Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

6往復目で、やっとハイになる

2012-11-25 00:51:33 | コラム
多めのギャラが振り込まれると、必ずすること。

次も同じような金額が振り込まれるとはかぎらないので、約1ヵ月分の食料などを買い込む。
これがなかなかの量なので、雨用のチャリ(晴天用のチャリは、買い物に適さない)でスーパーを「最低でも」4回は往復することになる。

「最低でも」と強調したように、これだけでは済まないことのほうが多く、平均すると5往復、先日は7往復することとなった。


18ロールのトイレットペーパーをふたつ。(排便回数も量もヒトナミ以上なので、一月18ロールでは足りない)
米10kg~15kg。(これだけ買って、けっこうギリギリ)
煙草2カートン。
ビール・発泡酒・第3のビール、それぞれ6缶入り1ケースを2つずつ。
芋焼酎パックをひとつ。
レトルトカレーを10~15袋。
缶詰など。
麦茶のパック。
即席麺を10~15袋。
酒のつまみ類。
調味料あれこれ。
食器用洗剤、洗濯用洗剤、ボディシャンプー・シャンプー詰め替えパック。
ティッシュ一箱。

チャリにはカゴがなく、背中のリュックに詰め込み、あとは左右のハンドルに袋を掛けるしかない・・・ので、これくらいになって当然というか。

週に1度くらいのペースで買い物をすれば「こんなこと」する必要もないのだが、なんとなく不安なのだ。
これが自分の「習慣」であり、だから3.11後は参った。
普段と同じことをしているだけなのに、「こんなことがあったから」買いだめに走っている「卑しいヤツ」と捉えられてしまうから。

ま、実際に卑しいヤツなので、なんともいえないのだけれども。


ところで。
これだけスーパーを往復すると、筋金入りのチャリダーを自負する自分も、ちょっとだけ負けそうになることがある。

車があれば一発じゃね? と。

確かにそうなんだ、時間の短縮にもなるし。

とくに雨の日がしんどく、先日がちょうどそれにあたった。

翌日にすればいいんじゃね?

いやぁ、それがねぇ、そういうところが「性格に難あり」なのかもしれないが、「きょうと決めたら、きょう」やりたいというか、やるべきと考える性質なので、無理をしてやっちまうのだ。

この時期の雨は既に冷たいし、なにかの罰ゲームなんじゃないかと思う。
自分で勝手にやっているクセしてね。

背中に米10キロ、ハンドルの左右にトイレットペーパーと、強引にビールのパック。
買い物袋、千切れる寸前、、、みたいな。

これは「生活」のためだが、娯楽のため芸術のため、同じように自転車を漕ぎ続ける場面が、映画『ニューシネマ・パラダイス』(89…トップ画像)に登場する。
ひとつしかない映画フィルムを別の劇場で上映するために、自転車でフィルムを運ぶのである。

ほんとうのことをいえば、ああいうのが理想なのだけれどね。

「1」往復をしたらコーヒーと煙草で一服、しかしそれ以上に自宅に留まってしまうと出るのが億劫になるから、気合を入れて「2」往復目を始める。

このまま終了まで億劫のままなのかな・・・と思ったが、「6」往復目でハイになった。

ハイというか、ひとはそれをヤケクソと表現するのかもしれないが、
すべての買い物を終えたはずなのに、まだまだ走りたい気持ちに襲われ、合羽さえ脱ぎ捨て、目的もなしに雨用チャリで疾走を始めたのだった。

これで風邪でも引けば「ちゃんとしたオチ」として成立するのだが、くしゃみひとつしない。

熱い湯に浸かり、酒呑んで、自慰をして、いつものとおり寝た。


こんなことを自分は、少なくとも年に12回繰り返す。

健康的なのか馬鹿なのか、たぶん馬鹿だと思うが、それで落ち着くのだから、たぶん雪の降る日でも、そんなことをやらかすのだろう。


※ヴァン・サント監督だけじゃなく、ダルテンヌ兄弟も少年少女を描くのが抜群に巧い。




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COOLな激情

2012-11-24 00:15:00 | コラム
~12年総括シリーズ Vol.7~

総括の第七弾は、映画に限定した「映画俳優」。

映画作品の総括は来月だけれど、この俳優ランキングだけで日本映画の好調が分かるかと。
とくに1~4位の彼・彼女たちは上半期も下半期も大活躍、印象に残るものが一本でないところが強みで、
さらにいえば、たとえ「うち一本」が駄作だったとしても、魅力そのものは失われない、キャリアの障害にはなっていない・・・そこが素晴らしいねと。


