映画のなかの花火といえば・・・
古くはヒッチコックの『泥棒成金』(55)、
映画通のあいだで挙がるのは『わが心のボルチモア』(90)や『ナチュラル』(84)、
変わり種、しかも花火ではなく爆竹だが、香港の『哀戀花火』(93)、
少し前の日本産であれば『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(93)・・・であったのだが、
若い映画ファンのあいだで支持を集めているのは、『海街diary』(2015…トップ画像)のほうかもしれない。
美人と花火―もう、いうことないですな!!
さて。
昔は「なんてこと、ない。」こと、けれども現在では難儀になったこと。
自分が想起するのは、部外者が学校の敷地内に入ることである。
ガキのころは嫌いだったのに、成人以降、妙に鉄棒に郷愁を抱いてしまうというかね。
校庭に忍び込んで、体育のマネゴトをやりたくて仕方ないんだよ。
だから20代のころ、よくアパート近くの小学校の校庭に「勝手に」「侵入し」鉄棒で遊んだものである。
そう。
池田小の事件が起こる前までは、部外者だって(よほどの不審者? でないかぎり)簡単に校庭に入ることが出来たんだ。
いや、いまだってやろうと思えば出来る。
すぐに通報されてしまうがね!!
窮屈な世の中になったものだ・・・と思うけれど、実際にそういう事件が起きた以上、学校側は対策を取らなければならない。
それと同じことが、マンションにもいえる、、、とまで書くと、どこかから注意が入るかな。
マンションは昔から、基本的には住人以外の立ち入りを禁止していた。
けれども、現在ほど「きっちきち」していなかったから、たとえば花火大会の夜、住人に紛れ込んで屋上で見物していようが、それは無問題だったのだ。
自分は19歳の夏、そんな風にして花火大会を見物した。
場所は、調布の南口に建つ高層マンション。
自分はこの区域を担当する新聞奨学生(朝日新聞)だったから、住人さんに怪しまれることもなかった・・・というのもあるけれど。
ひとりで見に行った?
否。
同じ区域を担当する、毎日新聞の女子奨学生Aちゃんを誘ったんだ。
彼女はマンションのエレベーターに乗るとき、「大丈夫? あたしたち部外者だよ」と心配していたが、
「心配ないっしょ。ウチら、イマドキ珍しい、真面目な勤労学生と思われているはずだから」と返した。
「(苦笑)勤労って…」
「俺はちがうかもしれんけど、Aちゃんはそうでしょうよ」
「そうかな」
「大丈夫、ここの住人さんたちとは、ほとんど顔見知りではあるから」
自分の思ったとおりにコトは運んだ。
ただ、住人さんたちに「あんたたち、付き合ってんの?」と冷やかされて困ったが。。。
花火の眺めは最高だった。
あまりにも素敵なのでAちゃんを抱き寄せてキスも「ありかな?」と思ったが、Aちゃんはほんとうに真面目な子なので、それはやめておいた。
いや、まだ童貞捨てたばかりのガキだったから、その勇気がなかったといったほうが正しい。
それから、8年後―。
用事で、夕刻の調布を自転車で走る。
ちょうど花火大会の日だ、自分は思い出に浸ろうと思い、その高層マンションの屋上に上がった。
しかし。
まわりの空気は、あきらかにあの日とちがっていた。
もう勤労学生じゃない―というのもあったろうが、自分は不審者のように見られ、10分も居たら通報されてしまうかのような雰囲気が漂っていた。
やばいな、、、と思って、すぐにその場を去る。
池田小の事件が起こって、2年後のことである。
ほんとうに自分が「不審者っぽかった」という理由のほかに、この事件が遠因にあったような気がしてならない。
「昔は、えがった」というつもりはないが、ちょっと寂しい思いをした、夏の日の出来事であった―。
おわり。
※こちらは、タイトルそのものが「花火」。
本作で、いちばん好きなシーン。
大杉漣のパートではなく、たけしのパートね。
久石譲の軽快な曲に乗せて、パトカー仕様の塗装に励む、なんともユニークなシーン。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『Hey、 Judo』
古くはヒッチコックの『泥棒成金』(55)、
映画通のあいだで挙がるのは『わが心のボルチモア』(90)や『ナチュラル』(84)、
変わり種、しかも花火ではなく爆竹だが、香港の『哀戀花火』(93)、
少し前の日本産であれば『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(93)・・・であったのだが、
若い映画ファンのあいだで支持を集めているのは、『海街diary』(2015…トップ画像)のほうかもしれない。
美人と花火―もう、いうことないですな!!
