日々の暮らし*『瓦礫の中の幸福論』(著者:渡辺 淳一)

2022-03-27 | 本が好き
 このところ「戦争」について考えることが多くなりました。

私が育った札幌では大きな空襲がなかったためか、戦中戦後の様子を学校で教わった記憶がなく、

札幌で生まれ育った父や、父方の祖父母からも聞く機会がないまま幼少期を送りました。


 先日たまたま手にした『瓦礫の中の幸福論』



 実は、著者である渡辺氏が少年時代を過ごした実家は、私の家から歩いて10分ほどの距離。

氏は親の世代ですので暮らした年代は異なりますが、通学路も生活圏も重なります。

毎日あの道を歩き、あの方角に目を遣ってあの山を望まない日はなかったはず。

 そんな氏の著書『瓦礫の中の幸福論』に、戦中戦後の札幌が描かれていました。

大きな空襲がなかったというのは結果論で、防空壕を掘り、バケツリレーの訓練に励む日々。

灯火管制のため読書が出来なかったという小学校高学年の渡辺少年は、

もし爆弾を投下されたらバケツリレーなど何の役にも立たないと思ったそうです。

しかしもちろん、子供心にもそれは言ってはいけないことと理解していたそうで、

私は初めて、あの界隈に実際に起きた出来事や人々の心情を知り、

まるで父母の膝の上で話を聴く子供のような気持ちで、本を読み進めました。

 敗戦後、北海道ならではの不安に人々は戦々恐々としていたそうです。

それは「ソ連軍による侵攻」。

すぐにも米軍に占領されると思いきや、十日経っても一向に来る気配がないところへ、

日本領だった満州、樺太、千島列島がソ連軍に占領されたという情報。

次は北海道か  と人々が恐れおののくのは無理もないことでしょう。

どうせ占領されるなら、暴挙が伝えられるソ連軍より米軍の方が・・・と噂していたところ、

マッカーサー元帥が厚木飛行機に降り立ったのは、敗戦から2週間あまり経った8月30日。

その後、敗戦国としての扱いを受けたものの、道民や市民はひとまず安堵したそうです。


 読み終えても遠い昔の出来事とは思えず、一日も一刻も早い戦争の終結を望むばかりです。


お読みくださいましてありがとうございます。
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4 コメント

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そうなんですね (hirorin)
2022-03-28 09:47:26
渡辺淳一さんのおうちとJulietさんのご実家が近いとは・・・
本を読むと、すぐに思い浮かべられるし親近感が沸きますよね。
私は関西だし、両親や祖母・姑からよく戦争の話を聞いていました。
多分みんな、戦争に負けることは分かってたんだと思います。
でも言ってはいけないことだと。

以前、NTTのデータは京都と北海道に保管してあると聞いたことがあります。
今回のロシアの暴挙で北海道の方は怖いだろうなと思ってます。
日ソ不可侵条約なんか平気で破りましたもんね。←古い・・・

毎日のテレビ映像は、怖いです。
戦争になると弱者が一番の犠牲者になります。
どうぞ、早く終わってくれと祈るばかりです。
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hirorin さんへ (Juliet)
2022-03-28 10:30:26
hirorin さん、こんにちは

>渡辺淳一さんのおうちとJulietさんのご実家が近いとは・・・

他の作品に登場する場面でも、場所や景色が容易に思い浮かぶことが多々有り、
私の高校時代、全校生徒を前に講演していただいたことも含めて親近感を覚えているんです


>私は関西だし、両親や祖母・姑からよく戦争の話を聞いていました。

hirorin さんのご両親は、西宮で生まれ育った私の母とおそらく同世代と思いますが、
焼夷弾や闇市など「内地」ならではの子供の記憶を話してくれたものです。

>今回のロシアの暴挙で北海道の方は怖いだろうなと思ってます。

札幌には空襲が少なかったものの、海沿いの町は大きな被害を被りました。
最近、根室沖で領空侵犯とか、北海道の西方海上にミサイル落下などと報じられる度に案じています。

>日ソ不可侵条約なんか平気で破りましたもんね。←古い・・・

日本の敗色が濃くなったタイミングでソ連は一方的に破って満州に侵攻し、野蛮な行為の数々。

>戦争になると弱者が一番の犠牲者になります。
どうぞ、早く終わってくれと祈るばかりです。

本当に。。
映画『ひまわり』でアントニオ(マストロヤンニ)が言った「どうしてこんなことに・・・」は、
いま世界中の人々に共通する気持ちだと思うのですよ。
返信する
道民ならではの思い (Jo)
2022-03-31 10:41:55
渡辺淳一氏の本は何冊か読んでいますが、この本は知りませんでした。
私も道産子なので「北方領土は我が国の領土です」という政府CMを観て育ちましたから、今回の戦争は他岸の火事には思えなくて、鬱々とした気分になります。
特に故郷の留萌地方は戦後の樺太からの引き上げ船が旧ソ連(99.9%)の潜水艦によって爆撃を受け多くの引揚者が亡くなった土地なので、一層、そんな風に感じるのかもしれません。

昨日「ひまわり」を観てきました。
途中のドキュメンタリー風の映像が悲しすぎて・・・
一日も早い戦争の終結を祈るばかりです。
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Jo さんへ (Juliet)
2022-03-31 11:56:01
Jo さん、こんにちは。

留萌地方のご出身でいらっしゃいますか。
終戦記念日といえば8月15日ですが、ソ連による蛮行はその後も続き、
三船の殉難は北海道への上陸が目的だったのではないかと知り戦慄を覚えました。

>今回の戦争は他岸の火事には思えなくて、鬱々とした気分になります。

島国で近隣諸国とは言語も異なるため逃げ場の無い日本は東欧より攻めやすいのではと、
戦争やミサイルの報道を見聞きする度に、これらの国々の近さを恐ろしく思います。

>昨日「ひまわり」を観てきました。
途中のドキュメンタリー風の映像が悲しすぎて・・・

キーウ(キエフ)の昔ながらの建物や街並みの美しさは、もう二度と戻っては来ないのですね。

雪の情景を描かせたら渡辺淳一は秀逸です
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