笑顔で笑う、怒りの表情で怒る、哀しそうに泣く。
じつはヒトって、そんなに分かり易くないよ―彼ら彼女らの演技を見ていると、そんな風にも感じられる。
大仰な演技ではなく、COOLな激情といったらいいか、これが現代の映画ファンが求めるもので、この4人の演技はそれに応えたものである、、、自分は、そんな風に解釈した。


(1)安藤サクラ

『かぞくのくに』『愛と誠』『その夜の侍』

抜群の存在感。
出演作に、ハズレなし。とくに『かぞくのくに』は、本年度を代表する一本。

(2)橋本愛…トップ画像

『桐島、部活やめるってよ』『BUNGO ~ささやかな欲望~ 告白する紳士たち 「鮨」』『ツナグ』

『告白』(2010)のときは「それほど・・・」だったけれど、いまは「いちいち」気になる。
『貞子3D』はクソみたいな映画だったが、それは彼女の所為ではない。

(3)染谷将太

『ヒミズ』『生きてるものはいないのか』『悪の教典』

拗ねた感じがグー。
久し振りに、映画向きの俳優の誕生か。

(4)二階堂ふみ

『ヒミズ』『王様とボク』『悪の教典』

デビュー直後の宮崎あおいを髣髴とさせる。
『ヒミズ』で恋しちゃった男子は多いことだろう。自分も、そうだ。

(5)ルーニー・マーラ

『ドラゴン・タトゥーの女』

若き天才がFBを創設するきっかけを作った「地味めの女子」が大変身、これはうれしい驚きだった。

(6)クロエ・グレース・モレッツ

『ダーク・シャドウ』『ヒューゴ』『HICK ルリ13歳の旅』

前年に変わらぬ好調ぶり。
さて来年早々、リメイク版『キャリー』がやってくる。

楽しみ、楽しみ。

(7)伊藤英明

『悪の教典』『BRAVE HEARTS 海猿』

ひとを救う正義感が、数ヵ月後には殺戮教師に。
いかにも映画的で、面白い。

(8)ダニエル・クレイグ

『ドラゴン・タトゥーの女』『007 スカイフォール』

単純に格好いい。
意外や意外、ボンド役もはまっている。

(9)ミシェル・ウィリアムズ

『マリリン 7日間の恋』

世紀の女優に、ちゃんと化けた。
自分がアカデミー協会員であったら、オスカーはこのひとに投票していた。

(10)妻夫木聡

『黄金を抱いて翔べ』『愛と誠』

映画に熱心というだけで、応援したくなる。
最初は野心だけだったような気もするが、最近、巧くなった。

(次点)新井浩文

『その夜の侍』『ヘルタースケルター』『ヒミズ』『アウトレイジ ビヨンド』

映画へのこだわりという点では、妻ブッキーに負けてない。
脚本以上に監督で出演を決めるというあたりが、とても好き。


※安藤サクラ、CMでも「よさ」が出ている




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スタイリッシュは厄介だ

2012-11-23 00:15:00 | コラム
stylish・・・流行にあっているさま、当世風、いき。


最近は顔を合わせてはいないが、ギターを趣味にしている友人が居て、ソイツはさすがに音楽業界について詳しく、自分は色んな質問を投げかけた。

大抵は「最近よく聞く○○ってバンド、どう思う?」というものだが、彼はきまって、

「いいっすよね、スタイリッシュで」と返す。

なんだかなぁ、と思った。

分かったようで、分からないというか。

スタイリッシュということばが、便利に使われ過ぎている気がするんだ。

だから自分は(半分は意地悪で)「どのへんが?」と返したりしていたのだが、
彼は口をモゴモゴさせながら「・・・まぁ、なんというか、全体が」と答えるばかりだ。


正確な意味は冒頭のとおり(『大辞泉』より)だが、日本では「お洒落」「格好いい」「斬新な」「洗練された」という評でも多用されることばである。

まぁそんなこといって、自分だって「○○年代」とか「●●世代」と、なんでもかんでも「括りたがる」傾向にあるから、あんまりひとのこといえないけれど。
いえないけれど、自分のことは放ったままにして話を進め・・・

