どん・さばてぃー「に」→「に」じのかなたに(虹の彼方に)
いい監督は、大抵、耳もいい―といったのは井上ひさしで、これには自分も異論はない。
黒澤の『野良犬』(49)では、若い刑事と若い犯人が泥まみれになって戦うクライマックスで、唱歌『蝶々』が流れる。
なんだか分からないが、このコントラストにやられた。
巧い! というより、これを流すのか! という驚き。
キューブリックも、そういう意味では「既に」教科書的か。
宇宙遊泳と『美しき青きドナウ』。
狂ったヤンキーに、ベートーベン。
教科書的ではあるものの、下手に真似すれば大怪我を負うことになる「絶妙さ」加減があって、結果、亜流も生まれ難いという面白い現象が起こっている。
自身の選曲センスを「ときに露骨だよ」と笑ってみせるスコセッシ(=『グッドフェローズ』(90)でシド・ビシャスの『マイ・ウェイ』を流す)、
逆に自画自賛をするタランティーノ(=『イングロリアス・バスターズ』(2009)でデヴィッド・ボウイの『キャットピープル』を流す)、
最新ロックやクラシックを巧みに使いこなすデヴィッド・フィンチャーなどなど、確かにみんな、耳がいい・・・といってみせる自分は、舌も耳もアソコもいいとはいえないのだけれど。
あんまり耳のいい印象がない香港出身のジョン・ウーだが、ひとつだけ「巧いな!」と思える選曲シーンがあった。
刑事と犯罪者の顔が入れ替わるSFアクション、『フェイス/オフ』(97)。
銃撃戦を子どもに見せたくない、その音さえ聞かせたくなかった大人たちは、子どもに「これを聴いていなさい」とヘッドフォンをかけさせる。
そこで流れる曲が、『虹の彼方に』。
これがそのまま銃撃戦のBGMとなっていて、ひじょうに効果的だった。
オリジナルはもちろん、『オズの魔法使』(39)の劇中歌。
先日のコラムでモノクロームの映画について書いたが、そういえば本作も、モノクローム/カラーを絶妙にブレンドした技ありの作品である。
ともかくジュディ・ガーランドの歌った『Over the Rainbow』は、観たことがないひとでも歌だけは知っている「超」のつく大メジャーで、耳音痴の自分が無理をして解説する必要はないだろう。
映画は小学生のころ、音楽の授業で観た。
当時は「脳のないカカシ」にしろ「心のないブリキの木こり」にしろ「臆病なライオン」にしろ、なんて安っぽい衣装とメイクなのだろうと馬鹿にしていたけれど、その手作り感のぬくもりこそ本作の魅力なのだ・・・と気づいたのは、高校時代に観返したときだった。
ちなみに。
よく知られた話ではあるが・・・
耳のいい監督のひとり、デヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』(90)は、『オズの魔法使』を下敷きにしたロードムービーであり、原作小説とオリジナル映画に触れていれば「より」楽しめる創りになっている。
なに?
あまりのパンク調「改変」に、憤慨したオリジナルファンが続出?
いや、だからそれは、オリジナルへの敬意の表しかたっていうのは、いろいろあるから。
あれだってリンチなりの、愛なわけですよ。
まぁ、理解され難いだろうけれど。
※では、手嶌葵のバージョンで。これ、すごくいい。
来年最初のしりとりは・・・
にじのかなた「に」→「に」こーる・きっどまん。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『黒いパンツ』
いい監督は、大抵、耳もいい―といったのは井上ひさしで、これには自分も異論はない。
黒澤の『野良犬』(49)では、若い刑事と若い犯人が泥まみれになって戦うクライマックスで、唱歌『蝶々』が流れる。
なんだか分からないが、このコントラストにやられた。
巧い! というより、これを流すのか! という驚き。
キューブリックも、そういう意味では「既に」教科書的か。
宇宙遊泳と『美しき青きドナウ』。
狂ったヤンキーに、ベートーベン。
教科書的ではあるものの、下手に真似すれば大怪我を負うことになる「絶妙さ」加減があって、結果、亜流も生まれ難いという面白い現象が起こっている。
自身の選曲センスを「ときに露骨だよ」と笑ってみせるスコセッシ(=『グッドフェローズ』(90)でシド・ビシャスの『マイ・ウェイ』を流す)、
逆に自画自賛をするタランティーノ(=『イングロリアス・バスターズ』(2009)でデヴィッド・ボウイの『キャットピープル』を流す)、
最新ロックやクラシックを巧みに使いこなすデヴィッド・フィンチャーなどなど、確かにみんな、耳がいい・・・といってみせる自分は、舌も耳もアソコもいいとはいえないのだけれど。
あんまり耳のいい印象がない香港出身のジョン・ウーだが、ひとつだけ「巧いな!」と思える選曲シーンがあった。
刑事と犯罪者の顔が入れ替わるSFアクション、『フェイス/オフ』(97)。
銃撃戦を子どもに見せたくない、その音さえ聞かせたくなかった大人たちは、子どもに「これを聴いていなさい」とヘッドフォンをかけさせる。
そこで流れる曲が、『虹の彼方に』。
これがそのまま銃撃戦のBGMとなっていて、ひじょうに効果的だった。
オリジナルはもちろん、『オズの魔法使』(39)の劇中歌。
先日のコラムでモノクロームの映画について書いたが、そういえば本作も、モノクローム/カラーを絶妙にブレンドした技ありの作品である。
ともかくジュディ・ガーランドの歌った『Over the Rainbow』は、観たことがないひとでも歌だけは知っている「超」のつく大メジャーで、耳音痴の自分が無理をして解説する必要はないだろう。
映画は小学生のころ、音楽の授業で観た。
当時は「脳のないカカシ」にしろ「心のないブリキの木こり」にしろ「臆病なライオン」にしろ、なんて安っぽい衣装とメイクなのだろうと馬鹿にしていたけれど、その手作り感のぬくもりこそ本作の魅力なのだ・・・と気づいたのは、高校時代に観返したときだった。
ちなみに。
よく知られた話ではあるが・・・
耳のいい監督のひとり、デヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』(90)は、『オズの魔法使』を下敷きにしたロードムービーであり、原作小説とオリジナル映画に触れていれば「より」楽しめる創りになっている。
なに?
あまりのパンク調「改変」に、憤慨したオリジナルファンが続出?
いや、だからそれは、オリジナルへの敬意の表しかたっていうのは、いろいろあるから。
あれだってリンチなりの、愛なわけですよ。
まぁ、理解され難いだろうけれど。
※では、手嶌葵のバージョンで。これ、すごくいい。
来年最初のしりとりは・・・
にじのかなた「に」→「に」こーる・きっどまん。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『黒いパンツ』