2011年1月20日(木) 開演18:30 東京文化会館
あっいや、言葉がない…凄いマラーホフ観ちゃいました
今回の公演で一番観たかった、ボリス・エイフマン振付の『チャイコフスキー』です。
エイフマンの作品は去年の3月に新国で観た『アンナ・カレーニナ』に続き2作目。
この『チャイコフスキー』も人の心情とか感情というものを
すべてダンスによって表現するという素晴らしいものでした。
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーという芸術家の内面世界を
その死に至るまでの過程を、圧倒的なパフォーマンスで表現していたマラーホフ。
自分自身どこまで理解できていたかはかなり自信ないですが、倒されました。
冒頭部分から緊張感があり、まだ若く溌剌とした自己の分身を用い、
自己との対話、芸術、苦悩を表現していきます。
チャイコフスキーの作品であるカラボス、黒鳥(男性ダンサー)、白鳥、ドロッセルマイヤー、
王子、少女、スペードの女王と様々なキャラクターが重要な意味合いをもって登場し、
そこに現実世界での、妻ミリュコワや支援者であるフォン・メック夫人との関係性が見えるようです。
光り輝く王子様でもなく、メチャクチャ楽しいキャラクテールでもない、凄味のあるマラーホフ。
加えて、ベアトリス・クノップのしなやかさ、ナディア・サイダコワの狂気、
その相乗効果は膨れ上がります。
無駄な物をそぎ落としたような舞台美術も素晴らしく、
魚眼レンズで見たようにデフォルメされた門(?)がバックにあり、
どこかSFチックでありながら、荘厳な雰囲気が醸し出されていて目を引きます。
その円形状に沿って、場面ごとに照明や幕でいろいろに変えていく手法も幻想的。
効果的な銀の傘、2幕でのテーブルの使い方も驚きました。
衣装もステキでフォン・メック夫人の落ち着いた色合いと流れる動きが綺麗でした。
できることなら、もう1回観たいです。
〈キャスト〉
チャイコフスキー:ウラジーミル・マラーホフ
分身/ドロッセルマイヤー:ヴィスラウ・デュデク
フォン・メック夫人:ベアトリス・クノップ
チャイコフスキーの妻:ナディア・サイダコワ
王子(若者/ジョーカー):ディヌ・タマズラカル
少女:ヤーナ・サレンコ
ヤーナ・バローヴァ、マリア・ボムポウリ、アニッサ・ブリュレ、ソラヤ・ブルノ、
エロディー・エステーヴ、ヴェロニカ・フロディマ、マリア・ジャンボナ、ステファニー・グリーンワルド、
針山愛美、ヨアンナ・ヤブロンスカ、エリナー・ヤゴドニク、菅野茉里奈、アナスタシア・クルコワ、
ワレリア・マナコワ、ニコレッタ・マンニ、サラ・メストロヴィック、ナターリア・ミュノス、
クラジィーナ・パヴロワ、クリスティアー ネ・ペガド、巣山 葵、寺井七海、
ヴェレーナ・サーム、クセニア・ウィースト
マルチン・アロヨス、ゲヴォルク・アソヤン、ミハエル・ファトゥラ、アルシャク・ガルミヤン、
ドミニク・ホダル、アレクサンドル・コルン、クリスティアン・クレール、マリアン・ラザール、
アルトゥール・リル、ウラジスラフ・マリノフ、エイメリック・モッセルマンズ、アレクセイ・オルレンコ、
ハビエ・ペーニャ・バスケス、ケヴィン・プゾー、スフェン・ザイデルマン、
アレクサンドル・シュパク、デイヴィッド・シミック、フェデリコ・スパリッタ、
マルチン・シィマンスキー、ウリアン・タポル、メフメト・ユマク
台本・振付・演出: ボリス・エイフマン
音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
装置・衣裳: ヴァチェスラフ・オクネフ
指揮: ヴェロ・ペーン
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団