では、スタイリッシュな映画とはなにか、、、と。

ネット検索してみたところ、日本の映画ファンはデヴィッド・フィンチャーやQTタランティーノの映画をスタイリッシュであると評価していることが分かった。
『セブン』(95)とか、『レザボア・ドッグス』(92)を指してのことだろう。
やや古めの映画では、キューブリックの『時計じかけのオレンジ』(71)とか、ゴダールの『気狂いピエロ』(65)なんかが挙がっている。
日本では岩井俊二の『スワロウテイル』(96…トップ画像)とか、
意外なところではドイツ産の『ラン・ローラ・ラン』(98)が票を伸ばしている。

異論はないよ、確かに格好いいし。

でも格好いいのであれば格好いい、あるいはクールといったほうが適切で、QTだって自作であれほど「COOL!」という台詞を連発しているんだ、スタイリッシュと評されるよりもうれしいと思うんだけれど。
それにQTの映画は基本が騒々しいので、「いき」ではない気がする。

そこで、真にスタイリッシュな映画とはどういうものを指すのかと考えてみた。

全部ではないが、ある作品におけるコーエン兄弟の映画とか。
『ミラーズ・クロッシング』(90)あたりが、そう。
ギャングをあんな風(?)に捉えた映画は、なかったはずだし。

俊英では、クリストファー・ノーランとか。
『メメント』(2000)、『ダークナイト』(2008)、『インセプション』(2010)・・・みんな「流行にあっている」というか、「先取り」している感じがするでしょう。

ネット検索したなかで、唯一「そうかも」と納得がいったのが、『マトリックス』(99)。

過ぎてみれば、あのブームはなんだったんだ・・・という気がしないでもないが、CGや撮りかたではなく、ああいう銃撃戦をスーツやボンテージ衣装、サングラスで展開させ、なんとなく様式美っぽく見せる/魅せるあたり、かなーりスタイリッシュを狙っていたんだと思う。
敵までスーツ姿だし。
モーフィアスなんか、第二作目で「異常に」お洒落だったし。

そういう意味では、やけに格好いい『男と女』(66)あたりも、スタイリッシュということか。

ときどき、デヴィッド・リンチの映画にもそれを感じたり。


・・・って、結局は「当世風」ではなく「お洒落」や「洗練」という視点で選出しているな。

間違いではないのだろうが、本意ではない。

つまりスタイリッシュということばは便利なようでいて、ちょっと厄介であると。

そう認識しているものだから、自分からこのことばを使うことはない。

じゃあ、それらの映画をなんと評しているかって?

全部ひっくるめ「格好いい」の乱暴な略として、「かっけー」。


なんだ、ガキみたいだし、友人のことを馬鹿に出来ないじゃん! って話である。


※確かにこのオープニングは「かっけー」・・・『ラン・ローラ・ラン』より




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にっぽん男優列伝(175)小日向文世

2012-11-22 00:15:00 | コラム
54年1月23日生まれ・現在58歳。
北海道出身。

公式プロフィール…ウェブサイトとして、ひじょーによく出来ていてすごい。所属している蛭子さんのイラストが効いている。


亡くなったばかりの森光子さんもそうだったようですが、
きのうにつづき、「割と」遅咲きの俳優さん登場です。

自分が創りたいのが少年少女のための、少年少女たちの物語・・・のため、どうしたってフレッシュな若いクリエイター、若い俳優に注目しがちですが、
有名になったころ既に人生の哀歓を感じさせてくれるような、苦労してきた俳優さんだって好きです。
若い俳優さんは演技の下手さ加減も「フレッシュさ」で誤魔化すことだって出来ますが、チューネンといわれる世代の俳優さんが演技ダメダメだったら、それは単に実力がないってことで淘汰されていきますから、そうならず残ったという「自信」が演技の根っこにあるのかもしれません、
小林稔侍さんと同様、本日の主役、小日向文世(こひなた・ふみよ)さんの演技は、軽やかなものであれ重みのあるものであれ、「それ」を感じるのですよね。


