ティム・バートンが監督した作品かと思って行ったら、違うんですね。
シェーン・アッカー監督がUCLAの卒業制作で完成させた11分の短編作品『9』に
ティム・バートンが感銘を受けて全面協力し商業化した映画でした。
古びた研究室の片隅で、奇妙な人形が目を覚ました。
麻布を縫い合わせて作られた身体、腹部には大きなジッパー、背中には数字の“9”が描かれている。
自分が誰なのか、ここがどこなのか、彼にはわからない。
恐る恐る外を見ると、見渡す限りの廃墟が広がっていた。
茫然とする彼の前に現れたのは背中に“2”と描かれたボロ人形だった。
2は壊れていた9の発声装置をなおし、自分たちは仲間だと語りかける。
自分が独りではない事を知り、ホッとする9。だが突如現れた巨大な機械獣の襲撃に2人は逃げまどう。
2は9をかばって連れ去られてしまった。
気を失っていた9を助けたのは他のナンバーをつけた人形たちだった。
リーダーの“1”、人のいい職人の“5”、風変わりな芸術家“6”、そして腕力自慢の“8”。
彼らは機械獣の脅威に怯えながらも、その小さなコミュニティで慎ましく暮らしていた。
9は彼らに2を救出に行こうともちかけるが、慎重で保守的な1に阻止される。
気持ちを抑えきれない9は5を誘って機械獣たちの棲み家へと向かう――。
人類はなぜ滅びたのか?9体の人形は何のために作られたのか?
戦いの中で次第に明らかになってゆく謎。未だ見ぬ黙示録が今、幕を開ける――。
(公式サイトより)
人類滅亡の原因とその後の世界観とか、人形の存在理由とか、仲間と協力して敵を打つなど
SFとしては、それほど目新しくないストーリーだと思います。
この映画の見どころはストーリーよりもやはり、フルCGにもかかわらず
コマ撮り(ストップモーション・アニメ)のようなキャラクター達の造型と動きにあると思います。
それと、ストーリーとしての世界観ではなく、
独特のダークな雰囲気(T・バートンにも通じる)がある世界の見せ方ですか。
監督自身が影響を受けたアーティストにヤン・ジュヴァンクマイエルをあげているので
成程なというところです。
T・バートンの『アリス~』が公開されてますが、
ヤン・ジュヴァンクマイエルにも『ALICE』という作品があります。
こちらはストーリーは元々の不思議の国のアリスを使い、
実写のアリスとコマ撮りの組み合わせで毒っけたっぷりな、かなりそそる映像を見せてくれます。
グロテスクなコマ撮りではブラザース・クエイも忘れてはいけない。
『ナイン9』の機械獣が2の抜け殻を使い自ら作り上げた蛇型機械獣の造型は
ブラザース・クエイっぽいおぞましさでゾクゾクしました。
ヤン・ジュヴァンクマイエルもブラザース・クエイもコアなファンがたくさんいて
その道では知らない人はいないだろうけど、
一般的にはくいつきにくい作品が多いと思いますが(自分はかなり好きです)
『ナイン9』はそのテイストを持ちながら普通に楽しめるダークファンタジーになってると思いました。