Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん男優列伝(338)役所広司

2016-08-30 03:43:06 | コラム
56年1月1日生まれ、60歳。
長崎出身。

公式サイト


ビートたけしは80年代の日本映画界を指し、「緒方拳だらけ」といいました。

たしかに当たっていますね、それでいうと90年代後半は「役所広司(やくしょ・こうじ)だらけ」となるかもしれません。

自分が最も劇場に足を運んでいた時期だったのですが、ややオーバーにいえば、観に行く日本映画のすべてに役所さんが出ていた、、、ような気さえします。

そのくらい、引っ張りだこでした。

作品の質と興行成績が追いついていなかった時代を経て、現在では日本映画を代表する存在に。

硬軟自在ですが、このひとは「深刻であればあるほど、輝く」俳優さんかと。

だから自分のなかでの最高傑作は、これなんです。




<経歴>

無名塾(仲代達矢・主宰)出身。

公務員=役所勤めを経てのデビューだったことから「役所」という芸名にした―というのは、有名な話ですよね。

映画俳優デビュー作は、79年の『闇の狩人』。
翌年、NHKの連続テレビ小説『なっちゃんの写真館』で、テレビデビューも果たす・・・って、観ていたはずなんですけれど、ぜんぜん覚えていないなぁ。

『鬼龍院花子の生涯』(82)、『ひめゆりの塔』(82)、『遠野物語』(82)。

85年―伊丹十三の代表作、『タンポポ』で「白服の男」を好演する。

演技がどうこうというのは分かりませんでしたが、インパクト充分なキャラクターでした。


本来であればここでブレイク・・・してもよさそうでしたが、そうはなりません。

『アナザー・ウェイ ―D機関情報―』(88)で初主演を飾り、
『オーロラの下で』(90)や『極東黒社会』(93)などで熱演するも、なかなか結果がついてこない。

転機は、95年。
日系ペルー人のタクシー運転手に扮した『KAMIKAZE TAXI』(95)がカルト的な人気を博し、映画関係者はもちろん、受け手のほうでも「役所さんは、いい」といった空気が出来上がっていきます。





役所さんのよいところは、メジャーとマイナーを何度も何度も器用に往来出来てしまうところ。

だから『Shall we ダンス?』(96)が大ヒットした年に、『眠る男』(96)のようなアート志向の強い作品にも主演し、

さらにさらに、『シャブ極道』(96)のような映倫を怒らせた問題作にも出るのです。




『失楽園』(97)、
(イマヘイにはもっとすごい作品があるのに、、、という思いから)パルムドール受賞を素直に喜べなかった『うなぎ』(97)、
『バウンス Ko GALS』(97)、
黒沢清の本領発揮、ほんとうに怖かった『CURE』(97)、
現代の『砂の器』を目指したであろう『絆 ―きずな―』(98)、
『大往生』(98)、『たどんとちくわ』(98)、『ニンゲン合格』(99)、『金融腐食列島 呪縛』(99)。

黒沢清の念願の企画も、役所さんの人気のおかげで撮れたかもしれない『カリスマ』(2000)、
『どら平太』(2000)、前述した最高傑作『EUREKA』(2001)、
『回路』(2001)、『降霊』(2001)、『赤い橋の下のぬるい水』(2001)、
佐々淳行を演じた『突入せよ! あさま山荘事件』(2002)、『ドッペルゲンガー』(2003)、『油断大敵』(2004)、『東京原発』(2004)、『笑の大学』(2004)。
『レイクサイド マーダーケース』(2005)、『ローレライ』(2005)、
ハリウッド進出を果たした『SAYURI』(2005)、
『THE 有頂天ホテル』(2006)、『それでもボクはやってない』(2007)、『叫』(2007)、『アルゼンチンババア』(2007)、『バベル』(2007)、『パコと魔法の絵本』(2008)、『トウキョウソナタ』(2008)、『ゼラチンシルバーLOVE』(2009)、『劒岳 点の記』(2009)・・・と、2000年代も好調のまま終わる。

2009年には『ガマの油』で監督業にも挑戦し、ある一定の水準を「きちんと」クリア・・・と自分は思っているので、第2作を期待しているのですけれど、まだですかね??


『十三人の刺客』(2010)、『最後の忠臣蔵』(2010)、『一命』(2011)、
山本五十六を力演した『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(2011)、
『キツツキと雨』(2012)、『わが母の記』(2012)、『終の信託』(2012)、『清須会議』(2013)、『渇き。』(2014)、『蜩ノ記』(2014)、『日本のいちばん長い日』(2015)。

最新作は、徳川家康を演じる『関ヶ原』(17年公開予定)。


そうそう、大和ハウスのCMも面白いですね。
顔がでかいという意味ではなく、まぁでかいのですけれど、顔面力、、、みたいなものがあるんだなぁと、CMからでも伝わってきます。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(339)矢崎滋』
コメント (2)
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