Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

墓場まで持っていく

2015-03-21 04:44:24 | コラム
先日の『怒り新党』(テレビ朝日)の視聴者投稿のひとつに、

「あたしはかつて、夜の商売をやっていた。聞かれたらそのことについて話したいが、旦那はゼッタイに話すなという。あたしは、あたしの過去のことを、墓場まで持っていかなければならないのでしょうか」

というものがあった。

話したいと思う彼女もビミョーではあるが、それよか、そうした(嫁の)過去を知られたくないと考える旦那は古い人間だなぁ、、、などと思う。

イマドキ、夜の商売に偏見を持つひとなど少ないでしょう。
いや、地域によっては多いのかな、ふだんAV嬢やデリヘル嬢を取材しているためであろうか、そこいらへんの感覚がずれているのかもしれない。

犯罪者の過去なら消したいし隠したいが、風俗やっていようがAVやっていようが、彼女たちがセクシー女優―これ、最近生まれたことばだ―として深夜のテレビで活躍するようになった現代では、大した傷にはならないような気がするけれども。

(だから宮沢りえが「秘密」を持っていた『北の国から』のエピソードは、現代だとそれほどのインパクトを放てない)




で、自分の話。

バラエティ番組でヘリウムガスを吸い込み、入院した12歳のアイドルの話を若い子と展開していたときのこと。

事故そのものについてというより、アイドルの低年齢化について話していたのだが、

「いくら自分がロリコンでも、12歳はねぇ、、、」と自分がいうと、

彼はちょっと引いて「そんな、いきなりカミングアウトされても…」と返した。

「あ、いってなかったっけ?」
「えぇ、初耳です」
「まぁ、そうなんだよ、ロリコン。でもあれだよ、社会的に許される範囲内のロリコンだよ」
「なんですか、それ」
「中学1年は無理。3年くらいから、、、かな」
「いやいや、それはでも、ぶっちゃける必要はないんじゃないですか」
「そう?」
「えぇ、隠しておくべきかと」
「べつに、後ろ暗いところはないんだけれどね」

この日、自分は、彼にとっては「隠すべき」とされることを次々と打ち明けた。

ロリコンのほかに、
ぶっかけのAV好き、ブルマ好き、自慰狂い、短小であること、早漏であること。

彼は頭を抱え、「そういうことを嬉々として明かす牧野さんのことが分からない」という。

若いなぁ、アンチャン。
まだまだだなぁ! と思う。

こういう弱点(と、されているもの)も、使いようによっては武器になるのに。

べつの日―。

昔からの友人と呑んでいて、「そんだけアケスケだと、秘密とかないでしょう?」と問われる。

いやいやいやいや。
なにをいっちゃっているんだ。

秘密だらけ、だっつーの。

「ほんとう?」
「いえないこと、沢山あるよ。墓場まで持っていくべきアレヤコレヤは、ダンボールいっぱいに」
「いま、酔っていてもいえない?」
「いえないね」
「金を積まれても?」
「いえないね」
「俺にもいえない?」
「いえないね、親しければ親しいほど、いえない」


過去の悪事や自分の欠点? 弱点? 性癖は明かせても、死ぬまで、いや死んでも明かしたくないことは「ほかに」ある。

ヒトって、そういうイキモノだよね。たぶん。。。


※映画と「秘密」といえば、やっぱり『クライング・ゲーム』(92)だろう。
しかしこの「秘密」は、ほとんどのひとが観る前から知っていた。

知っていたにも関わらず、この映画のストーリーテリングの巧みさに驚き、慄いた映画小僧なのであった。




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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(270)根津甚八』

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れんちん

2015-03-20 05:21:51 | コラム
最近10~20歳くらい離れている若い子と話す機会が多いのだが、そのうちのひとりの口癖が「れんちん」というもので、慣れるまでちょっと戸惑った。

「れんちんしたほうが、美味しいですよ」
「れんちんし過ぎて、熱くて食べられない」

みたいな使いかた。

あぁ、レンジでチンする―の略ね。

「ちん」が入っているから、エロネタかと思ったよ。
連続して自慰をしたから、ちんちん痛くてしゃぶってもらいたくない、、、とか、そういう意味かと。

失礼しました。

いまは、そんな風に略すのか・・・と思っていたら、ほかの子はそういわない。
ふつうに「レンジでチンする」という。
つまり、彼だけの流行語みたいなものか。

自分だって、いろいろ略す。
ポール・トーマス・アンダーソン(トップ画像)のことはPTAというし、クエンティン・タランティーノはQTという。
ピーター・ジャクソンをPJと略す友人が居たが、それはどうかと思うけど。略したくなるほど、長い名前ではないし。