※武の新作を別次元に導いたのは、小日向さんをはじめとするチューネンたち





<経歴>

遅咲きとはいったけれど、舞台の世界ではそれなりに名の通ったひとであったようです。

小学生時代の学芸会で演じることの快楽を経験するも、「自分には才能がない」と思い込み、絵を描いたり写真を撮ったりすることに夢中になる。
東京写真専門学校を卒業後、俳優への憧れを捨て切れず、中村雅俊の付き人を務める。

77年、『オンシアター自由劇場』に入団。
劇団解散後から、しばらく不遇がつづく。自分がいったのは、この時代のことです。

映画俳優デビュー作は、88年の『上海バンスキング』。
脚光を浴びるのはそれから10年くらい先のことで、それまでは「いったい、どこに居るのか」というような端役が続きました。

90年代後半より、「やや」高めの声と、そのイメージを裏切るかのようなキャラクター性が受け、野心的な映画監督から連続オファーを受けるようになる。
ここに気づいたのは他者である監督さんだったのでしょうか、それとも、小日向さん自身だったのでしょうかねぇ。

小栗康平の『眠る男』(96)、伊丹十三の『マルタイの女』(97)、平山秀幸の『愛を乞うひと』(98)、三池崇史の『オーディション』(2000)、冨樫森の『非・バランス』(2001)、三谷幸喜の『みんなのいえ』(2001)・・・作品の出来不出来に関わらず、どの作品でも印象に残る演技です。

ここからはもう、エンジン全開、
『群青の夜の羽毛布』(2002)、『スウィングガールズ』(2004)、もっと観られていいと思う松尾スズキの監督デビュー作『恋の門』(2004)、初主演を飾った『銀のエンゼル』(2004)、
『いらっしゃいませ、患者さま。』(2005)、『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005…2007年の続編にも出演)、『虹の女神』(2006)、事務的かつ氷のような冷たい態度で主人公を突き放す『それでもボクはやってない』(2007)、『遠くの空に消えた』(2007)、
『ザ・マジックアワー』(2008)、『20世紀少年 ―第1章― 終わりの始まり』(2008…2009年の第二作目にも出演)、『ハッピーフライト』(2008)、若手メインの映画で作品を引き締めた『重力ピエロ』(2009)、
外国映画リメイクの主演を張った『サイドウェイズ』(2009)、『沈まぬ太陽』(2009)、『おとうと』(2010)、たけしを殴り返すシーンが出色な『アウトレイジ』(2010)、『必死剣鳥刺し』(2010)、
ほんとうは、こういうひとなのかな・・・と思わせるソフトな快作『犬飼さんちの犬』(2011)、
『スマグラー おまえの未来を運べ』(2011)、『ステキな金縛り』(2011)、『アウトレイジ ビヨンド』(2012)、
そして最新作は、三谷幸喜の時代劇『清須会議』(2013)。

大活躍、ですなぁ!

そうそう、先日放送された『インファナル・アフェア』(2002)の日本リメイク、TBS×WOWOWの『ダブルフェイス』でも、優しくて面倒見がよく、それでいて恐ろしいヤクザのボスを好演していました。


次回のにっぽん男優列伝は、小松方正さんから。

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にっぽん男優列伝(174)小林稔侍

2012-11-21 05:02:58 | コラム
43年2月7日生まれ・現在71歳。
和歌山出身。

公式プロフィール…光石研もオダジョーも居るし、しかも園子温まで居て、すごい事務所だなぁ


大杉漣や川谷拓三と同じ、つまり、長~~~~~いこと端役が続き、それでも腐らず俳優を続ける・・・うちのかーちゃんも大好きだった小林稔侍(こばやし・ねんじ)さんには、そんなイメージがあります。