さて。
昔は「なんてこと、ない。」こと、けれども現在では難儀になったこと。
自分が想起するのは、部外者が学校の敷地内に入ることである。
ガキのころは嫌いだったのに、成人以降、妙に鉄棒に郷愁を抱いてしまうというかね。
校庭に忍び込んで、体育のマネゴトをやりたくて仕方ないんだよ。
だから20代のころ、よくアパート近くの小学校の校庭に「勝手に」「侵入し」鉄棒で遊んだものである。
そう。
池田小の事件が起こる前までは、部外者だって(よほどの不審者? でないかぎり)簡単に校庭に入ることが出来たんだ。
いや、いまだってやろうと思えば出来る。
すぐに通報されてしまうがね!!
窮屈な世の中になったものだ・・・と思うけれど、実際にそういう事件が起きた以上、学校側は対策を取らなければならない。
それと同じことが、マンションにもいえる、、、とまで書くと、どこかから注意が入るかな。
マンションは昔から、基本的には住人以外の立ち入りを禁止していた。
けれども、現在ほど「きっちきち」していなかったから、たとえば花火大会の夜、住人に紛れ込んで屋上で見物していようが、それは無問題だったのだ。
自分は19歳の夏、そんな風にして花火大会を見物した。
場所は、調布の南口に建つ高層マンション。
自分はこの区域を担当する新聞奨学生(朝日新聞)だったから、住人さんに怪しまれることもなかった・・・というのもあるけれど。
ひとりで見に行った?
否。
同じ区域を担当する、毎日新聞の女子奨学生Aちゃんを誘ったんだ。
彼女はマンションのエレベーターに乗るとき、「大丈夫? あたしたち部外者だよ」と心配していたが、
「心配ないっしょ。ウチら、イマドキ珍しい、真面目な勤労学生と思われているはずだから」と返した。
「(苦笑)勤労って…」
「俺はちがうかもしれんけど、Aちゃんはそうでしょうよ」
「そうかな」
「大丈夫、ここの住人さんたちとは、ほとんど顔見知りではあるから」
自分の思ったとおりにコトは運んだ。
ただ、住人さんたちに「あんたたち、付き合ってんの?」と冷やかされて困ったが。。。
花火の眺めは最高だった。
あまりにも素敵なのでAちゃんを抱き寄せてキスも「ありかな?」と思ったが、Aちゃんはほんとうに真面目な子なので、それはやめておいた。
いや、まだ童貞捨てたばかりのガキだったから、その勇気がなかったといったほうが正しい。
それから、8年後―。
用事で、夕刻の調布を自転車で走る。
ちょうど花火大会の日だ、自分は思い出に浸ろうと思い、その高層マンションの屋上に上がった。
しかし。
まわりの空気は、あきらかにあの日とちがっていた。
もう勤労学生じゃない―というのもあったろうが、自分は不審者のように見られ、10分も居たら通報されてしまうかのような雰囲気が漂っていた。
やばいな、、、と思って、すぐにその場を去る。
池田小の事件が起こって、2年後のことである。
ほんとうに自分が「不審者っぽかった」という理由のほかに、この事件が遠因にあったような気がしてならない。
「昔は、えがった」というつもりはないが、ちょっと寂しい思いをした、夏の日の出来事であった―。
おわり。
※こちらは、タイトルそのものが「花火」。
本作で、いちばん好きなシーン。
大杉漣のパートではなく、たけしのパートね。
久石譲の軽快な曲に乗せて、パトカー仕様の塗装に励む、なんともユニークなシーン。
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明日のコラムは・・・
『Hey、 Judo』