でもコピペ(コピー&ペースト)もラノベ(ライトノベル)もアプリ(アプリケーション)もスマホ(スマートフォン)もふつうに使うから、若い子のこといえないや。
ことばを短くすることによって、会話をリズミカルにしようという気持ちの表れなんだろう。(たぶん、ちがうけど)


さて。
彼は「れんちん」を口癖にする変わったヤツだが、そんな自分の口癖はなにかっていう話である。

・・・・・。

ない、、、ことはない。
ないが、すぐには浮かばない。

たぶん、だが、「なるほど」「分かります」、「そこそこ」のみっつになるだろう。

「なるほど」「分かります」は、相槌として「はい」や「えぇ」よりも多用している。
多用し過ぎているので、「なるほど」と思っていないのに、分かっていないのに、「なるほど」「分かります」といっている可能性が高い。

話し手にとっては「はい」や「えぇ」と返されるよりも、気分がいいものなのではないか・・・と思ってのことである。

「なるほど」以上に多用しているのが「そこそこ」で、「ふつうより、ちょっと上」の意味で使っているつもり。

この映画の出来は、そこそこだ。
あの風俗嬢のテクニックは、そこそこだ。
あの女子の容姿は、そこそこだ。
味は、そこそこだ。

・・・みたいな。

評価をにごしている感じが、しないでもない。

ほんとうは及第点なのに、対象とするひとやモノを貶めないために多用しているのかも、、、しれないなぁ。


つまり「なるほど」も「分かります」も「そこそこ」も、人間関係でギスギスしないための処世術みたいなものだ。

ズバズバ本音をいってみたいこともあるけれど、ちょっと柄じゃない。
自分の中核には自虐の精神というものが息づいていて、自分を貶めるためには、やや強引にでも、対象とするひとやモノを持ち上げる必要があるっていうね。

そんなアレヤコレヤを考えていたら、
あぁ自分はやっぱり日本人なのだなぁ、、、などと苦笑してしまうのであった。


※昭和家電としての、レンジCM集。

このころは、必ず価格表示されていたんだっけ。

しかし10万円切らないし、高っ!!

そしていつの間にか、レンジって「回らない」のが一般的になっていたんだね。
こんど買い換えるときは、ぜひ「回らない」ものにしてみたいが、レンジってそうそう壊れないから、いつになることやら。




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『墓場まで持っていく』

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シネマしりとり「薀蓄篇」(114)

2015-03-19 05:47:24 | コラム
るー「きー」→「きー」すへりんぐ(キース・へリング)

いちばん好きな画家は、映画との関連性も深いことで知られる「光と影のひと」レンブラント。



ずっと眺めていられるなぁ。

どんな光と影の使いかたをしていたのかは、彼の作品を観て知るのもいいし、

『ゴッドファーザー』(72)や『コックと泥棒、その妻と愛人』(89)を観るのもいいと思う。

次いで、ロートレック。

モデルたちが嫌がる表情を敢えて捉えて絵にするという、その性格の悪さが好き。

3位あたりにつけるのが、アンディ・ウォーホール。

レンブラントやロートレックに比べると「軽い」ことは確かで、なにがいいかと問われても、明確に返せなかったりする厄介なひとでもある。

でも部屋には彼が手がけたバナナの絵が沢山あるし、



シルクスクリーンを用いた彼の作品の数々は、いまでも充分に洒落ているなぁと思う。

芸術運動「ポップアート」とは、ウォーホールのキャリアそのものを指して使われることばだが、彼ひとりのおこないだったとしたら、これほどのムーブメントにはならなかったのだろう。
ゴダールひとりでは、ヌーヴェルヴァーグが起こらなかったのと同じ話。

ロイ・リキテンスタイン、コンラッド・リーチ、ジャン=ミシェル・バスキア、そしてキース・へリング。

みんなポップアートのひとだが、とくにバスキアとヘリングの作風は「落書き」と評されることも多く、好きは大好き、嫌いは大嫌い―と評価は二分する。

自分?

はっきりいって、バスキアは分からない。

ヘリングも分からないが、人気が出るのは分かる。



単に、かわいいし。


バスキアのキャリアは、彼と親交が深かったジュリアン・シュナーベルによって映画化された。

綻びが散見される出来ではあるものの、自分は好き。
色調も、音楽も素敵だし。

※ウォーホールを演じるのはデヴィッド・ボウイだ!!





