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9曲の恋

2021-10-10 23:07:18 | 日常
 宅飲みで暇にあかして久々の鈴木正博シリーズでもいっとくとするか。

下記は好きな曲ではあるが9回続く話ではないのと初めて訪問いただく方には
実際にあるような場所や名称があったとしてもあくまでフィクションであり
実在の話でないのは念の為お断りしておく次第。


9 10$の恋


憂歌団は俺の10代後半の頃にお気に入りの
ボーカル木村、ギター内田、ベース花岡、ドラム島田の4人編成のバンドだが
もう既に解散している上、島田は亡くなっているので再結成の可能性は全くない。
個人的にはちょっと痴呆的な歌い方の木村が目につくが
ギターの内田勘太郎(宮古島在住)のスライド(ボトルネック奏法)が
秀逸で近年も難波でのライブに観に行ったくらいである。
同じ曲で内田のギターをよく聴いてもらえる方ならこちらをどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=6oRfzY1VIp0&t=4s
今では専用の物があるがその奏法の通り
当時本当に瓶の首を切って使っていたのが 判ると思う。
嘘かか真実かは不明ながらカルピスのネックが最適だと内田は言っていた気がする。


「黄昏流星群」をご存じだろうか。



作家弘兼兼史の劇画でビッグコミックオリジナルで連載されている物だ。
テーマは第一話の序章に述べられている。

「四十歳を越え多くの大人達は、死ぬまでにもう一度、

燃えるような恋をしたいと考える。

それはあたかも黄昏の空に飛び込んでくる流星のように、

最後の輝きとなるかもしれない。

この熱い気持ちを胸に秘めつつ、落ち着かない日々を送る大人達を

我々は・・・・・・黄昏流星群と呼ぶ。」

まさしく鈴木正博を代弁するような言葉として引用させていただいた。



第15話

『由美子』


還暦を過ぎて妄想するのは若い頃のように
素直に燃えるような気持ちになれる恋愛だ。

それが出来ないのはやはり年齢や経験を積むと
世間体とか見栄とか打算みたいな
却って余計な物を沢山身につけてしまったからではないのだろうか。

では何故それが出来ないのか。
答えは至極当然でその歳になるとおそらく多くの男性は結婚して
所帯を持ち子供や場合によっては孫もいるだろうし
連れ合いと死別か離婚でもしていない限りは
社会的にも不倫なんてご法度になっているからに他ならない。

また独身時代の頃で且つ学生であればで生活費や小遣いも
親がかりで経済面に関してはに不自由していない場合も多く、
ちょっとした贅沢なら精々アルバイトで賄えられたとなれば
好きな女性とのデート代だけを考えてりゃ良かった訳である。

恋愛が成就して結婚に至るケースは極稀にはあっただろうが、
見合いじゃない限り付き合って即プロポーズする者はまずいないし、
結婚後に待っている子育てや所帯のやりくり、
亭主の親の看護や介護まで頭に入れて付き合う
相手方女性もまずいないに違いないだろう。

若かった頃のふられた失敗や過ちを今なら違う態度で
やり過ごせるなんて思うのは正博だけではないだろう。

10代後半、20代前半の若かった頃と60過ぎのジジイでは
蓄積してきた経験は3倍以上。
違って当然、むしろ怖いものなく思った事を突き進めた
無謀な行動なんて今の正博には出来っこないのだから。

精々出来るとすれば飲み屋のママやホステス相手に
冗談交じりに口説く程度の話である。
精々は場合によってプラスアルファ的に女性客で気の合う
相手がいた程度だったろうか。


周囲に迷惑をかけない限り向こうは商売、
こちらは客、その時点で五分五分の関係でないのは承知の上だ。

愛想を振り撒きおべっかも使うだろうし、
ひょっとして千に一、万に一俺に惚れてるのかと思わせる女は
ある意味プロ中のプロであるが近年ではそれすら希少な事であろう。

懇ろになるシチュエーションとなれば却って気後れしてしまうのも
小市民的な性格だと自覚する正博だった。

食事に誘って同伴出勤もOK。
結局そこから先に行くまでを楽しむのが目一杯ところで
ユーミンの「14番目の月」そのものなのさ。

その逆転現象が発生してしまったのである。
それは正博の発想には全くなかったことだった。


長くなったので続きは次回。