NHKの連続テレビ小説『はね駒』(86)の父さん役で知ったひとも多いでしょう、
自分もそうで、斉藤由貴の大ファンだったものだから、学校を遅刻しそうになりながら毎日観ていましたが、中1のガキのクセして「この巧いオッサン俳優は、誰なんだろう」なんて思っていました。

実際、このドラマをきっかけにしてテレビ・映画で大活躍、ユーモラスな一面も持ち合わせていたことから好感度もアップ、多数のCMにも出演することになったのです。






確かに、こういう感じ? のひとを嫌うっていうのはヘソマガリだと思いますしね、
それにしても、もう71歳なんですね。名が知れ渡ったのが40代なのですから、もうそれだけで、なにかを目指しているひとの励みになりませんか。

<経歴>

東映ニューフェイス(第10期)の試験を受け合格、
63年、20歳のころに『警視庁物語 十代の足どり』で映画俳優デビューを飾るも、ここから長~~い下積み生活が始まる。

『忍者部隊月光』(64)から『人生劇場 飛車角と吉良常』(68)、『組織暴力 兄弟盃』(69)、『やくざ刑事』(70)、『戦後秘話 宝石略奪』(70)、『昭和残侠伝 死んで貰います』(70)、『女囚701号/さそり』(72)、『唐獅子警察』(74)、『仁義なき戦い 頂上作戦』(74)、『新幹線大爆破』(75)、『トラック野郎 爆走一番星』(75)、『暴走パニック 大激突』(76)、『ドーベルマン刑事』(77)、『サーキットの狼』(77)、『柳生一族の陰謀』(78)にいたるまで、タイトルだけで物語が想像出来る「特定のジャンル」に連続出演・・・というのは、当時の東映の主流がそうだったということでもあります。

上に挙げた作品は、ほんの一部に過ぎません。
敢えて挙げなかった作品で『網走番外地』がありますが、稔侍さんは第三作目『望郷篇』(65)からこのシリーズの常連となり、監督だけでなく、主演の高倉健からも全幅の信頼を得ていたのだとか。

さらにもう一本、売れてからネタにされたテレビのシリーズ『キャプテンウルトラ』(67、TBS)という珍作があります。
このなかで演じたのがキケロ星人で、

こんな感じだったものだから

とんねるずとかに、いじられまくっていましたねぇ。

そこで照れながらも、自身のキャリアを恥じることなくセルフパロディを演じられるところが、このひとのよさ・強み、、、なのかもしれません。

さて転機の80年代。
『わるいやつら』(80)、『ええじゃないか』(81)、『駅 STATION』(81)、『疑惑』(82)、『楢山節考』(83)などのビッグタイトル、
『狂い咲きサンダーロード』(80)、『十階のモスキート』(83)、『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』(84)、『火まつり』(85)などの野心的なインディーズで「きっちり」仕事をこなし、
徐々に端役ではなく、「主要」のキャラクターを演じることが多くなっていきました。

『ア・ホーマンス』(86)もそうでしたが、刑事がほんとうに似合います。
厳しさと優しさを絶妙なブレンドで表現してくるところなんか、自分が被疑者だったらやっていないことまで「やった」と自供してしまいそうですが(いかんいかん、、、)、
『夜汽車』(87)や『四十七人の刺客』(94)、『学校3』(98)、『のど自慢』(99)など、いくつも好演している80年代後半~90年代のキャリアのなかで、自分が最も感心したのが95年の『マークスの山』です。
MARKSの「R」、クセのある弁護士役で、イメージにはない「黒い感じ」を不気味に演じて見事でした。

そのほかの作品に、『鉄道員』(99)、『ホタル』(2001)、『たそがれ清兵衛』(2002)、内容はともかく主演の一青窈がモノスゴきれいな『珈琲時光』(2003)、山田洋次組の常連として『隠し剣 鬼の爪』(2004)と『武士の一分』(2006)、『母べえ』(2008)に連続出演、
『沈まぬ太陽』(2009)を挟み、映画における最新作は、やはり山田さんの『おとうと』(2009)。

山田作品の稔侍さんも悪くないですが、
ちょっと当たり前過ぎるので、三池監督あたりがオファーしてくれないかしら。
本気に弾けたおじいちゃん役で。

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