ヘリングの作品はユニクロのTシャツなどになり、若いひとにも受け入れられている、、、ものの、彼のキャリアに焦点を当てた映画はない。(ドキュメンタリーを除く)

HIVを患っていた。
31歳で亡くなった。

地下鉄構内をキャンバスと捉えたアートは、日本のクソガキが高架下などに「でかでか」とスプレー落書きする行為に間違いなく影響を与えている。

などなどなど、映画化に適した要素を沢山備えているにも関わらず!!

もったいない、じつにもったいない。
ただ、ここ数日の速報で、マイク・タイソンやスティーブ・マックィーンの伝記映画が制作されるというニュースを聞いたので、米国はちょっとした伝記映画ブームなのかもしれない。

この波に乗れば、ヘリングもひょっとして・・・と期待している。


さて問題は、日本のクソガキたちによるスプレー落書きだ。

あれ見て感心したことが、いちどもない。

なぜなら、既視感120%だから。

どうせ落書きするならば、オリジナリティ溢れるものにしようよ。
賛否はあったものの、オリジナリティに溢れていたからこそ、バスキアもヘリングも「ときのひと」になったのでしょう。

誰かのマネゴトは、消したくなる落書きの「一歩先」には進めない。

これ、消さずにそのままにしておこうか―行政のひとが、そんな風に感心するような落書きを描いてみせてくれよ。


次回のしりとりは・・・
きーすへりん「ぐ」→「ぐ」っどふぇろーず。

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『れんちん』

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シネマしりとり「薀蓄篇」(113)

2015-03-18 05:44:25 | コラム
いんもら「る」→「る」ーきー(ルーキー)

ルーキー(rookie)とは新人、初心者のこと。
主にプロスポーツ界における1年目の選手を指すことばであり、新人映画俳優や新人映画監督を指してルーキーとは呼ばない。
呼ばないが、ここでは広義の意味として「呼んじゃう」こととしよう。

真っ先に想起するのはテレビドラマの「あれ」だが、1話も観たことがないし、なんだか暑苦しい感じがするので、敢えてタイトルは出さない笑

映画の世界でいうと、タイトルがそのものずばりの『ルーキー』(90)。
最近は「ハズレなし」のキャリアを築く監督イーストウッドだが、当時は凡庸な作品も創っていた、つまり元々はフツーの人間だった!? んだ、、、ということが分かり、ちょっと安心するアクション映画。

実際に「ルーキー」という単語が登場するのは、『フィールド・オブ・ドリームス』(89…トップ画像)。

「―あいつは現役時代から、ルーキーいじめで有名だったからな」

ムーンライト・グラハム(バート・ランカスター)の若いころを演じる、フランク・ホエーリーがルーキーであった。


イーストウッドが『ルーキー』で描いたように、ルーキーは単独行動せず、ベテランとともに行動する作品が多い。
実際にもそうだし、ドラマとしても、そのほうがいろいろ展開させ易い。

以下、自分が選出する「印象的なベテランとルーキーのドラマ」5傑。


(1)『赤ひげ』(65)

新出去定こと「赤ひげ」(三船敏郎)と、保本登(加山雄三)。

「この子は、身体も病んでいるが、こころがもっとやられている」

(2)『セブン』(95)

サマセット(モーガン・フリーマン)と、ミルズ(ブラッド・ピット)。

「この街では、俺が先輩だ」
「そのとおり」
「7日間は、黙って俺についてくればいい」
「・・・・・」

ほかにも、こんなやりとりが。

「あの夫人に、本気で犯人を逮捕するといったな?」
「逮捕せずに、俺たちはなにをやる?」
「証拠を集める。裁判のために」
「・・・・・」

さらに。
この映画がすごいと思うのは、以下の台詞で表現されたように、ルーキーがベテランを脅かす場面を描いたこと。

「あんたは難しい顔でそんな風にいうが、俺は同意しない」
「・・・」
「あんたはこの世が悲惨だから刑事を辞めるというけど、そうじゃない。辞めるから、そう思いたいだけだ」
「・・・・・」

グサッときたろうね。

(3)『羊たちの沈黙』(91)

