバイクを買うためと返済のためという不一致が見られ、心裡留保として93条但によってCが保護されないのではないかと考えられるが、Aの意思は売買であり、父Bとの表示に動機の表示に不一致があるのであり、Cとの契約には関係がなく、心裡留保に当たらない。

以上から、Cが表見代理として保護されるなら、Aは取り戻せない。

小問2前段
Bは売却代金を自己の株式購入資金のため、乙自動車をAの代理人として売却した。
AはDから取り戻せるか。

Aが取り戻すためには、父Bの代理行為の効果がAに帰属しないことが必要となる。

利益相反行為として無効か。
利益相反行為の禁止は子の財産の確保にある。しかし、親権者には包括的代理権があり、相手方の保護が必要となる。
そこで、利益相反行為かどうかは、外形的、客観的に判断すべきである。

本問においては、父Bの行為は客観的には子の親権者の範囲内であり、利益相反行為に当たらない。


しかし、着服の意図で子の親権者としての表示は不一致があり、心裡留保に類似する。
そこで、93条但書類推適用から、Dが悪意、有過失ならば、無効と解する。

したがって、Dが父Bの着服の意図について悪意、有過失ならば無効であり、Aは取り戻せる。

小問2後段
親権の喪失が宣告されている場合、法定代理権を表見代理の基本代理権として112条の適用あるか。

包括的代理権を有している親権者があった場合、その後親権が消滅したとしても取引の安全から相手方を保護すべきである。
よって、法定代理権を基本代理権として112条が適用され、相手方は親権喪失について善意、無過失ならばDは保護される。

したがって、相手方が親権喪失について及び着服の意図について、善意、無過失ならば保護されるため、AはDから自動車を取り戻せない。

                              以上



感想
全体的に舌足らずな文章です。
小問1のAC間の心裡留保は蛇足です。
委任契約の取り消しは将来効なのに、遡及効になってます。
結論に影響はないですが、現場の混乱によるミスです。



第2問の再現はほとんどありません。

流れは、
小問1
Cが資力があるならCに請求できるため、BはCに請求すべき。
Cが無資力ならBは本来分割債務とするならD、Eに請求できるのに不当。

そこで、D、Eに請求する法律構成が問題となる。

共同相続人間においては担保責任が発生し、求償が可能であるから、連帯債務の相続の論証を書いて(分割か相続人間で連帯債務か→分割債務)分割債務となるとし、Bはこれに基づき、D、Eに請求できるが、全額請求はできない。

そして、D、Eは相互に内部で相続分に従い求償可能。

また、遺産分割は物権的変動といえるし、条文上もそのような記述あり(911条)。
よって、解除も可能とし、Fは解除前の第三者として保護される。

小問2
乙マンションは、D名義しかし、Aの地位を相続する。AはGに対して売買していたのであるから、Gに移転されている。
よって、DはGに対抗できない。

とすると、Dが害されるから、各共同相続人は、911条の他人物売買の担保責任(561条)から求償又は解除にしました。



感想
第2問はかなり分からなかったです。
連帯債務の論証を書いたのは失敗です。普通に分割債務と書けばよかった。
また、BがD、Eに対して請求できる根拠がないです。
免責的債務引受の同意がない場合というのは思いつかなかった。

結論はまあ、妥当だと思うのですが、流れがぐちゃぐちゃです。




評価はCでした。