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『シアター!』 有川浩 著 メディアワークス文庫
有川浩の作品は『図書館戦争』シリーズを別冊を含め完読してますが、
他は読んだことがなく、『シアター!』が2種類目(?)です。
良くも悪くもライトノベル!『図書館戦争』同様、登場人物、場面、声、全てが
頭の中で映像化され、まるでアニメを見ているように読み進んでしまいます。
おまけに今回は画付きでキャラ設定を巻頭にズラッと提示してあって(これってマンガの単行本だよね)
この画で動くは動くは、読後は半期分(全11~12話)のアニメを一気見した気分で
ああ~面白かったってなもんです。
(出だしを読んで、2、3日後に一気読みしました)
経営難の劇団に現れた救世主は、鉄血宰相!?
小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!
その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。
司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。
できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。
新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。
そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが……!?
(本書裏表紙より)
しっかりした金銭感覚を持ち、普通の大人として生きている兄:司と
大学生感覚のまま、好きだから貧乏も当たり前と、マイナー劇団を主宰している弟:巧。
劇団の話だから巧の方がメインかと思いきや、どちらかと言うと司の方がメインかな。
小劇団というある意味閉じた世界を外側から関わっていく司が
読んでいる側には一番近いかもしれません。
(演劇とか劇団関係の方々が読むとまた違うのかもしれませんが。)
赤字劇団の泣き虫主宰とはいえ、それなりに才能がありそうな巧と
そんな弟を信頼してついて行っている団員に対して
自分は「作る側」の人間ではないと、関わる度に思い知らされる司。
その事実自体は、役者の父親をもった子供の頃から分かっている寂しさなので、
そこはオトナの司さん、慌てず、妬まず、淡々と…鉄血宰相カッコイイかも
もう一人のメイン羽田千歳は、プロとしてやっていくにはの部分を担当かな。
この子の自分に自信を持ちたい、上手くなりたい、という気持ちも伝わってきます。
演劇畑ではありませんが、自分も若い頃は「作る側」のプロを目指して懸命にやってました。
才能がないと気が付いて結婚に逃げました~