クロフォード(スコット・グレン)と、クラリス(ジョディ・フォスター)。

「優秀な成績だ。わたしの授業ではAだったな」
「いいえ、(苦笑)Aマイナスです」

人生の先輩後輩という意味では、レクター博士(アンソニー・ホプキンス)と、クラリス。

「肝臓を喰ってやった。ずずずず・・・」
「・・・・・」

(4)『ハートブルー』(91)

アンジェロ(ゲイリー・ビジー)と、ユタ(キアヌ・リーヴス)。

「お前がハナタレ小僧だったころ、俺はベトナムで名誉の負傷をしていたんだ!!」

(5)『プラトーン』(86)

バーンズ(トム・べレンジャー)と、クリス(チャーリー・シーン)。
あるいは、エリアス(ウィレム・デフォー)と、クリス。

「ボクは、ボクのこころのなかに、バーンズの部分と、エリアスの部分があることを知った」

つまりクリスにとって、ふたりは親のような存在であったのだ。


※こちら、サカナクションの『ルーキー』




あすのしりとりは・・・
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このキャラを、演りたい

2015-03-17 05:47:57 | コラム
複数のキャラクターが「ほとんど等しく」見せ場を持つ映画やアニメーションに触れると、よく友人たちと「自分だったら、どのキャラクターになりたいか」なんていう話をする。

赤・青・黄・緑・ピンクの戦隊モノで、どれを演じたいかっていうのと同じ話ね。

ベタな分類をしてみれば・・・
リーダー気質のあるものは赤だろうし、食いしん坊あるいはユーモラスなひとは黄だろうし、ちょっと斜に構えたひとは緑だろうし、、、みたいな。

大人の女子はないだろうが、男子っていうのは、いくつになってもそんな話で盛り上がるイキモノだ。

『レザボア・ドッグス』(92)で、それぞれを色の名前で呼び合うことを決める場面―こんな会話が展開されるでしょう。

「ピンク? ピンクはオカマの色だ。なぜ俺がピンクなんだ?」
「お前が、オカマだからだ」
「ピンクはまだいい。俺のブラウンなんか、ウンコの色だぜ」
「たかがニックネームじゃないか」
「お前はホワイトだからいい。ホワイトはクールだ。なぁ俺とトレードしないか」
「トレードなんて、ダメだ」
「じゃあパープルがいい」

こんな話が、数分間もつづく。
ホワイトのいうとおり、たかがニックネームなのに。

「仮に」だとしても、けっこう本気になるガキのような男子。
もちろん自分もその例に漏れないので、きょうは、名作映画10本のなかで、それぞれどのキャラを演じたいかを考えてみた。

あなただったら、誰を選びますか―?


(1)『七人の侍』(54)

久蔵(宮口精二)



ストイックな剣豪で決まり。

ある意味で、勘兵衛や菊千代より目立っているし。

(2)『荒野の七人』(60)

ブリット(ジェームズ・コバーン…トップ画像)

ナイフ投げの達人は、日本版でいうところの久蔵だから。

(3)『グーニーズ』(85)

データ(キー・ホイ・クァン)

発明少年。

頭のいいキャラに魅かれるところがあるんだよね。

(4)『ロッキー』シリーズ(76~)

ミッキー(バージェス・メレディス)



ロッキーを支える名トレーナー。

彼なしではロッキーは表舞台に立てなかったはず。

(5)『スターウォーズ』シリーズ(77~)

ハン・ソロ(ハリソン・フォード)

炭素冷凍されてしまうが、キスシーンあるし!!

(6)『メジャーリーグ』(89)

ウィリー・メイズ・ヘイズ(ウェズリー・スナイプス)

俊足の一番打者。

ユーモア担当、このころのスナイプスがいちばん好きだ。

(7)『キャノンボール』(81)

ジャッキー・チェン

じつは日本人という、ムチャクチャな設定であるが。

(8)『いまを生きる』(89)

ノックス・オーバーストリート(ジョシュ・チャールズ)



キーティング先生に刺激を受けて、他校の女子にアタックをつづける。

自分にも、似た経験があるので。

(9)『マグノリア』(99)

ジム・カーリング(ジョン・C・ライリー)

祈りを欠かさない善良な警官で、まるで自分と異なるキャラだが、こういう生きかたも悪くないな、、、そう思わせてくれるから。

(10)『レザボア・ドッグス』

ミスター・ブロンド(マイケル・マドセン)

銃をぶっ放すことが大好きな狂人。

警官の耳を切るのはイヤだが、あのダンスをしてみたいので笑





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『シネマしりとり「薀蓄篇」(113)』

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