空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

たかがカバーされど・・・ 

2008-03-01 | 日日是好日


この題、何番煎じでもまぁいいか

最近買った本はみんな読んだので、積読の中から選んできた。これはカバーがとても気に入っていて、付いているしおりも綺麗なのですぐにわかる。
カバーは白く光るコーティングで汚れにくい、しおりは銀色で10センチまでメモリが入っていて少し厚目の金属のように見える紙製。
ほかの本屋さんでももう少しセンスのいい汚れにくいものを作ってほしい。前に貰ったのは紙の上に薄いポリのカバーがあって二枚セットになっていた、それが全くサイズが合わないので開くたびにずれて困った。それにいつも思うのだが折り目が大きすぎる。表紙にきちんと合ってないとどうも気持ちが悪いのではずして折り直さなくてはならない、本屋さんというのは余り忙しそうには見えない(見えないところで忙しかったらゴメンだけれど)、買った時にきちんと合わせて折ってくれたら気持ちがいいと思うが。本を読むような暇人は自分で折り、忙しい人はカバーはしないのかも。

そろそろ読んでみようかなという気分になった。別段急いで読まなくてもよかったのだが、久々に金城武が主演する映画の原作だという。ミーハーなので読まなくてはいけない。
「死神の精度」伊坂幸太郎 文春文庫 345ページ (解説まで)

一応短編集なのだがまだ三話目にさしかかったところだけれど、主人公の死神というのが生か死か、生かすべきか殺すべきかを判定する。彼は人間というものや、その環境がよく分かっていないので、目に映るものが新鮮で、不思議だらけなのである。この本ちょっとおもしろいかも。

「訊きたいんだが」と私は言った。
「何だよ、おっさん」阿久津は乱暴に言うが、昨日よりは親しさを見せた。
「藤田はどういう男なんだ?」
「馬鹿にしてんのか」
「俺の知っているやくざとは、印象が違う」
 阿久津はそこで意表を衝かれたかのように、はっとして、その後で顔を綻ばしそうになった。けれそすぐに顔を引き締め、「そりゃ、そうだ。藤田さんは珍しい。珍しいくらいに格好いい男なんだよ」と無理やりに作った不貞腐れた口調で答えた。

もし阿久津のように、ひそかに兄貴を褒められたいと思っているところに、不意に誰かに褒められたら、驚いてどんな顔をしたらいいか分からないだろう。褒められたいと思っていることでもそれは自分が基準なので比べるほどのことはないのであって、あからさまには言ってほしくないが、といっても誰かにちょっとでも認めてほしいということはある。だがそれは大げさに褒められるとくすぐったいくらいの些細なことの方が多い。実は死神は兄貴・親父がよく分からず実際の親をさすのではなく役職としての親だと解釈する
冷静に見ればたいしたことは無くて褒められるのはお門違いだというくらいなものだが自分の尺度としては褒めてもらってもいいかもしれないと思っている。
それがおおっぴらに褒められるともっと優れたものはたくさんあるし人前で褒められる基準には到底満たないということは分かっている。だから素直に礼がいえないということもある。褒められたらかえって表ざたにはしないでほしかったという思いの方が強くなることもある、そんな面倒くさい気持ちがここを読んでにやっとする。

随所に、何気なく見逃している日常茶飯の出来事が新鮮な角度から見ることが出来て面白い。

「でもよ、これ格好いいよな。ブラウン・シュガー」
「茶色の砂糖か?」喫茶店でそういう角砂糖なら見たことがある。
「この曲だよ。知らねえのかよ、あんた。藤田さんの好きな曲なんだけど、やっぱり趣味がいい」


「藤田さんは本当の任侠の人なんだよ」阿久津が自慢げに言った。
「にんきょう?」
「そんなのも知らねえのかよ」阿久津が優越感を覗かせた。「辞書引けって、辞書」
「どういう意味なんだ?」
「弱きを助け、強きをくじく」
「クジク?」足をくじく、という言葉なら知っている。
 阿久津は言ったそばから、照れ臭さと誇らしさのせいなのか顔を紅潮させた。

この、姿を変えられる死神というのが面白い 

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