beatitude

好きなことだらけさ…

ベルリン国立バレエ団『シンデレラ』 全2幕

2011年01月16日 | バレエ

2011年1月15日(土) 18:00開演 東京文化会館

マラーホフ版の『シンデレラ』を観てきました。
古典版の『シンデレラ』とはちょっと違って、時代は現代です。
簡単に言ってしまうと“シンデレラ”という名前のバレエリーナがトップスターを目指し、
その座を手に入れるというストーリーになってます。
登場人物は古典版になぞらえていて
ゲスト・ダンサー→王子、甘いモノ好きとアル中の二人のバレリーナ→意地悪な姉二人、
芸術監督→継母、バレエ・マスター→父親、元プリマ→仙女、といったところですかね。


第1幕、幕が上がるとそこは、とあるバレエ団の稽古場。
有名ダンサー(王子)の到着を待ちながら練習をしているシーンから始まります。
ここで人間関係がほぼ分かるようになってました。
左右両脇には、たいして上手くもないのに野心満々でデカイ顔をしていい加減にレッスンしている
甘いモノ好きのバレリーナとアル中のバレリーナw
(この二人は芸術監督からはえこ贔屓されてるんですね)
中央にバレエ・マスターや元プリマに才能を認められているシンデレラ。

男性ダンサーが踊るこの意地悪バレリーナは、いわば目玉。
にしては、このレッスン風景、けっこう間延びして見えました。
新しい衣装の中に自分たちの衣装が無いのを知り、
新しいステップをバレエ・マスターに見せつけたりして、面白いんですが、
なんか中途半端でやや退屈
レッスンも終わり、稽古場にひとり残ったシンデレラが
トップダンサーになりたいと考えているうちに眠ってしまい夢を見始めます。
稽古場は王宮に変わり、元プリマが仙女となり、妖精たちが現れてシンデレラにドレスを着せ、
12時までに舞踏会から戻るように告げます。
小柄なヤーナ・サレンコはかわいく変身

第2幕、王宮の舞踏会シーンからです。
舞踏会に集まってる女性陣は全員金髪のショートカットヘア。
ドレスも短めで、軽やかです。
そこへ芸術監督が例の二人を連れて登場。
バレエ・マスター、王子と登場し、最後にシンデレラが現れます。
王子はシンデレラにクギヅケですが、例の二人がちょっかい出す出すw
舞台が華やかな分、観ていて楽しかったです。シンデレラと王子もキッチリ踊りますし。
(ここでシンデレラは己の魅力を全開で発揮します。)
そうこうしてるうちに12時の鐘が鳴り、シンデレラは目を覚まします。――そこは元の稽古場。
(そう、この物語にはガラスの靴は登場しません。)
再びレッスンを始めたバレエ団にゲストのスターダンサーが到着します。
その晩の公演パートナーをスター・ダンサーが決めることになっていて、
芸術監督はあくまで例の二人をプッシュしますが、彼が選んだのはシンデレラ。
夢と現実が一つになり、シンデレラは王子とともにスポットライトの中に歩み出していきます。幕。


プログラムを読むと、マラーホフはこのお話の中で、
おとぎ話の『シンデレラ』とは違うサクセスストーリーを表現したとあります。

「王子が彼女を選ぶのは、彼女の靴のせいではない」
「彼女は、自己のベストを尽くして成功する」


確かに魔法でタナボタ式に幸せを手にするシンデレラではなく、
日々の稽古を怠りなく、高みを目指して常に努力し最後はスターの座を手にするシンデレラなので、
メインは稽古場。だけどやっぱりみため的に殺風景。
一生懸命練習してる場面も、いささか緩慢。
自分の才能と努力で成功を掴むという肝心な部分が
今ひとつ迫って来ない。作品としてはつまんなかったかも。
シンデレラがメインのはずが、二人のバレリーナのケバさと
何かやるぞと言うところに意識がいっちゃってw

アル中のバレリーナのフェデリコ・スパリッタがイケイケで面白かったです。
甘いモノ好きのライナー・クレンシュテッターはやや地味。
マラーホフが“甘いモノ好きのバレリーナ”を踊ると
また違った印象なんでしょうね。

そうそう、客席にマラーホフが座ってました。
いろんな方と挨拶を交わし、モレシャンさんとも喋ってました。
後ろからだったので表情までは見えませんでしたが、穏やかな空気が流れてました



〈キャスト〉

シンデレラ:ヤーナ・サレンコ
ゲスト・ダンサー/王子:マリアン・ヴァルター

甘いモノ好きのバレリーナ:ライナー・クレンシュテッター
アル中のバレリーナ:フェデリコ・スパリッタ
元プリマ/仙女:エレーナ・プリス
芸術監督:バーバラ・シュローダー
バレエ・マスター:トマス・カールボルグ
衣裳デザイナー:エルフィ・グンプレヒト
そのアシスタント:マルツェナ・ソバンスカ

春の妖精:菅野茉里奈
お付きの騎士:タラス・ビレンコ
夏の妖精:サラ・メストロヴィック
お付きの騎士:スフェン・ザイデルマン
秋の妖精:寺井七海
お付きの騎士:ドミニク・ホダル
冬の妖精:クラジーナ・パヴロワ
お付きの騎士:ケヴィン・プゾー

舞踏会の人々:
ヤーナ・バローヴァ、マリア・ボムポウリ、アニッサ・ブリュレ、ソラヤ・ブルノ、
エロディー・エステーヴ、ヴェロニカ・フロディマ、針山愛美、ヨアンナ・ヤブロンスカ、
エリナー・ヤゴドニク、アナスタシア・クルコワ、ワレリア・マナコワ、ニコレッタ・マンニ、
ナターリア・ミュノス、クリスティアーネ・ペガド、巣山 葵、ヴェレーナ・サーム、クセニア・ウィースト

マルチン・アロヨス、ゲヴォルク・アソヤン、タラス・ビレンコ、ミハエル・ファトゥラ、
クリスティアン・クレール、マリアン・ラザール、エイメリック・モッセルマンズ、
アレクセイ・オルレンコ、ハビエ・ペーニャ・バスケス、アレクサンドル・シュパク、
デイヴィッド・シミック、ウリアン・タポル、メフメト・ユマク


振付・演出:ウラジーミル・マラーホフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ヨルディ・ロイク

指揮:ヴェロ・ペーン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団