Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

トラビスは不眠症

2012-12-07 00:15:00 | コラム
相変わらず昼間に寝て夜にモノを書く生活を続けている。

つまり日光を浴びる機会がほとんどない。
ないにも関わらず、なんとなく、なんとなくだが肌が黒い。

ん?
自分、色黒だったか? みたいな。

まぁ色白ではなかったけれど。
こんな顔して美白もないだろうから、それでいいのだが。


それはともかく。
うちの団地、夏から耐震工事が始まっていて、この音が米軍の騒音被害以上に自分を悩ませる。

地響きが、すごいのなんのって。

A型の神経質だから、まーーーーず眠れない。
じゃないにしても、この状況で眠れるひとのほうが少ないか。

いや分かっている、工事の必要があるってことは。
そのまんまにしていたら、いつか起こるといわれる東海や首都直下型地震のとき、団地は全壊するかもしれないし。
地獄絵図のような笹子トンネルの事故も、結局はそういうことが原因だったわけでしょう。

だから舌打ちをすることはあるが、ベランダから作業員に向かって怒鳴ることはしない。

当たり前じゃないか、バカヤロウ。
面白くもなんともない、「聞かせる」という努力さえしない選挙演説には怒鳴っていいかもしれないが、これはちがうだろうと。

とはいえ安眠も大切である。
いまさら昼夜逆転を戻すことなど体質的に? 難儀で、夜のほうがいいモノが書けるという根拠のない自信も手伝って、このリズムを変えるつもりはないのだった。

そんなわけで酒を多めに呑み、酔うことで工事の音(騒音、とは表現出来ない)を誤魔化すことにする。

それでも眠れない場合は、とりあえず自慰をする。
果てたら疲れて眠れるだろう・・・という計算だが、逆に元気になって目が冴えてしまう。

その展開になってやっと、
あぁ自分は、軽度の不眠症でもあったのだと改めて思い知らされる。

そう、とりあえず耐震工事を原因にしてみたが、工事前だって大して眠っていなかった。

大して寝ていなくとも身体は動くしモノは書けるしマスもかけるし、基本的には問題ない。

じゃあ、べつにいいんじゃね? という話なのだが、いや、だからその、まったく寝ないというわけではなく。
短い時間であっても布団に入ったときは、静かで穏やかな気分に浸りたいなぁ、、、という。

まぁでも工事は半永久的につづくわけではないから、終了まで我慢するほかないのだろう。町田の未来がかかっているのだから。


不眠症といえば、その代名詞はトラビス・ビックルである。

わが親友、キチガイのモヒカン野郎だ。

素直過ぎるわが親友は、タクシー会社の面接でこう話す。

「どうしてこの仕事を?」
「夜、眠れなくてね。だったら稼ごうかと」
「ふだんは、なにしてる?」
「夜通しバスに乗ったりとか・・・」
「ポルノでも観るんだな?」
「ときどき行くよ」


無愛想というわけではないが、愛想がいいともいえない。
だが面接官と同じ「海軍出身」というのも効いたのか、どうやら「即決」らしい。
こうしてトラビスは、タクシードライバーになった。

トラビスが眠れない理由は、直接的な言及はないものの「ベトナム」が遠因にあるとされている。

同じデ・ニーロが演じた『ディア・ハンター』(78)の主人公の「その後」と考えれば、納得のいく設定かもしれない。
親友クリストファー・ウォーケンに死なれ、好いていたメリル・ストリープに振られ、さらに地獄の戦場がフラッシュバックされる・・・だとすれば、不眠症になるのも無理はないだろうし。

トラビスの深刻度が100だとするならば、自分のは、せいぜい20くらいだろう。

友人が目の前で死んだわけでもないし、戦場で地獄の体験をしたわけでもないのだから。


で、結論。
「ライカ犬より幸福だ」と自分を慰めたのは『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(85)の少年だったが、
自分もその例に倣い「トラビスより、いいんじゃね?」と思うことにしよう。


ありがとうトラビス、きみはいつだって自分の味方で居てくれる。


※ベッツィ初登場シーン。建物の窪み? に腰掛けているキッタネー男を演じるのがスコセッシだということ、けっこう知られていない。




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コメント (3)
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