「オオカミの祠を守る一族」と題して、草香恭子さんが、二巻の書評を書いてくださっています。
シリーズ一度に出た本なので、ひとくくりにされる場合が多いのですが、こうして一冊ずつ丁寧に書評を載せていただけて、ありがたいです。
草香さんは、
終戦時に、正次は、父が無事に帰ってきたことや、戦争が終わったことをやっとよかったと思えるようになる。続く、『戦争中にはそう思うことができなかった』という一行に、作者は大きい意味を込めたのではないか。
と書いてくださっています。
この巻を書くにあたって、お話を伺った一人が、赤石広楽さんという方。昨年暮れにお亡くなりになられましたが、戦争があと3ヶ月続いていたら、間違いなく自分は出征していた。お国のために死ぬのが望みだったとおっしゃっていました。爆撃によって、自分の家が全焼したにもかかわらず、です。
私の叔父は、帰ってきませんでした。
又聞きですが、一緒に兵隊に志願しようと誘った友人は戦死して、自分は生き残ったことをずっと心の傷として背負っている方のことも伺ったことがあります。
兵隊となったお兄さんに面会に行ったのは、少女時代のTさん。待ったいたときに、お兄さんが近づいてくる靴の足跡が今も耳に残っていると。Tさんのお話は、一巻のカヨの家の養蚕を書くときのことも、参考にさせていただきました。
私の父と双子の兄は、別々の隊に所属していたのですが、戦地での移動時に、偶然に行き会い、それが今生の別れだったそうです。
全ての人、一人一人にドラマがある。そう思いながら書きました。
私は平和な時代に生まれ育ちましたが、今子ども達が大人になったとき、その子ども達が大人になったとき、彼らが銃を持たなくてはならない世の中には決してしてはいけないと、思います。そのためにはどうしたらいいか?
この二巻は、反戦の物語です。
なお、書いてくださった草香さんは、このたび、日本児童文学長編新人賞で佳作をご受賞されました。選評を読むと、選考委員のお一人は、これを! と思ってらしたとのこと。どこかで本になっていただきたいです。
草香さん、ありがとうございました。
そして、おめでとうございました。